「家にいよう」ではなく「家にいたい」


私の仕事は、在宅勤務やテレワークができない仕事です。ざっくりいうと外回りの営業です。外出の自粛や、在宅勤務の推奨などがなされる中、以前と何ら変わらず出社し、仕事をしています。変わったことといえば、マスクの着用が必須になったことと、出社時間が少し遅くなったことくらい。それ以外は何も変わりません。それが、最近、本当に辛い。

新型コロナウイルスの感染者が県内でも出始めた頃、朝礼に参加した上席が私たち社員に言ったことが頭にずっと残っている。
「1人が感染してしまうと、ここにいる全員が休まなければならなくなる。そうなると会社は潰れます。感染しないように気をつけてください。」
その時、朝の薄ぼんやりした頭で思いました。ああ、この会社はもし私が感染してしまっても、絶対に助けてはくれないのだな、と。お前1人のせいで全員が休まなくてはいけなくなったのだ、会社を潰す気かと、きっと責められるのだろうな。

私が住む街に緊急事態宣言が出されたのが一週間前。さすがに会社からも何か対策や指示がおりるものだと期待した。
朝、出社して上司に言われたことは、「手洗いはしてくれてると思うけれど、うがいも徹底してください」ということだった。…え?それだけ??そう、それだけ。その後一週間、今日に至るまで「うがいをしろ」以降の指示はおりてきていない。
いや、わかるんだ、私たち現場の社員が外回りで売り上げをとってこないことには会社が立ち行かないこと。それは充分わかっている。
「ただ会社を休みたい」わけではない。(ちょっとはあるけど…笑)これだけ外出自粛を叫ばれている中、外で仕事をして周り、闇雲に自らの感染リスクを上げていることがとても怖いんです。対策はもちろんしています。マスクは常時着用しているし、手洗いやアルコールも徹底しているので手は常にガサガサです。それでも、どんなに気をつけていても、外を出歩いている以上、感染リスクをゼロにすることはできないと思います。これまで感染が確認された方たちは、全員、全く対策を取っていなかった人たちなのですか?そうではないはずです。勿論、かかりたくてかかった人もいない。
幸い、私は一人暮らしなので、仕事で外回りをしても、家に帰って家族に知らず知らずのうちに移してしまうことはありません。電車ではなくマイカー通勤なので、他人に移したり移されたりのリスクは低い。だからと言ってつきまとう不安が消えるわけではない。かかったら、どうしよう。
週末は土日ともに一歩も外に出ません。金曜日の会社帰りに、必要な分の食糧などを買い込むので、コンビニにすら行きません。少しでも感染リスクを避けたい。そんな週末を過ごしても、また月曜日の朝になればいつも通りに出社します。なんだかそんな生活をしていると、頑なに外出を自粛している週末が滑稽にさえ思えてくる。

感染してしまうのが、とても怖いです。いや、発症していないだけでもう既に感染しているのかも知れない。普段通り仕事をこなしながらも、毎日が不安です。帰宅してテレビを付けると、感染者数が毎日のように報じられています。正直、外で仕事してる場合じゃないと思います。でも、そうもいかない。出社しないと、売り上げを取ってこないと…

職種は違っても、私と同じように在宅勤務ができない人、出社せざるを得ない人が他にもたくさんいると思います。「1人じゃないんだ」「私だけじゃないんだ」という気持ちを忘れないようにはしたい。でも、いつまで続くんだろうね…感染したり発症したりする前に、不安が募って心が疲れてしまいそうです。

「家にいよう」なんて言うけれど、私だって「家にいたい」んだよ。