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読書2(すごい実験)

すごい実験(イーストプレス)

高エネ研の多田将先生が中央大学杉並高校の学生に向けて行った4回の授業が元になっており、難題な事が必要最低限の専門用語で説明されている。この本では、多田先生が専門とするニュートリノの実験を例に取り、素粒子物理学って何?ということを、授業形式で読んでいく。昔の物理学者が、こんな発想で理論を思いついたり、実験してるんだと知ることができた。

[超要約](多分、自分の意見も入ってる)
素粒子物理学は、今現在応用できなくても、将来人々に役立てる時が来るかもしれない。そのために、素粒子物理学を研究することで、過去から現在、未来へと知識を積み上げていく。電子が発見された当初、何の役に立つか分からなかったが今では必要不可欠である。ニュートリノなどもそうなっていく可能性はある。

カミオカンデについて

水槽の中に、わずかな光を検出することができるセンサが多数、壁に張り巡らされている。茨城県東海村にあるJ-PARCでニュートリノのビームを岐阜県神岡にあるカミオカンデ内の水に照射する。すると、水の中にある中性子はニュートリノが当たると、陽子とニュートリノに応じた電荷を持った粒子が飛び出る。その粒子は、光速を超えてその時のチェレンコフ光を発する。それをセンサでキャッチする。

(以下は自分の頭を整理した事柄)

第1章

生物学は細胞を扱い、化学は分子を扱う。原子を扱う物理を原子核物理という。原子は、中心に陽子と中性子が固まっていて、その周りを電子が漂っている。陽子を砕くと、さらにニュートリノなどの小さな粒子が出てくる。これらの粒子を研究するのが、素粒子物理学。陽子を砕くためには、それを速く走らせて、壁にぶつける(まるで、野球ボールを壁に当ててるみたい!)。その陽子を走らせて、壁にぶつける装置が茨城県にあるJ-PARCという施設である。配管のようなものを大きい円のような形にしたもの。この配管内に陽子を走らせる。徐々に速度を上げていき(加速)、最終的に壁(グラファイト)に当てて壊す。陽子を加速するのに、電場を利用し、位置を制御するのに磁場を利用する。磁場を発生させるためには、配管に電磁石を設置する。陽子の速度に応じて磁場を強めていき、制御する。壁に当てるために陽子に急ハンドルをきらせる必要があるが、その役目を担うのが超伝導磁石。ある磁性体を低音にすると抵抗が0となり大きな電流を流せ、強力な磁場を発生させる事ができるため、陽子に急ハンドルをきらせることができる。陽子が壁にあたり壊れるとπ中間子が放出される。この粒子は電荷を帯びている。π中間子があちこちに行かないように電場で制御する(電磁ホーン)。その粒子は、すぐに壊れて、ニュートリノへと姿を変える。そして、グラファイトの網でニュートリノ以外の粒子を取り除き、ニュートリノのビームが完成。これを岐阜県神岡にあるカミオカンデに向けて照射する(ビームを打つ距離とカミオカンデはおよそ300Km離れてる)。

第2章

電子は、シンクロトロンで急カーブする時に放射光(x線)をだす(カーブを曲がる時減速するため、運動エネルギーが光エネルギーとして放出される)。ある原子に向けて、x線を当てると軌道を周回している電子がエネルギーを得て、一つ上の軌道に上がる。しかし不安定なので元の軌道に戻る。その時に、エネルギーを放出する必要があるため、軌道を一個下げる時にその原子固有の波長を持った光が放出される。その光を検出することで、原子が何かを同定できる。(ヒ素入毒物カレーの犯人を捕まえた証拠となった)

「原子の中心にある原子核は、陽子と中性子が固まってる。本来なら、電荷を持っている粒子と持っていない粒子が固まってるのはおかしいし、陽子同士が近ければプラスとプラスで反発するのではないか!?」

という、疑問。そこで、原子核は電磁力よりも強力な力、「強い力」があると提唱したのが湯川秀樹。
これで、世の中は、重力、電磁力、強い力の3種類に分類できる。そして、原子核を構成する中性子は単独になると15分で自分で崩壊していく。この自ら崩壊していく力を「弱い力」とした。
現在は、さまざまな現象をこの4つの力で説明できる。
中性子は、壊れると陽子に変化していき、それと同時に電子も発生する。エネルギー保存則が成立するなら、

崩壊前の中性子の質量とエネルギー=
崩壊後に発生した陽子と電子の質量とエネルギー

となるはずだが、崩壊前の方が大きかった。
ボーアの弟子であるパウリが
「崩壊後は、陽子と電子以外にエネルギーを持ち去っている未発見の粒子が放出されてるのではないか?」
と提唱。提唱した粒子は、4年後にフェルミによって「ニュートリノ」と名付けられた。

実際に、ニュートリノの持ち去ったエネルギーを測れるようになると、なんと中性子の崩壊前と後でエネルギーは合致していた!。やはり、保存則は成立していた。

陽子の内部は、さらに細分化できアップクォーク2つとダウンクオーク1つ。中性子は、アップクォーク1つとダウンクォーク2つ。
それぞれの電荷は、
アップクォーク2/3
ダウンクォーク-1/3

これらの粒子が発見される前の人は、電子以上の小さなものは見つからないと考え、電子の電荷(-1.6×10^-19クーロン)を1としてしまった。そのため、クォークの電荷は1以下であり、分数での表現となっている笑

色荷(カラーチャージ)

電磁力は、粒子がプラスやマイナスの電荷を帯びているから発生する。そこで、強い力を発生させるもの(電磁力でいうと電荷)が必要だと、それを色荷(赤、青、緑)とした。

J-PARCにおける陽子の取り出し方

タングステンでできたフィラメントは、電流を加えると外部に電子を放出する。そこに、水素を投入すると、水素は電子を得てマイナスイオンとなる。その水素イオンを炭素膜(フォイル)に通すと、電子はそこで引っかかり、陽子だけが通過していく。
フィラメントが発した電子は、かける電圧(電子の速度)や電子を拾いやすい原子なのか、電子が弾き飛ばされやすい原子かによってらプラスに帯びるのかマイナスになるのか決まる。
水素は、電子を得やすいので一度マイナスイオンになってから、膜を経て、陽子になる。

まとめるの飽きた笑
また後で!

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