桃太郎伝説 if 4
4話「桃太郎」
その日生まれた鬼はとても綺麗な桜色の肌をしたかわいい女の子でした
やがて桜のように美しくなるその鬼は「桜鬼(おうき)」と名付けられました
そして鬼ヶ島に流れついた桃から生まれた元気な男の子には「桃太郎」と名付けられました
善鬼は二人にありったけの愛情を注ぎました
それに応えるように元気に成長していきました
同じ世代に生まれた鬼達ともケンカしながらも仲良くなっていきました
桃太郎が5つになった日
桃太郎は初めて善鬼に抱いていた疑問を聞いてみました
「ねえおとーちゃん、なんでぼくはみんなとちがうの?」
「お?どうした桃、お前とワシに何の違いがある?」
「だってぼくにはつのがないし、いろもおうきやみんなとちがうよ?」
「うーん、そうだな、確かに見た目は違うな」
「だかな桃、お前はみんなと同じワシの大切な家族だ」
「かぞく?」
「そうだ、例えば桜鬼はかーちゃんの腹から生まれた」
「お前は島に流れて来た桃から生まれた」
「かぞくじゃない?」
「そうしゃない、誰から生まれたとか何処で生まれたとか関係ないんだ」
「ワシがワシの子供だと言えば立派な家族だし、誰にも文句は言わさんよ、お前はワシの息子だ」
「ぼくはおとーちゃんのむすこ?かぞく?」
「ああそうだ、桃は家族、みんなと何にも変わらん、ずーっと一緒だ!」
「かぞく!みんないっしょ!やった!やった!」
「ちょっとばかし見た目が違うからと気にするな!かーちゃんもとーちゃんもお前を愛しているぞ、ずっとな!」
「わかった!きにしない!みんなかぞく!」
「いい子だ桃、さあ今日も腹いっぱいメシを食って海に出よう!」
「うん!」
善鬼と桃太郎は艶鬼の作ったご飯をお腹いっぱい食べました
沢山の家族達と一緒に
そしていつものように海へ出ていきました
少しずつ成長していく桃太郎の未来を思いながら
いつか来るその日まで
善鬼は今日も生きています
それまではただこの家族達との
幸せな日々を過ごしながら
そしてさらに12年の月日が流れました
逞しい青年に成長した桃太郎のものがたりは
まだまだここから続きます
第一章 おわり
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