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気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました。

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昔に書いていた1話千字程度のファンタジー恋愛小説の再編集版から最新話を載せるマガジンです。当分、再編集版が載ります。159話まで行っても終わらないので困ってます。姫と王太子の婚礼… もっと読む
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#エッセイ

【連載小説+エッセイの勉強+論文草稿、2.2危険性を含むES細胞】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(75)+「いただく、ということ」+「2.2危険性を含むES細胞」

前話 「さて。落ち着いたところで仕事をしてしまおう。ゼルマは聖獣と遊んでおいで」 「って。私もティアラの……」 「仕事のし過ぎはダメ」 「ウルガーも……」 「俺はいーの」  そこへトビアスが飛び込んできた。どこでここを覚えたのかしら? 「あねうえー」  ウルガーでなく、私にぴとっと足元に抱きついてウルガーは顔が引きつってる。ヤバい。 「トビアス。お母様のところにいきましょう」  慌てて言って東屋を出ようとする。 「おかあさま。あかちゃんうまれるっていってた」  えー!!  

【連載小説+エッセイの勉強】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(74)+「後書きという名のエッセイの勉強」

前話  予想を覆すことなく、翌日、キンモクセイの宮は人であふれかえっていた。まず、最初にタピオとクルヴァがお父様とやってきた。この子たちはいつもここだからいいけれど。でも質問攻めにあう。お父様も大丈夫かと何度も聞くし。  そうこうして朝食となったらフローラお姉様夫婦、ダーウィットお兄様夫婦、マティアスお兄様夫婦、が一挙に押し寄せた。一斉に病気がどうのこうのと聞かれるけれど、こんな大人数の言葉を聞き分けられることもなく、ウルガーにアイコンタクト。そこでウルガーのちゅー魔が発動

【連載小説+エッセイの勉強】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(72)+エッセイの勉強:なんややることがようさんあるなぁ。

前話  スティーナとトビアスにもらった元気で心に明かりがともった私は、ウルガーやダーウィットお兄様、マティアスお兄様に交じって春祭りの施策を考えることとなった。ウルガーはこもっているよりはいいからと強引に引っ張る。心が少し楽になっていた私は連れられるままカシワの宮へ来た。アウグストお兄様もいる。 「はい。母上からの宿題」  さすがにこの人員の中で膝にのせて執務をする気はないらしく、私が座ったテーブルの前にどん、と冊子が積まれた。 「何これ?」  ページをめくるとドレスが並ん

【連載小説】気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(68)+【エッセイの勉強】「週三でばてる」

前話 「おにいちゃんの葡萄を上げるから桃はお姉ちゃんに返そう」  ウルガーが子供たち手にある桃を取り上げようとするけれどいたいけな瞳の攻撃に困って固まる。見かねたアルポおじいさんが仲裁にでる。 「これこれ。ケーキを食べたじゃろ。ウルガー王子の葡萄はもらえても桃はゼルマ姫の大事な人へのプレゼントじゃ。みんなも誕生日のプレゼントを誰かにあげられたらいやじゃないか?」 「いやー」 「やー」  ウルガーがこの仲裁にそく食いつく。 「じゃ。お兄ちゃんの葡萄を一緒に水洗いしてくれる子だ

【新連載小説】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(66)+【エッセイの勉強】

前話 「ヘレーネ。こっちよ」  ヘレーネのリードを持ちながら、私は街の荒廃ぶりに衝撃を受けていた。まだ市場は活気があった。人の生活のにおいがした。だけど、下町に近いここには虚無が住んでいた。あちこちに悲しみがあふれていた。もしかして、アルポおじいさんも……、なんて事がよぎった。その角を曲がれば本屋さんだ。角を曲がって、本屋には灯りがなかった。私は思わず、立ち止まった。先を歩いたウルガーが振り向く。 「ゼルマ?」 「ウルガー、アルポおじいさんは……」 「ああ。そうか。忘れたの

【連載小説+エッセイの勉強中】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(59)+気ままに書くエッセイ「阪神ファンの心配と試験」

前話  数日してスティーナは健康を取り戻した。ウルガー一人に任せるのは大変だと、おチビさんを連れて度々会いに行った。そうすると必ずトビアス様がスティーナを泣かせてしまう。クルヴァがあかちゃんには優しくね、と言い聞かせているのを見て兄弟もいいものね、と呑気にも思っていた。やがて、スティーナはマチルダ様に引き取られて行った。  診療所はまた空っぽになった。むなしい気持ちがぽっかり空いている。そんな沈んだ気持ちの私をウルガーはヘレーネとアルミの散歩に誘ってくれた。  いつまでもう

【連載小説+エッセイの勉強中】恋愛ファンタジー小説:気がついたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(58)+エッセイの勉強中「私も阪神も大乱調」

前話 「ウルガー」  私は夕食の料理を持っておチビさんたちと一緒に診療所に訪れていた。 「ゼルマ! 何かあったのかいって。うわっ」 「あにうえー」  トビアス様がウルガーの足にひっついていた。 「トビアス様はウルガーお兄様好きなの? と。これお夜食。お腹空いたら食べて。タピオが作った野菜料理よ」 「タピオが? タピオ料理作れるようになったのか?」  全員で一斉に違うと言う。 「タピオが育てた野菜を料理してもらったの」 「なーんだ。タピオが料理したかと思った」  茶目っ気たっ

