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気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました。

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昔に書いていた1話千字程度のファンタジー恋愛小説の再編集版から最新話を載せるマガジンです。当分、再編集版が載ります。159話まで行っても終わらないので困ってます。姫と王太子の婚礼… もっと読む
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#羽柴史莉

【連載小説】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(71)

前話  翌日、さっそくウルガーが迎えに来て、カシワの宮へ移動しようとすると廊下をトビアスが駆けてきた。 「あねうえー。あにうえー」 「あら。トビアス元気ね〜。ま。またウルガーにくっついてるわね」  ぴとっと足元に抱きついてウルガーは動けなかった。 「ちょうどいいわ。トビアス。鬼ごっこしましょう。ウルガーが鬼よ。さあ、隠れるわよ〜」 「ゼルマ! もう。元気になればすぐそうなんだから」  ウルガーが言ってるのも無視して華の宮で鬼ごっこする。 「鬼ごっこしてる暇はないよ! 春祭り

【連載小説+エッセイの勉強】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(70)+エッセイの勉強「猫を処方致します2」聞ききった!伏線が山ほど!!!!

前話  力なく首を振りながら、私はつぶやくように言う。 「ちがうの。今までにあった人の死があまりにもつらすぎて。ひとりでどうしたらいいかわからなくて。笑いたいのに笑えなくて。ウルガーのそばにずっといたかった。この腕の中に閉じ込めてずっと抱きしめていてほしいの。あの子たちがいいなくなったことがまだ信じられなくて……」 「あの子たちって。アルポおじいさんの店に出入りしていた子たちかい?」 「ええ。ティナが亡くなったと聞いて。私にすごくなついていた可愛い子なの。それなのにもういな

【連載小説後書き付き】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(69)

前話  八百屋のおじさんおばさん、アルポおじいさんの生存確認をしてから私はなんのやる気も出ず、ただ、キンモクセイの宮でぼーっと外を眺めて暮らしていた。ウルガーはワクチン施行策で宰相のダーウィットお兄様達と毎日協議してこちらには食事の時しか来なかった。そのウルガーが顔を輝かせて昼の真っただ中やってきた。 「ゼルマ! やっと政策が通ったよ。ごめん。放りっぱなしだったね。アルミたちと遊ばない?」 「そうねぇ……」  私はやる気のない声で頬杖をつきながら中庭を眺めていた。 「ゼルマ

【エッセイの勉強】疲れた

サイトを作ろうと画策して二日目。いろいろテンプレート使いながら二十三話載せきった。あとはリンクと小さな手入れのみ。あとがきもいるけれど。その間に野球はとっとこ進み、甲子園で巨人さんがノーヒットノーラン達成。強すぎる。出る幕なし。及川さんは負傷して降りるし。大事ないといいけれど。 ノーヒットノーラン達成と同時にファイルが全部できあがってリンクと書き込みのみになったのでサイトに上げて、もう少しでWordpress消すとこだった。アブねー。 ディレクトリ名を完全に忘れていた。オ

【連載小説】気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(68)+【エッセイの勉強】「週三でばてる」

前話 「おにいちゃんの葡萄を上げるから桃はお姉ちゃんに返そう」  ウルガーが子供たち手にある桃を取り上げようとするけれどいたいけな瞳の攻撃に困って固まる。見かねたアルポおじいさんが仲裁にでる。 「これこれ。ケーキを食べたじゃろ。ウルガー王子の葡萄はもらえても桃はゼルマ姫の大事な人へのプレゼントじゃ。みんなも誕生日のプレゼントを誰かにあげられたらいやじゃないか?」 「いやー」 「やー」  ウルガーがこの仲裁にそく食いつく。 「じゃ。お兄ちゃんの葡萄を一緒に水洗いしてくれる子だ

【新連載小説】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(66)+【エッセイの勉強】

前話 「ヘレーネ。こっちよ」  ヘレーネのリードを持ちながら、私は街の荒廃ぶりに衝撃を受けていた。まだ市場は活気があった。人の生活のにおいがした。だけど、下町に近いここには虚無が住んでいた。あちこちに悲しみがあふれていた。もしかして、アルポおじいさんも……、なんて事がよぎった。その角を曲がれば本屋さんだ。角を曲がって、本屋には灯りがなかった。私は思わず、立ち止まった。先を歩いたウルガーが振り向く。 「ゼルマ?」 「ウルガー、アルポおじいさんは……」 「ああ。そうか。忘れたの

【連載小説】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(66)+裏話

前話  ヨハネスお父様は、故国に帰れなくなったマチルダ様を保護すべきか離婚すべきか悩んでいらしたみたい。離婚用紙はすでに用意されていた。マチルダ様は本当の事なのかしら、と信じられなさそうに用紙を見つめていたけれど、意を決してサインなされた。それからダーウィット様から今度は婚姻届を出されて私達も度肝を抜かれた。 「いつのまにそんな準備を」 「宰相たるものあらゆる事を想定せねばなるまいからな。お前達の様子を見てしっかり用意していた」 「恐れ入ります」  マチルダ様が頭を下げる。

