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講師はじゅもんをとなえた!

 講師は突如、アクサンシルコンフレックスを唱えた。半ばウトウトしながら講義を受けていた私たちは、それで遠のいていた意識を慌てて手繰り寄せることになったのである。

 教室は一瞬にして、緊張感に包まれた。講師は異世界から何かを召喚したのだろうか。もしくは退屈な講義で油断させておいて突如必殺技を繰り出したのかもしれない。

 とにかく、私たちはこの未知の呪文に対して防御の姿勢を取り、衝撃に備える必要があるだろう。

はなやぎ市子 ファンタジィ日記


 ^ ←この記号をご存知でしょうか。この記号について話題に出そうとするとき、名前がわからず途方に暮れる方も少なくないのではないでしょうか。
 そもそも話題に上りにくいかもしれませんが、プログラミングのテキストで見かけなければ私も「よくニコッとした顔文字(^_^)に採用されている目の部分」などと人差し指で宙に山型を描くジェスチャーをしながら人に説明しただろうと思います。

 でも、大丈夫。これからはアクサンシルコンフレックスと呼ぶことができますよ。伝わるかどうかは相手次第ですが。

 私はこの未知の呪文を一度で覚えることは出来ませんでした。だって何だか聞き慣れない音である上に、長い。え、先生いま何て言いました??アバンストラッシュ?じゃない、何とかコンフリクス?と頭の中で迷走し、テキストを二度見、三度見したものです。

 そもそも、講師は私たち生徒に対しこれを覚えることを要求してはおりませんでした。他に覚えるべきことは沢山あったのです。
 しかし人々の心の奥底に眠る中二病を刺激してくるこの名前、必ずや心に刻まなくてはならないと直感しました。私は今日これだけは絶対に覚えて帰ろう、そう誓ったのです。

 姿勢を低くして身構えていた私たちに向けて、ブーメランのような形の真空波 ^ が高速で飛んできた。もしも直撃したならば、ひとたまりもなかった、まさに危機一髪であった。

 ここは反撃すべきところであろうが、プログラミング初心者である私たちの誰もが対抗できるような技を持ち合わせていなかった。インスタンス?オペランド?だめだ、弱すぎる。

はなやぎ市子 ファンタジィ日記

 アクサンシルコンフレックスにはサーカムフレックスという、別の呼び名もあるようです。あとは、アクセント、ハットなど。

 実際に後日別の講師がホワイトボードにこれを書きながら「ハット」と呼んだことは衝撃でした。

 ...いやハットでいいなら最初からそれにしてくれよな。

※このお話はファンタジィ日記部分のみフィクションとなっております



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