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新たな花粉症対策!?早めに始めるべきシダキュア舌下錠!

いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイトを運営しております。

段々と花粉が飛ぶシーズンが近づき
アレルギー性鼻炎で悩まされる方も
多いのではないでしょうか。

最近では根本治療になりうる
舌下免疫療法という
治療法が注目されています。

もう鼻炎で悩まなくて済む!
なんて日が来るかもしれませんね。

1.舌下免疫法とは?

舌下免疫療法は
身体の中に花粉を少しずつ入れて
徐々に体を慣れさせ
アレルギー反応を減らす
治療です。

メカニズムは十分に解明されていませんが
口腔粘膜下の樹状細胞による
アレルゲンの捕捉が起こり
免疫反応が引き起こされると考えられています。

この免疫反応によって
Th2細胞増加の抑制及びTh1細胞の増加
制御性T細胞の誘導
抗原特異的IgG及びIgAの増加が起こり
アレルギー症状を抑制すると推測されています。

シダキュア IF

2.そもそもシダキュアとは?

シダキュアは2018年6月に
鳥居薬品から発売された
アレルゲン免疫療法の薬です。

【価格】
2000JAU1錠57.7円
5000JAU1錠144.1円

なかなか高価な薬となっています。

【服用方法】
投与開始1週間は2000JAUを1日1回
投与2週目以降は5000JAUを1日1回
舌下にて1分間保持した後に服用します。

薬の効果に影響が出ないよう5分間は飲食を控えます。

主成分としては
スギ花粉エキス原末となります。

スギ飛散時期に投与すると
外部からも花粉が入ると同時に
内部からもエキス原末を曝露しているために
余計に症状がひどくなります。

なので、投与開始の時期としては
スギ花粉飛散時期を
避けるため、6~12月となります。

アレルギー物質を摂取して大丈夫なの?
本当に効くの?
なんて思う方もいらっしゃるかもしれません。

安全性はどうなのか?
どのくらい良い薬なのか?
臨床試験を見ていきましょう。

3.試験一覧

シダキュアでは下記試験が公表されています。

①至適用量検討試験
②長期投与試験(第2シーズン:2年目)
③長期投与試験(第3シーズン:3年目)

Torii Medical Plaza 医療関係者向け情報
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今回の試験では
①~③までのすべての試験を
通して見ているんですね。

至適用量検討試験では
2000,5000,10000の用量単位で見て
どの規格で治療を続けるべきか?
を見ます。

2000では効果が不十分であり
5000と10000では効果に大差がなかったため
②、③では5000で継続するという試験結果でした。

➁と③の長期投与試験では
2年間かけて効果を見ていきます。
 
シダキュアは長期間治療が必要な薬なので
②、③の試験について見ていきます。

4.長期投与試験

本試験では
スギ花粉症患者1042例を対象にした
大規模臨床試験であり
下記条件に該当する方が治療の対象となります。

・5歳以上65歳未満
・スギ特異的IgE抗体≧Class3
・前年度花粉飛散時期にくしゃみ、鼻汁又は鼻閉の
 いずれかの鼻症状スコア2+以上1週間継続している

4-1.試験結果-1(有効性)

本試験では
1年間、シダキュア群とプラセボ投与群を比較
症状ピーク期間(3月初旬~3月末)の
総合鼻症状薬物スコアを評価しています。
※鼻症状4項目(鼻汁、鼻閉、くしゃみ、鼻掻痒感)の程度

上記4つの群に分けて
プラセボからシダキュアへ切り替える際は
最初の1週間は2000JAUを投与しています。
低用量で身体を慣れさせるんですね。

・第2シーズン(2年目)

プラセボ比較
AP群(シダキュア⇛プラセボ):37%減少
PA群(プラセボ⇛シダキュア):32.8%減少
AA群(シダキュア⇛シダキュア):45%減少

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プラセボ群の鼻症状スコアが7.0のところ
シダキュア継続群(AA群)では、3.84と
約50%の鼻症状改善効果
得られている結果となっていますね。

また、1年継続と2年継続の
AP群とAA群を比べた際の減少率は
8%程度の差がついていますね。

・第3シーズン(3年目)

プラセボ比較
AP群(シダキュア⇛プラセボ):35%減少
PA群(プラセボ⇛シダキュア):41%減少
AA群(シダキュア⇛シダキュア):46%減少

Torii Medical Plaza 医療関係者向け情報

第3シーズンを見ても
AA群の減少率が1番大きい結果となっています。

シダキュアは長期継続することで
鼻症状の改善がより明確に
表れる可能性がありますね。

治療に3~5年を要する理由が
今回の結果を見てわかりそうですね。

3-2.試験結果-2(安全性)

本試験における有害事象について調べました。

シダキュア2000JAU群 全体49.6%
咽喉刺激感15.4% 耳そう痒症11.5% 口腔浮腫10.4%
咽喉不快感6.9% 口腔そう痒感6.2%
 
シダキュア5000JAU群 全体46.6%
口腔浮腫14.8% 耳そう痒症12.1% 咽喉刺激感11.7%
口腔そう痒症10.6% 咽喉不快感7.2% 口腔内不快感6.8%
 
シダキュア10000JAU群 全体54.8%
口腔浮腫18.1% 咽喉刺激感15.8% 耳そう痒症13.9%
口腔そう痒症8.9% 咽喉頭不快感8.5% 口腔不快感6.9%
鼻漏6.2% 
 
プラセボ群 全体19.3%
鼻漏6.2%

シダキュア IF

重篤な副作用は認められませんでしたが
副作用発現率を見てみると
全ての群で2人に1人は
何らかの副作用が認められていることを考えると
注意すべき点は多いかもしれませんね。

ここはかかりつけの先生や
薬剤師の先生にリスクを聞いておくのも
大事かもしれませんね。

4.いつき博士の考察

考察では
シダキュアの有効性と安全性
休薬期間について記載します。

①有効性 
鼻の症状がひどくなる花粉飛散時期でも
薬剤の治療を継続すれば
プラセボ群と比べて50%程度の改善
結果から示唆されています。

なぜシダキュアは
3年間治療が必要なのか?
という問いに対する答えとしては
本試験が裏付けのデータとなりそうですね。

②安全性
副作用の発現頻度は気になります。 
口の痒みや刺激感は心配ですね。
 
ただ、この点は継続することで
症状も消失していく例が
現場でも多く見受けられます。

また、口腔内に傷や出血があることで
血中からの吸収が増えて
副作用の増大にも繋がる可能性があります。

歯科治療の際には
服用している旨を伝える必要
がありますね。
 
③休薬期間
どのくらいの休薬は問題ないか
といったデータはないそうです。

そのため、医師判断となります。

例としては
1~2週間程度だと5000JAUで開始
1か月以上だと2000JAUから再開始
など、副作用なども考慮した判断がされます。
 
議題とは逸れてしまいますが
舌下療法は最低でも3年
人によっては5年程度
治療期間を要するため
多額の治療費がかかってしまいます。
 
医療費控除を受けられる小児時期など
早く始めると良いかもしれませんね。

《参考文献》
Torii Medical Plaza 医療関係者向け情報
シダキュア IF
https://www.torii.co.jp/iyakuDB/data/if/if_cdc.pdf