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【連載小説】恋愛ファンタジー小説:正直な王子と正直じゃない姫君(8)(エッセイは訳ありのみにあります。もう力尽きました。バタッ)

前話

気がつくとあたしは天井が白い部屋に寝かされていた。
「天国?」
 ぽそ、っと言うとエルンストがのぞき込む。
「エリアーナ起きたんだね。よかった」
 うっ。だからその目には弱いのよ。心臓に悪いわ。と、そこまで考えて死にかけていたのを思い出す。
「ここは?」
「病院だよ。宰相がエリアーナの命を助けてくれてそのままここへ運ばれたんだ。もう魔力は残ってないから使わないで」
「まりょ・・・くが・・・ない?」
 顔面から血が引く。魔力なしでどうやって生きろと? エルンストはその事が解ったようで言う。
「普通の人間のお姫様なんだよ。エリアーナは。もう二千年前の人間じゃない。今、生きている人間なんだ。俺のことそんなに嫌い?」
 ああ。だからその子犬のような目、やめて。
「嫌い・・・じゃないわ。ただ、夢を見たかっただけ。あたしもエルントが・・・」
 その後を言葉にするのはいやだった。まるで負けを認めたかのようだったから。
「俺が? 何?」
 優しく聞いてくる。
「好き、なのよっ。全部言わさないで! あなたはあたしに指一本触れずに落としたのよ」
「今、手握ってるけど?」
 だーっ。問題はそこじゃない!
「わかった。解ったから。銀のお盆を取りに走らないで。エリアーナとだったらどこでも暮らせると思っていたけど間違いだった。俺、結局、剣を振るうことしかできない。城に帰ろうとはいわない。ただあの俺の領地で一緒に生きていってくれない?」
「それってプロポーズ?」
「うん」
 にかっとまた笑顔になる。その笑顔に弱いのよ! 特に今は。
 はぁ、とあたしは大きく息を吐く。
「エリアーナ?」
「わよ・・・」
「何?」
「だから、いいわよ、って! 領地でもなんでも行くわよ。エルンストの行くところなら」
「エリアーナ!」
 だー。馬鹿力で抱きつくな。肋骨が折れる!
「まだ、目が覚めた所なんだからもっと優しく抱いてお上げなさい」
「王妃様! エルンスト開放して!」
 エルンストがしぶしぶ離れる。一応、まだ清い仲なんだからこれ以上は許さないわよ。じと、っとにらみつける。それから王妃に目をやる。
「あなたも、これで死ぬことはしないでしょう? 今度は本当に死んでしまうのだから。人間は弱い生き物。でもだから一人でなく二人で生きていくのよ。エルンストの嫁としては合格よ。他の妃の馬鹿王子に比べればエルンストはまともな思考回路を持っていますからね。領地で療養しながら花嫁修業するのね」
 花嫁修業・・・。ホントに結婚するんだ。急に恥ずかしくなったあたしを見て王妃がにっこり笑顔になる。
「初心ね。男を手玉に取るぐらいになっておきなさい。挙式はもう少し後だから。エルンストをコロコロしてなさい」
 そうして王妃が出て行くと、隣に住んでいたおじいちゃん、もとい宰相がやってくる。
「おめでたいことですな。すみませぬ。だますような真似をして。ですが、いて正解じゃった。魚だけなら栄養失調ですぞ」
 あたしはかぁ、っと頬が赤くなる。確かに生活力のなさは実感せざるを得ない。
「姫にはもう魔力はございませぬ。これからはエルンスト様と協力して生活なさい。せめて、魚一本から野菜も食べるようにして。栄養バランスは大事ですぞ。そうそう。それなら、今ある食材を言えばレシピを言ってくれるオートマタを調達しましょう」
 オートマタ。あの機械の事。それをこの国ではオートマタと言っている。
「本当に結婚するの? 二千年前のばばあのミイラよ?」
「ミイラなんかじゃない。ちゃんと女の子の心を持った生きた人間だよ。姫、エリアーナ姫。俺と結婚して下さい。もう、無理はさせない。俺が全力で守る」
「エルンスト・・・」
「だめ?」
 ああっ、その子犬の目は止めて! あたしは照れ隠ししながらぽそっと言う。
「二度もプロポーズはいらないわ、いいわよ。その代り、第二妃とか入れたら即、離婚だからね」
「姫!」
 がばっとあたしはまた抱きしめられる。ぬくもりが伝わってきてほっとする。
「姫? 泣いてるの?」
 エルンストが頬に触る。あたしはいつの間にか泣いていた。失った過去に。もう会えないお父様やお姉様達。
「二千年の時はもう戻らないけど、これから未来に生きていこうよ。もう泣かないで。またお墓参り行こう。姫の父上達のお墓は俺の領地内にあるんだ。あの領地はエリアーナが生きていた土地の未来の形なんだ。いや、今の形かな?」
 どーしてそんなに優しいの? 心が揺さぶられる。涙があふれる。
「お父様・・・。お姉様・・・」
 こらえていた涙がこぼれる。ずっと我慢していた涙が。それをエルンストは布で拭う。
「大丈夫。これからは子供達が生れて姫は昔を考える暇もないよ」
 子供! そうよね。結婚すりゃ、することは一つ、よね。
 あたしは冷静になると同時に恥じらいを感じてしまう。どこまであたしも初心なんだか。
「何時にする? 結婚式」
 エルンストが取り出したカードは暦だった。
「この日なら大安だよ」
「何? その大安って」
「いい日ってこと。結婚式は大安にすることが多いんだ。でも療養期間が必要だなぁ。え~と」
 暦のカードをめくりながらエルンストは暦とにらめっこしている。それがおかしいのか涙腺崩壊して感情が壊れたのかあたしは笑っていた。
「姫。これは重大なことだよ!」
 間抜け面で主張するところがまたエルンストらしい。
「結婚式なんていつしても一緒よ。どうせなら天赦日にしたら?」
「なにそれ?」
 エルンストがまっすぐな視線を向ける。
「子供はコウノトリさんが運んでくれるから当分清い仲で」
 あたしの言葉にエルンストが百面相をしだしだ。それがおかしくてずっとエルンストで遊んでいたあたしだった。


なんか、ほんと物語めいた作りだなー。今書いているものと雰囲気がまるで違う。二年か三年の差しかないのに。表現の仕方が変わってると思うのですが、どうなっているかはわかりません。と、明日の昼の薬を用意しに降りたら薬入れなくて、マイクロSDこともちょろっと話すとそこのアルコール綿花のところに……って、母が言うので見たら、64Gのが一個ちょこんと転がっていて。ゲームに使える! ととっさに思ったのでした。昨日、持っていたものが壊れているとでるので、セットアップ時にとっさにSwitchのものをつかったんです。おそらく野球ゲームとかダウンロードしたやつが。一から入れ直しでしょうが、あの高いマイクロSDはもう無理ね。どうしようかという状況です。二つも持ってるんだけど。最近しなくなってしまって。目下、執筆と野球で手一杯です。

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