桃太郎伝説 if 5

第二章  正

一話「桃太郎、17歳」

むかしむかし、はるかむかしのおはなし

その頃世界は鬼が支配する暗黒の時代でした

鬼の王様は無数の鬼達を従え人間や動物達を奴隷のように扱い虐げていました

余りの残虐な行いにとうとう天界の神様が怒りをあらわにします

ある時一筋の光が大地に降り注ぎました

するとあっという間に世界は光に包まれ闇を好む鬼達は力を失います

次々と鬼達が倒れていく中鬼の王様は神に立ち向かいました

激しい戦いが何年も続いた後ついに王様は敗れました

王様を倒した神様は残された鬼達に言いました

「二度と悪さをするでないぞ、その時はわかっておるな?」

神様の強さに恐れおののきながら鬼達はしばらく悪さをしませんでした

しかし時が流れるにつれて鬼達の邪悪な心は再び蘇ります

神様は呆れ果て鬼達にあるおしおきをしました

「お前たちが反省するまでしばらくこの島で大人しくしておるがいい」

そうして大海原にひとつの島が作られました

それが鬼ヶ島です

僅かに残った鬼達は鬼ヶ島に全て集められ神様に行動を監視されました

そしてまた鬼が悪さをした時でした

それは海から突然やってきたある…


「なあ、長老よ」

一人の若者が話を遮る

「なんじゃ桃、まだ話は途中ぞ」

それは成長した桃太郎でした

「ガキの頃から散々聞かされただろ?何度目だよまったく!」

「何を言っとるか若造め!ワシから言わせればまだまだお前たちなぞ赤子も同然じゃ!」

「まーた始まったよ、長老の長生き話が…」

「だいたいお前たちはな……」

長老が懇々と桃太郎達に説教をしている中また桃太郎が話を遮ります

「長老〜今日は俺と桜鬼の誕生日だぞ?この辺で勘弁してくれよ〜」

「ん?そういえばそうじゃったな、わかった!今日はこの辺にしておいてやる!」

「へへっ、ありがとうな長老!んじゃ帰るか桜鬼」

「うん!きっと母様がいっぱいご馳走用意してくれてるよ!」

「そうだな!じゃあなみんな!長老!」

そう、今日は桃太郎が生まれて丁度17年目の日

同じ日に生まれた妹の桜鬼とはケンカしながらも仲の良い兄妹になっていました

桃太郎は子供の頃から鬼達にも負けない腕っぷしと強く優しい心であっという間に島の人気者になりました

今や善鬼に次いで二番目の強さにまでなり島の若頭になっています

周辺の海のゴロツキからも「鬼ヶ島の桃太郎」と恐れられ悪さをする者もぐっと減りました

そんな桃太郎に近隣の村からの信頼も厚く人間からも「鬼ヶ島の桃太郎さん」と呼ばれ慕われていました

そんな桃太郎ももう17

善鬼はこの頃色々と考えにふけっていました



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