憧憬の由来と得意教科(にこさんとの文通)
これはにこさんとの文通へのお返事です。前のお手紙はこちら。
にこさん、こんばんは。こちらは日曜19:30です。もうすぐ週末が終わろうとしています。今日は昨日教えてもらった、村上春樹の『風の歌を聴け』を本屋さんに買いに行き、その後は喫茶店で読み切りました。それから喫茶店を梯子して、にこさんの書いた『憧憬』(小説)も読みました。にこさんはゆっくりできましたか?
それはそうと、お手紙についてる見出し画像とても可愛いですね。シンプルで味わい深くて、色づかいも良い。真似したくなって、文通用に見出しの画像を作ってみました。羽ペン素敵だったので拝借して、あとはCanva(デザイン作成ツール)で作りました。本当はiPadとか使いこなして描けたらな、と思うのですが、私は本当に絵が下手なので宝の持ち腐れになってしまいそうです。にこさんはいつも、画像作るときはどんなツールを使っていますか?
そして、名前の由来への質問ありがとうございます。にこさんは大したことじゃなくてすみません、と言っていますが、全然聞かれたことがないのでハッとしました。名は体を表すとも言いますし、ちょっと根源的な問いにも思えます。結論から言うと、ハッキリとした由来はありません。強いて言えば、好きな言葉だった。私はよくTwitterアカウントを作り変えるのですが、前のアカウント名が「帰途」でした。好きな映画に出てくる詩の題名です。
「帰途」は名前らしさがない故の匿名性の高さと、字や響きの美しさがとても気に入っていました。その精神を継続すべく、次の二字熟語を探していた時に、ふと浮かんできたのが「憧憬」だったんです。この言葉を初めて知ったのは、ボーカロイド楽曲です。10年前の曲なので存じないかもしれませんが、kemuさんの地球最後の告白を、という曲でした。ほろ苦い歌詞に疾走感のあるサウンドが綺麗な曲で、高校生の時によく聴いていました。思えば私の語彙は、歌詞の影響を受けることが多い気がします。
そんなこんなで特に読み方は決めておらず、「憧憬」と名乗ってTwitterをしていました。「どうけい」呼びになったのは、フォロワーさんと話しているときに、「どうけいさん」と呼ばれて、しっくりきたからです。それから、なんとなく「どうけい」を選択して今に至ります。にこさんの小説で憧憬を「しょうけい」ではなく、「どうけい」にしたのは何か理由がありましたか?どうけい呼びで同じなのがシンクロニシティですね。
こんな感じでふわふわした由来、というか経緯で憧憬になりました。よければにこさんも、名前の由来教えてくれませんか?もしどこかで書かれていたらごめんなさい。
それから、好きな教科の質問に、答えてくれてありがとうございます。数学と物理がお好きだったんですね。よく言われるかもしれませんが、意外な感じがします。普段、にこさんのnoteで書かれているような本やジェンダーのこと、まさに文学部や社会学部を彷彿とさせる内容だな、と思っていたからです。でも腑に落ちる部分もあります。小説や短歌という感性も必要な創作もできて、かつ数学や物理という論理の積み重ねもいける。論理と感性を高次元でもっており、それを自由に行き来することができる人が好きなのですが、まさに、にこさんが当てはまってるんだろうなと思います。
数値化が簡単にできるものは得意不得意がなかった、とのことですが、点数をつけられて評価されるもの、という理解であっていますでしょうか。試験の点数みたいなことなのかな。得意不得意がなくて器用貧乏、といいますが、それはバランスが良いということではないでしょうか。
私からも得意教科の話を書きます。英語と世界史は得意でした。あと漢文と、倫理ですね。今挙げたのは文系科目ですが、一時期アニメのシュタインズ・ゲートに夢中だったときは、定期テストで物理100点とったこともあります。かなり熱しやすく冷めやすい性格なのもあって、一度これだ!と思うとどこまでもいけます。倫理は高校の時に人間関係で辛くて数日学校に行けなくなった時期に、ずっと布団の中で生きるとか死ぬとか考えてたんですが、それから好きになって得意になりました。その名残りで、大学でも哲学のゼミに入って、言語哲学という分野で卒論を書きましたね。
話を戻すと、英語や漢文が得意だったのは、それこそ前の話に戻りますが、論理と感性が両方発揮できるからかな、と思い当たります。論理で言うと、こういう時制の時はこういう活用、この接続詩が出てきたらこういう論理関係とか決まっています。感性でいくと、翻訳が凄く楽しかったんですよね。特に英語の小説の読解など、英文に傍線が引かれていて日本語訳するときに、どんな言葉を当てはめて美しい文章にしよう、と考えるのが好きでした。大学ではフランス語を専門的にやっていて、フランス文学の授業があったのですが、レ・ミゼラブルを訳すのが凄く楽しかった思い出があります。今でも翻訳をやりたいくらい。
P.S.
小説の憧憬ありがとうございます。にこさんが書いた、自分と同じ名前の小説を読まずにはいられないです。早速読ませてもらって、素敵な作品でした。他に適切な言葉が見つからないのですが、特に性描写が美しい作品だなと思います。村上春樹に影響受けてるのかな、などと思いました。
特にお気に入りの部分です。この4~5行の表現力が凄くて、何を読んだらこの言葉が出てくるんだろうと感嘆しています。全体を通して、女性側の内面の描写が秀逸です。
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