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YouTubeで見れる最高品質の科学系動画まとめ

科学系の優良コンテンツのまとめです。
チャンネルの概要を述べてから、オススメ動画を何本かピックアップして紹介します。
本文で紹介しきれないものは再生リストに突っ込んであります。


3Blue1Brown

高等数学を視覚的に理解させよう、という目的のコンテンツ。
イケアの家具説明書みたいなことを数学の分野でやっている。
「イケアの説明書ほど分かりやすいものはない」と考えている私のような視覚優位人間にとってこれほど素晴らしいものは無い。
東京大学の有志が日本語訳したチャンネルもある。

フーリエ変換のビジュアル解説

フーリエ変換とかいう、動画やら音声関連でアホみたいに使われてる技術だけど具体的にどういう手続きがなされているのかサッパリわからん、という私のような人間を救済してくれる動画。

ニューラルネットワークの仕組み

ニューラルネットワークを難しすぎず、浅すぎず、適切な塩梅で示してくれる動画。深層学習の本を読んでも何一つわからなかった私でも”わからせ”られる最高の視覚化。

Veritasium(ヴェリタシウム)

YouTubeで最も人気のある科学コミュニケーターのひとりVeritasium(ヴェリタシウム)氏のチャンネル。
科学の歴史的発展がいかにして起こったのか、学者やエンジニアがどのように問題に向き合い解決してきたのか、そうした諸々を質の高い映像で見せてくれるコンテンツ。私が一番好きなYouTuber。

青色LEDの製造がほぼ不可能だった理由

地球上で最も過小評価されている発明は青色発光ダイオードだと思う。スマホもあなたが使用しているモニターもすべてこの技術が背後にある。赤や緑のLEDは古くからあったのに、なぜ青色は作れなかったのか?動画には発明者のひとりでありノーベル賞受賞者の中村修二氏本人も登場する。

最速で迷路を解くコンテスト

マイクロマウスロボによる迷路レースの最前線を追う。ロボットによるレースがどのように発展してきたのか、背後にある数学的技術は何か、全日本マイクロマウス競技会を交えて追跡する動画。最近のレースはレースというより瞬間移動に近い。本当に面白い。

宇宙はコンピュータにとって危険

64マリオのRTAで起きた不可解なバグ、ベルギーの選挙で起きた集計ミス、飛行機の垂直降下事故、これらの現象はすべて同一の物理現象によって引き起こされた。その名も宇宙線。遠くの銀河から来た小さな粒子が、ごく稀にコンピュータのバイナリに作用して不具合をもたらすという。クッソ面白い。

同期の驚くべき秘密

同期(共鳴)という物理現象は非常に興味深い。コンサート終了時の無秩序な観客の拍手が最終的に秩序だった音に収斂するのにも、この同期という現象が潜んでいる。メトロノームの同期、ホタルの発光、橋の揺れなどにも見られる現象、同期を味わいつくす。

物理学で最も誤解されている概念

いわゆるエントロピーを「物質が無秩序に向かおうとする傾向」程度にしか理解してなかった私の蒙を啓かせてくれた動画。熱力学に関心のある人間は必ず見た方がよい。

Tom Scott

イギリスの科学系YouTuber。YouTubeのアルゴリズムをハックしたり、世界各地のマニアックな工学的システムを紹介してくれる。言語に関するものも多い。短くサクっと見れる。

マイクロ波に関するこの話は興味深いものであると約束します。

「電子レンジは1950年代の実験で、ハムスターを人道的に加熱するために発明された」という都市伝説を初期の開発者のもとまで行って調査する動画。冷凍ハムスターはレンジでチンすれば復活する。草。

この動画は○○回再生されています。

YouTubeハック系の動画。あなたがこの動画を視聴する時、動画の再生回数と動画タイトルは完全に一致している。マジックのよう。そしてそれがドーバーの白い崖と宇宙の終焉にどのように関係しているのかという物語。すごい。

