【小説】ノベル・フォー・エアポート
重たいキャリーバッグを預けた。花模女の手元にはカーディガンとiPad、文庫本などが入った軽いリュックだけが残った。身が軽くなった分、出国日特有の緊張感もだいぶ解消された。
それにしてもだ。その航空便が成田第2ターミナルにあるのを知らずに予約したのはさすがに大間違いだった。いくら中小航空者カウンターばかりだとはいえ、それらを東京駅新幹線切符売り場並みの広さの場所に詰め込んでしまう蛮行。平日だと広いし人も少ない第1とは真逆の、狭くて人口密度もはるかに高い、休める場すら無色無臭の