【連載小説+あとがきと進捗状況】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(64)+あとがきと論文の進捗状況

前話  私達は愛犬の散歩を終えてタピオ達と遊ばせるといつもあの人間をダメにするクッションの部屋に入り浸ってああだこうだと、マチルダ様の事を考えていた。そこへ、いらぬ邪魔、いえ、救い主が現れた。 「最近、宮でいちゃつかないと思えばここか」 「マティアスお兄様!」  その後ろにはダーウィットお兄様もいた。 「いい、逢い引き場所を見つけたようだな。恋に狂っている二人には」 「その肩書きを貼らないでください。で、お二人には何か考えが?」 「本人を連れてきた」 「マチルダ様を?!」

【連載小説+あとがき+論文】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(63)+独学論文「不可逆的幹細胞iPS細胞は宗教と対話できるのか 序」

前話 「ウルガー」  私は名を呼んで彼の肩に頭を預ける。 「わかっている。辛いな。俺も辛い。救えぬ命に出会うといつもそうだ。ゼルマは一層辛いな。トビアスを可愛がっていたから」  それを聞くとどっと涙があふれてきた、会えぬまま引き裂かれた父と息子。そして夫と妻。その組み合わせが悲しかった。 「大丈夫。マチルダ様はもう悲しみから抜け出されている。だから、余計に言わない方がいいんだ」 「もしかして・・・新しい、恋?」 「そう。あの男には辛いだろうがな」 「そう。そうなの。ってウル

【連載小説、あとがきつき】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(62)

前話  菜園から帰り、ちびっ子達とどろんこになって、また、キンモクセイの宮に帰ってきた。アーダは私を見るなり、お風呂へ! といい、タピオ達はダーウィットお兄様と戻ってきていたウルガーに捕まってどこにあるかも知らない大浴場に連れて行かれた。  さっぱりして、お風呂から上がるとアーダがバスタオルを持って待ち構えていた。 「もう。そんな泥棒を捕まえるように待ち受けていなくても……」 「ウルガー様も準備万端ですよ」 「そうなの?」  それは熱風機で髪を乾かして結ってくれるという事だ

【連載小説、あとがきつき】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(61)

前話 点滴を終わった頃にまた私は診療所にきた。あまり長居しては不審に思われると言われて出たのだ。マティアスお兄様は危ない遊びを考えついて私はその遊びに真っ赤になって怒鳴りつけそうになった。慌てて声を潜めたけれど。この三兄弟、やばいわ。それもあってとっととキンモクセイの宮に戻っていた。案の定トビアス様が遊びに来ていてタピオ達と鬼ごっこしていた。私が戻るとタピオが真っ先に来る。 「姉上! 今日も父上の菜園に行こうー」 「って。私の菜園はどーでもいいのかしら?」 「姉上の菜園を手

【連載小説+エッセイの勉強中】恋愛ファンタジー小説:気がついたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(58)+エッセイの勉強中「私も阪神も大乱調」

前話 「ウルガー」  私は夕食の料理を持っておチビさんたちと一緒に診療所に訪れていた。 「ゼルマ! 何かあったのかいって。うわっ」 「あにうえー」  トビアス様がウルガーの足にひっついていた。 「トビアス様はウルガーお兄様好きなの? と。これお夜食。お腹空いたら食べて。タピオが作った野菜料理よ」 「タピオが? タピオ料理作れるようになったのか?」  全員で一斉に違うと言う。 「タピオが育てた野菜を料理してもらったの」 「なーんだ。タピオが料理したかと思った」  茶目っ気たっ

台本「恋文×嘘をつかない」をお借りして。改稿:【訳あり姫君スピンオフストーリー「ユメ」と言う名の姫君の物語の一番最初のストーリー】

 未曾有の流行り病のおかけで私とウルガーは初めてこの世界で離れ離れになった。もともとはこの世界にない病気で私一人が亡くなるという筋書きが私を都合よく思わない人々に操作されそうになった 。とっさに、来ていた木の宮に私たちは残り、ウルガーは医者として大神官様と都に戻った。初めて離ればなれ。一度、無意識と意識の世界に離れたことはあったけれど、私にとっては一瞬のことで、こんなに不安な夜を過ごすことはなかった。お母様は、そんなウルガーを思って不安定な私に『ユメ』という名前を与えて、忘れ

【連載小説+エッセイの勉強中】恋愛ファンタジー小説:気が付けば自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(57)+エッセイの勉強中:感情があっちいきこっちいき……。「収集なさい」と宿主が命令しても飛んでいく。

「愛する方の元へ戻りたくはないのですか?」  私が言うとマチルダ様は悲しげで儚げな表情をなさる。 「きっとあの人はもう忘れているわ。ただ、この子に兄妹を持たせたくて。それにトビアスが妹が欲しいとだだをこねるときが多くなってきて。お兄様がいるでしょう、と言っても一番下なのが気に入らないようで……」 「そうね、弟の時は兄になりたい者よね。兄は弟になりたがるけれど。私とウルガーはスティーナをマチルダ様に預けるつもりです。名前もマチルダ様のお好きな名前にしてあげてください。私がとっさ