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両利きの経営とリーダシップ

両利きの経営とは

・両利きの経営とは、深化と探索を両方同時に行うこと。
・深化とは、自分やチームが持つ一定分野を継続して深堀りし、磨き込んでいくこと。漸進的イノベーション。品質強化、改善、効率性の向上。
・探索とは、自分やチームが持つ既存の範囲を超えて認知を広げていこうとすること。破壊的イノベーション。
・両利きの経営が行えている組織ほどパフォーマンスが高くなることは多くの経営学の実証研究で示されている。

深化と探索の関係性

・組織は深化を行い安定的な収益を得て利益率を上げ、将来の自分たちを救うかもしれない事業の探索を行う。また、探索を通じて試したことの中から、成功しそうなものを見極めて、それを深堀りし、磨き込んでいく。このサイクルが組織を成長させる。
・探索は失敗率が高い。探索を行う部隊には組織の重要な資産が扱えるようにする。
・両利きの経営は、イノベーションのジレンマを乗り越える鍵。

両利きの経営に必要な最低条件

両利きの経営を行うための必須条件はリーダシップ
・リーダが実行しなくてはならない事項
 ・新しい探索事業が新規の競合に対して競争優位に立てるような既存組織の資産や組織能力を突き止める
 ・深化事業から生じる惰性が新しいスタートアップの勢いを削がないように、経営陣が支援し監督する
 ・新しいベンチャーを正式に切り離して、成熟事業からの邪魔や支援なしに、成功に向けて必要な人材、構造、文化を調整できるようにする

両利きの経営を組み立てる要素

1.探索と深化が必要であることを正当化する明確な戦略的意図
 ・両利きの経営は難しく非効率で、必要性を感じない人が出てくる
 ・新たな機会に対して、次の指標をクロスマッピングすると良い
  指標X:戦略的な重要性が高いか低いか
  指標Y:本業の資産を活用できるか否か
   X高 Y高・・・両利きの経営で対応
   X高 Y低・・・本業から切り離し、独立の事業ユニットで対応
   X低 Y高・・・既存事業ユニットかアウトソーシングで対応
   X低 Y低・・・スピンアウト

2.深化事業と探索事業のバランス
 ・新しいベンチャーの育成と資金供給に経営陣が関与し、監督し、その芽を摘もうとする人から保護することが必要。そのための原則が下記。
  原則1:心に訴える戦略的抱負を示し幹部を巻き込む(深化ユニットが探索ユニットを脅威と捉え抵抗する場合、これが不足している。充足すると脅威ではなく機会と捉える)
  原則2:歴史ある深化事業と未来志向の探索事業の緊張関係から逃げず、妥協点を見つけるのではなく全体を前進させる方法を探る
  原則3:一貫して矛盾するリーダシップを取る(一方のチームには利益と規律を求めながら、一方のチームには実験を奨励する)
  原則4:両利きの経営についての議論の時間を確保する(ビジネスモデルの議論、幹部の役割分担、評価指標、成功判定基準、それぞれのKPIなど)

3.経営陣の関与と支援
 ・探索チームが独自に組織構造面で調整を図れるようにする
 ・深化型事業から十分な距離を置く
 ・同時に、企業内の成熟部門が持つ重要な資産や組織能力を活用できるようにするための組織的インタフェースを設計すること
 ・どの時点で探索ユニットを打ち切るか、組織に再編入するかの判断基準も含む
 ・イノベーションの成功には、スピンアウトや機能横断型チームではなく、両利きの経営形態の方が効果が大きい(イノベーション実証研究より)

4.共通のアイデンティティ
  ・探索ユニットや深化ユニット両方に共通するアイデンティティ
  ・すなわち、ビジョン、価値観、文化
  ・共通のアイデンティティがなければ、探索事業と深化事業は互いに脅威あるいは邪魔とみなす。なぜ協働するのかの軸が必要


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