「瀬戸切子」ブランドを目指す作家・左口学氏(2017.6.(済)豊田画廊)

日差しが強くなる頃、自身が必ず立ち寄る常廊の一つである豊田画廊をのぞいてきた。この画廊にしては久々らしが、自身にとっては初めての工芸作品の企画展を見た。

通常の画廊の作品は平面作品が多く、もちろん手の届かない価格帯で憧れでしかないが、今回みた切子ガラス展は自身にとっては新たなガラスの可能性をみた。

ガラスの可塑性については、従来から加工時における調整が難しいと聞くが、左口氏は手吹きで形を作っているとギャラリストから紹介された。また、ガラスの色は不思議な世界へと誘うかのような魅惑的な色だ。

作品台に置いてあるだけのガラス作品、ただ上から眺めるだけでなく、下から覗き込むような形で作品を拝見させていただいた。まるで万華鏡かのような美しさである。

また、ガラスの色は単色のみと先入観を抱きがちだが、複数の色を重ね合わせた着彩もまた面白い色合いを見せてくれる。

絵具で黄色と青色を足すと緑になるが、ガラスにおいても黄色の層と青色の層を通して緑色になるが、そこは切子技術をもつ左口氏の本領発揮。切子技術によって、ガラス表面に形が描かれるがそこから色の層が削られ別の色の層や透明の層が見えたりと、変化がとても面白い。

これを執筆した段階で既に展覧会は終了しているが、ギャラリストの言葉がとても気になる。「瀬戸切子というブランドを目指している」と。

言葉に夢がある。今後チェックしておきたい作家の一人となった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?