【連載小説+エッセイの勉強中】恋愛ファンタジー小説:気が付けば自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(57)+エッセイの勉強中:感情があっちいきこっちいき……。「収集なさい」と宿主が命令しても飛んでいく。

「愛する方の元へ戻りたくはないのですか?」  私が言うとマチルダ様は悲しげで儚げな表情をなさる。 「きっとあの人はもう忘れているわ。ただ、この子に兄妹を持たせたくて。それにトビアスが妹が欲しいとだだをこねるときが多くなってきて。お兄様がいるでしょう、と言っても一番下なのが気に入らないようで……」 「そうね、弟の時は兄になりたい者よね。兄は弟になりたがるけれど。私とウルガーはスティーナをマチルダ様に預けるつもりです。名前もマチルダ様のお好きな名前にしてあげてください。私がとっさ

【連載小説+あとがき+エッセイの勉強中】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(54)+あとがき+エッセイの勉強中「俳句再開します! と 輝さん打ってくれー」

前話 「母上。今夜はここに俺一人残ります。世話をする人間がいないと流石に生き残れません」  それじゃ、と言いかけた私とウルガーは制す。 「ゼルマと一夜明かしたとなれば、またお手つき騒動が浮かびかねない。かといってマチルダ様に来てもらっても危ない噂が立つからね。俺一人ですませるよ。赤ちゃんのことはフローラ姉上の時に嫌というほど味わって知ってるから」  ウルガー、とお母様が言う。 「恨んでますね。相当。恋人同士の時間を赤ちゃんの世話にこき使い倒したと」 「よくおわかりで。母上。

【連載小説+あとがき+エッセイの勉強中】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(53)+あとがき+エッセイの勉強中「保護猫のYouTubeと阪神応援」

前話  スティーナを取り合いしていると、大神官様がやって来た。この方めったに外へ出ない方じゃなかったの? 「これはこれは可愛い女の子ですな。ウルガー様とゼルマ様のお子ですか?」 「違います!」  二人同時に言い放つ。 「冗談ですよ。拾い子とはこの子ですな」 「スティーナというの。私が名前をつけたの」 「すぐ変わるけれど」 「ウルガーは余計な事言わなくていいの!」  思いっきり足を踏んづけてやる。 「いてっ。ゼルマは暴力的だなー」 「その女性を妻にするんだけど?」  まだ、マ

【連載小説+あとがき+エッセイの勉強中】連載小説 気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(52)+あとがき+エッセイの勉強中「阪神最下位ー(T-T)」

前話 「ゼルマ、どうしたんだい? そんなに泣きじゃくって。風邪引くよ」 「いい。馬鹿な私なんて風邪でも何でも引けばいい」  泣きながら言う。言ってることの半分もわからないと思うけれど。背中にふわり、と暖かさがやって来た。ウルガーの残り香。上着だ。 「泣いていることはいいよ。悲しいときはいつだって泣けばいいんだから。ただ、あの赤ちゃんをマチルダ様に預けるまではゼルマがお母さんになってあげて」 「私? 私が?」 「託されたのは君だよ。君があの方のお母さんの代わりだ。いいから戻る

【連載小説+エッセイの勉強中(あとがきもなし)】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(51)+エッセイの勉強中「体調不良で阪神も負けた」

前話 「お母様!」  王宮に飛び込む。先ほど、ヘレーネの散歩に行くのを見届けてからお母様は王宮に戻られていたのだった。 「王宮の外で女性が倒れていてこの赤ちゃんをまかせて……」 「亡くなったのね」 「はい」  目に涙をためて私はうなうずく。こうも母を失う幼子を見ると自分と重ねてしまう。 「ウルガー、埋葬をダーウィットかマティアスに任せて。この子の状態を診てあげなさい。仮にも医者なのだから」 「仮にも、は余計です。今すぐ、診察室へ連れて行きます。その前に保温できるおくるみはあ

【連載小説とあとがきというエッセイの勉強中】連載小説 気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(48)+あとがきという名のつれづれに書き連ねた話

前話  私達が杖を手にしてから、何日かは音沙汰無かった。だけど、ある日、キンモクセイの宮の窓に大きな白いフクロウが止まった。何かついている。足に着いているものを外すと手紙だった。私宛、だった。長となった私と謁見したいという申し込みだった。こういうのは私じゃなくてお母様に聞いてもらわないと、とブツブツ言ってるとひょいっと頭越しにウルガーが手紙を盗み見ていた。 「ウルガー! 盗み見はダメでしょ。お母様に伝えないと」  ウルガーはどうして、という表情をしている。 「ゼルマに会いた

【連載小説とあとがきとエッセイの勉強】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(46)+あとがきと野球中継してるエッセイの勉強「先制されたー!!!!」

前話 「黒い水晶?」  お母様はしばらく私の杖を見ながら頭の中で反芻なさって考えられていたけれど、ふいにおっしゃった。 「拾われたときに子供用ペンダントしていたと母から聞いたわ。それかしら?」 「おそらく・・・」  大神官様が言う。 「今から取ってきます」  王宮に戻ろうとされたお母様を大神官様は止める。 「単独で行動なさらぬ方がいい。皆で行こう。ゼルマ姫。今からわしが言うから杖は水晶に戻されよ」  大神官様が何か言うと杖は最初の水晶の塊に戻った。だけど、キラキラ光っている