Everyday Astronaut

宇宙工学系のYouTuber。ロケットエンジンの仕組みや課題、発展の歴史などを事細かに解説してくれる。ロケット工学についてこれほど高いレベルで説明してくれる人間はめったにいない。

イーロンマスクがSpaceXのラプターエンジンについて解説

SpaceXのロケット工場でイーロンマスクにラプターエンジンを解説してもらう動画。ロケット推進にまつわる様々な工学的技術を心ゆくまで堪能できる。ここまで見せちゃっていいのか?という驚きと同時に、イーロンの宇宙開発における凄まじい執念を伺い知れる。

ソ連のロケットエンジンの系統図

ソ連の兵器にはなんとも言えぬロマンがある。ここではソ連のロケットエンジンに絞って、その発展の歴史を概観する。メカオタクにはたまらない動画。なんだかんだ、人類の宇宙探査におけるソ連の貢献はすごい。

PBS Space Time

天体物理学者のマット・オダウド氏によるYouTubeチャンネル。宇宙論やSFなど、ロマンあふれる知識についてわかりやすく紹介してくれる。

宇宙がブラックホールの中に存在している可能性はあるのか?

我々の住む宇宙は、もしかするとブラックホールの中にあるかもしれない。ブラックホールの中心に時空間が流れ込む様子を内側から見たら、それは時空間を獲得しているように見えるかもしれず、すなわち膨張が観測できる。無限のエネルギーを持つ特異点が存在するなら、その中に有限のエネルギーしかない我々の宇宙が内包されていても数学的破綻は生じない。ビッグバンとブラックホールの数学的類似性について解説する。

History of the Universe

複数の天文学者によって運営されている宇宙の歴史チャンネル。壮大な宇宙史を概観したい人には最適。宇宙版サピエンス全史といったところ。動画はすべて長尺で満足度が高い。

宇宙はどのように始まったのか

宇宙の始まりや銀河の形成など、我々が住む世界について専門家がじっくり解説する2時間近い動画。映像や文章もよく練られていて非常に質が高い。宇宙に偏在する原子や素粒子をもう一度整理して根本から理解したい人に最適。
余談だがコメント欄に「私はこの動画のおかげで麻薬をやめれました」とあり、そこに「私は麻薬をやりながらこの動画を見るのが大好きです」と返信がついてるのを読んで爆笑してしまった。もちろん私は後者の意見を支持している。

Mark Rober

元NASAのエンジニア、マーク・ロバー氏のYouTubeチャンネル。5000万人近い登録者がおり、大衆向けのエンジニアリング動画が多め。面白いのは勿論、要所要所でキチンと工学的な解説が入るのが良い。

車泥棒が因果応報を受ける

グリッターボム(爆発すると臭い液体や塗料が飛び散るカスみたいな箱)を車泥棒に盗ませて、泥棒の家で爆発させるとんでもない動画。このチャンネルの大人気企画。大量のゴキブリが飛び出すボムもある。改良に改良を重ねて最新はVer.6になっている。動画は日本語吹き替えにも対応している。
(余談 : Mark RoberやMr.Beastなど、登録者数の多いYouTuberはデフォルトで日本語吹き替えが選択できるようになってきた。)

Sabine Hossenfelder

超ひも理論についての論争、次の展開

理論物理学者、サビーヌ・ホッセンフェルダー氏のチャンネル。以前この方が書いた『数学に魅せられて、科学を見失う』という本が非常に面白かった。彼女によると、大統一理論の候補であった超ひも理論は今や機能していないという。上記の動画は、その論争の過程などを丁寧に整理解説している動画。勿論、ひも理論がもたらした様々な功績(数学的な手法等)についても触れている。
ある論が、説明可能だからといって、それが証明された事にはならない。美しい数式というのも、ある意味で人間の脳の処理限界から生まれている価値観で、変数は多い方が正確になる。
ちなみに彼女の本を紹介してくれた友人のそひか氏は京都の大学でひも理論研究の博士課程にいる。私が上洛するたびに宇宙の教えを乞いに伺う貴重な異常者。

