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目のアレルギー治療に革命!1日1回のクリームタイプ新薬

いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイト
を運営しています。

世界初、眼周囲へ塗布するクリームタイプ
アレルギー性結膜治療剤が承認されました。
(※現在は販売準備が進められています。)

つい先日、眼科領域に特化した
スペシャリティ・カンパニーである
参天製薬から発表されましたね。

今回は「目のアレルギー」に対する
新規治療薬として期待が高まる
アレジオン®眼瞼クリーム0.5%
を学習していきます!


1.そもそも目のアレルギーとは?

主にかゆみ、異物感
めやに、流涙などの自覚症状が現れ
結膜炎症が起こる病気です。

参天製薬HP

専門的には
アレルギー性結膜疾患
と呼ばれ、色々なタイプに分類されます。

アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第3版)

上記分類の詳細は割愛しますが
アレルギー性結膜炎」の診断を受けた
経験がある方は多いのではないでしょうか?

2017年の日本眼科アレルギー研究会調査では
有病率は48.7%であったと報告されています。
2人に1人がかかっているようですね。


2.アレルギー性結膜炎の治療は?

花粉症の方が経験するのは
季節型のアレルギー性結膜炎です。

治療の1stチョイスとして
抗アレルギー点眼薬を使います。

症状が特に強い時期は
他の炎症抑制作用のある点眼薬の追加
で対応することもあります。


3.現在の治療の課題

かゆみを感じた際に目を擦る物理的刺激
さらにかゆみを悪化させてしまうため
かゆみの発生頻度を減らす治療が重要です。

アトピー性皮膚炎のメカニズムと似ていますね。

これまで主に使われていた点眼薬は
薬の濃度を維持する(効かせ続ける)ために
1日に数回使用する必要がありました。

< 参考>
2013年- アレジオン®点眼液0.05% 1日4回
2019年- アレジオン®LX点眼液0.1%  1日2回

忙しい1日の中で
何度も点眼をすることは
思った以上に難しいですよね。


4.新規治療薬「アレジオン®眼瞼クリーム0.5%」

「より一層点眼の負担を減らして
点眼がむずかしくても投与可能」

これを実現したのが今回の新薬です。

製品名:アレジオン®眼瞼クリーム0.5%
一般名:エピナスチン塩酸塩
剤形 :クリーム剤
効能・効果:アレルギー性結膜炎
用法・用量:通常、適量を1 日1 回上下眼瞼に塗布する

参天製薬HP
インタビューフォーム

プラセボ(偽薬)クリームと比較した
有効性・安全性を確認した試験では
優越性が示されました。

主にかゆみと充血のスコア
検証されています。

同じ成分の点眼剤と比較した
利便性・安全性試験においても
同程度の効果と安全性が確認されました。

使用8週後時点のアンケートでは
62.9%(78 例/124 例)の方が
点眼剤に比べクリーム剤の方が使いやすい
と回答されました。


5.いつき博士の考察

今回はアレルギー性結膜炎に対する
新規治療薬として承認されたばかりの
アレジオン®眼瞼クリーム0.5%」の
注目ポイントについて解説しました。

より患者さんが使いやすくなるように
同じ有効成分でも利便性への工夫がなされ
企業さんの努力が伺えます。

これまでにない
1日1回のみの投与
持続的な効果が得られること

またクリームタイプの剤形
により点眼が困難な人にも
投与可能となったこと

これらの回数と剤形の改善
一見大きな変化に感じませんが
日常生活で使用することを考えると
生活の質への影響は大きいかもしれません。

使用後のアンケート結果では
新薬を選択する方が思ったより少ないですが
これまでの点眼薬への慣れもありそうですね。

実際にクリームタイプを使ってみて
それぞれに合う方を選ぶのが良さそうです。

⚠️いつき博士が薬剤師としてお伝えしたい注意点
今回のクリーム剤はいわゆる眼軟膏剤とは異なります。
くれぐれも目の中に塗布するのではなく眼瞼の周囲に使ってください。

これから実際に使用した感想や
解決していくべき改善点に注目して
よりよい治療につなげていきたいですね。

使用され方はぜひ感想をお聞かせください!
また何か質問事項など聞きたいことがあれば
ALLERUのInstagramまで!

<参考文献>
参天製薬HP
公益社団法人日本眼科医会
アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第3版)