桃太郎伝説 if 1

第一章   鬼

一話「むかしばなし」

今夜も何処かで読み聞かせられるいつものお話

それは何処かのありふれた親子の日常

そこから始まるはいつもとは少し違った昔話


「ねぇおかあさん、桃太郎読んで!」

「また?本当に好きね桃太郎、いいよ」

「やったー!」

いつものように話し始める母親

しかし息子の様子がいつもとは違う様子

「ねぇおかあさん」

「なに?」

「もしさぁ、おばあさんが桃を拾わなかったらどうなるの?」

母親は少しだけ困った顔でこう返す

「そうねえ…お母さんも考えた事無かった」

「じゃあ一緒にお話作ってみよっか!」

嬉しそうに息子がはしゃぐ

「わーい!やろうやろう!」

二人は楽しそうに色々な案を出し合った

夜が更けるまで、眠りにつくまで


二人の「もしも」

その一つの中の可能性

我々が覗いてみよう

ここから始まるは

いつもとは少しだけ違った

むかしばなし


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