Real Engineering

工学系のさまざまなエンジニアリングを紹介しているチャンネル。宇宙開発関連がメインではあるものの、M1エイブラムスやF35bなどの兵器関連の解説もあり、最高レベルの工学的悦楽を堪能できる。

ジェームズ・ウェッブ望遠鏡の狂気のエンジニアリング

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のスペックや運用手法について事細かに解説するもの。人類が到達した科学工学レベルの高さに震える。やはりホモ・サピエンスは銀河全体を支配する種族になるべきだ。私が知る中でJW望遠鏡について最も詳しく説明している最高の動画。

Kurzgesagt(クルツゲザクト)

ドイツのアニメーションスタジオ。宇宙や人類についての知識を可愛らしいアニメーション形式で見せてくれる。GIGAZINがこの動画をスクショ転載しただけの記事をよく書いている。

ダイソン球の作り方

「高度な宇宙文明は、恒星のエネルギーを無駄なく利用するため恒星の周囲に殻のようなものを築いてるはずだ」という物理学者フリーマン・ダイソンの思考実験で生まれたダイソン球の作り方動画。宇宙のエネルギーを最大限効率的に運用しようとすると、恒星の周りに殻を築くのが最適解になる。

なぜエイリアンを探してはいけないのか-暗黒森林理論

「宇宙にはこれほど星があるのに、我々以外の文明が見当たらないのは何故か?」という疑問に対して、SF小説『三体』では次のように説明する。「自分の居場所を発信した文明はすべて滅ぼされたので、今ある文明は全てその身を隠している」そうした諸々を検討するのが宇宙社会学であり、暗黒森林理論なのだ。
アメリカ西部のガラガラヘビも、うるさいやつから優先的に駆除された結果、最近の個体はガラガラ鳴かないやつが多くなっているらしい。

Jared Owen

3Dアーティストによる、宇宙船や建築物のエンジニアリングについての3D解説チャンネル。私はこうした3D解説動画がたまらなく好きで、YouTube上にあるそうした解説動画のほとんどに目を通す。再生リストには選りすぐりのものを詰めたので、共感してくれる人は必ず見てほしい。

ISS(国際宇宙ステーション)はどうやって建設されたの?

国際宇宙ステーションの建築方法について解説。そもそも、無重力で酸素もない場所に、大量の鉄を持って行って、ひとつの構造物に変えて運用してやろう、という発想はホモ・サピエンスの異常性をよく示している。

Starlink衛星はどのように機能するのか?

Starlinkについて異常に細かいレベルで解説。使用している基盤の数から位相のレベルまで、全てを分解して段階的に説明を試みる工学オタク向け動画。

34年の時を経て、人類はテトリスに勝利した

前人未到のテトリスの処理限界「キルスクリーン」を達成した少年の物語。
テトリスが歩んできた歴史、対する人間の創意工夫、テトリスを動かしているコードの解説など、胸が熱くなる動画。


おわりに

この記事で紹介した動画は16本程度ですが、再生リストには80本近い動画が詰まってます。暇つぶしにどうぞ。

最後に、宇宙に関連する詩としてウマル・ハイヤーム『ルバイヤート』(青空文庫)を貼って終わりにします。宇宙という究極の神秘に対して、我々は酒を飲んで酔っ払うしか救いはない、というような美しい詩です。
お読みいただきありがとうございました。

もともと無理やりつれ出された世界なんだ、
生きてなやみのほか得るところ何があったか?
今は、何のために来たり住みそして去るのやら
わかりもしないで、しぶしぶ世を去るのだ!

ルバイヤート
RUBA'IYAT
オマル・ハイヤーム
'Umar Khaiyam
小川亮作訳

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