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#35_絵筆をぶち撒ける

電車で帰宅していた時のことである。

満員電車ではない時間帯に通勤したい

平日の夕方、満員電車で帰宅していたら、背後から

と、大きな音がした。

嫌な予感がして、何だろうと思い、振り返ると、電車の揺れで絵筆をたくさん入れた上が開いている箱をひっくり返していた。やっちゃった感が漂う車内。(若く見えるし、この平日の昼間に絵筆を電車で運ぶ人なんて美大生くらいしかいないので、絵筆の持ち主を「美大生」と呼ぶことにする。)絵筆がたくさん入っている事だし、ひっくり返すこともあるよ、そりゃ。だが、どこかでひっくり返す想定をせずに、袋を被せるなどといった回避策は取っていなかった。
なので、周りの乗客が筆を拾い終わった後に、おじさんはビニール袋を渡した。美大生は絵筆を入れた箱にビニール袋を被せた。これでまた「ガッシャーン」まではならない。みんななんて優しいのだろうと思った。ハートフルだ。

次の駅でそのおじさんは降りた。絵筆を持ってる人は降りなかった。

電車は発車する。
絵筆を持ってる人はおじさんからもらったビニール袋を外した。「ガッシャーン」となってからの一部始終を見てた人たちの間には「え?」という雰囲気が漂う。
外してもいいんだよ。外してもいいタイミングってものがあると思うんだ。例えば、電車を降りた後のホームで外すとか。絵筆にビニール袋を被せたらいけない理由も知りたくなった。

そんなことを思いながら、電車を降りた。
電車から降りて歩いていたら、習い事帰りの子どもが隣の友達?妹?にまるでキスをするかのような勢いで頬を擦り寄せているのが視界に入ってきた。そしたら、お母さんが怒っていた。ぶつかりそうになったので、前見て歩いてほしい。なんやねん。

ということで、今回はこんな所で締めさせてもらいます。また今度。

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