マガジンのカバー画像

気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました。

81
昔に書いていた1話千字程度のファンタジー恋愛小説の再編集版から最新話を載せるマガジンです。当分、再編集版が載ります。159話まで行っても終わらないので困ってます。姫と王太子の婚礼… もっと読む
運営しているクリエイター

#ダーウィット

【訳あり姫君スピンストーリー+エッセイの勉強】恋愛ファンタジー小説:宰相殿下様の奇妙な日々 最終話+あとがきにエッセイの勉強

前話 「価値ってなに?」  タピオ様が聞く。 「それはね、大事なものの物差しよ。それに合わせて人は生きているの。長いか短いかで人は判断するけれど、そこが重要ではない時もあるのよ」  ゼルマ様の説明に、ふーん、とわかったのかわからないのかタピオ様が言う。 「姉上ー。もっと収穫しないと菜園できないよー」 「今日はだーめ。ヨハネスお父様とお母様達も交えて作戦会議よ。さぁ、どろんこの体をお兄様達に洗ってもらいなさい」 「行くぞ。タピオ、クルヴァ」  ウルガー様が優しい笑みで、お二人

【訳あり姫君スピンオフショートストーリー+エッセイの勉強】恋愛ファンタジー小説:宰相殿下様の奇妙な日々 第10話+あとがきは「エッセイの勉強」タブレットの入力問題

前話  菜園にいる間、私もダーウィット様もゼルマ様の明るい笑い声に釣られて笑う。こんなに大きく声を出して笑うのは久しぶり。なんて気持ちがいいのかしら。こんな方に愛されればとても誇らしいでしょうね。少し、ひねた感情が生まれた。 「ニーナ。私はニーナの方を愛しているんだよ」  ダーウィット様が耳元でささやかれて、私はびっくりして尻餅をつく。そこにタピオ様が姉上と言って抱きついてくる。可愛い弟。家にもいるけれど、もう会えないのかしら。少し悲しくなる。 「大丈夫だよ。兄上に退かれる

【訳あり姫君スピンオフショートストーリー+エッセイの勉強】恋愛ファンタジー小説:宰相殿下様の奇妙な日々 第9話+エッセイの勉強今日の睡眠負債と座骨神経痛

前話 「ダーウィット様? 本気で? ツボを割ったり、書類ぶちまけたり、お盆曲げるメイドですよ?」 「そばかすのメガネのそそっかしい君が大事になった。もう離したくはない。今、君を家に帰せばもうここには来られない。父上が娘を帰せと言ってきている。もっといい家の息子の嫁にすると言っていた」 「お父様が?」  そこへノックの音がした。 「兄上」 「ウルガー」  そこには作業服で泥だらけのウルガー様とおそらく、ゼルマ姫様がお立ちになっていた。そして足下にはタピオ様とクルヴァ様がナスを

【訳あり姫君スピンオフショートストーリー】恋愛ファンタジー小説:宰相殿下様の奇妙な日々 第8話

前話 そして、暑い恋の季節がすぎていく。その間も、私はダーウィット様付きのメイドとして仕事のお手伝いをしていた。そして、私は頭を抱えさせるほどのミスをしてダーウィット様を悩ませていた。 「ニーナ。どうすれば銀のお盆を二つに折れるんだい?」 「私にもさっぱり。曲がってるから少し戻そうとすれば手が滑って・・・」 「結婚してもそれじゃ、あっという間にお盆と食器を失うね」 「け・・・結婚?!」  ぐしゃ・・・。 「あ」 「ニーナ。今大事な話をしようとしてるんだ。お盆はどこかに置きな

【訳あり姫君スピンオフショートストーリー】恋愛ファンタジー小説:宰相殿下様の奇妙な日々 第7話

前話  後から聞いた話だと、私が検査を受けている頃、ダーウィット様は国王陛下の菜園におられたらしい。外出できない、未曾有の流行病に陛下はご自身の菜園で精を出されておられたよう。そこへダーウィット様が皆が言うことには爆弾発言をしていたそう。 「父上。恋とはなんですか?」  陛下は固まったそう。振り返った顔はウルガー様と同じだった。 「恋とは・・・お前・・・」 「はい」 「恋だよ。大事にしたいと思う人が出来ればそれが愛だ」 「では、いきなりキスした相手も?」 「そんな事をどこの

【訳あり姫君スピンオフショートストーリー】恋愛ファンタジー小説:宰相殿下様の奇妙な日々 第6話

前話 弟6話 「じゃ、頼んだ。えーっと・・・」  私を見てダーウィット様が言いよどむ。 「ニーナ。ニーナ・ケトです。殿下」 「今日からダーウィットでいい。では、な」 「兄上!」 「ダーウィット様!」 「あ。ニーナ。計り終わればまた執務室へ」  そう言ってぱたん、と扉が閉じる。  机の上でウルガー様が額を抑えている。 「あの方は・・・」 「あの・・・。気が進まないのなら・・・」 「いや、あの兄がわざわざ来たんだ。放っておく訳にはいかない。測りに行こう。で、本当にお手つきに?」

【短期スピンオフストーリー】恋愛ファンタジー小説:宰相殿下様の奇妙な日々 第2話

前話 「いたっ」 「あ。すまない。どうすればあんな壊し方ができるのだ。おまけに手を負傷して。手で割ったのか?」  宰相殿下様の聞き方にびっくりする。誰が手で割るの? 王家のものを。 「いや、どこかでそんな事をしている国があるらしいから。なんでも家の屋根の瓦というものを積んで拳で割るらしい。君は、その技術を持っているのかと思った」  ぶんぶん、クビを振る。 「そうか。それは面白いものを見たのだな。母上には私から言っておくから、仕事は続けるように。ああ、これで治療は終わったな。

【再掲連載小説】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(40)再編集版

前話 「アーダ! エルノー!」  華の宮に大量のナスを持って帰還する。アーダはその量に愕然としていた。 「どれだけ収穫なさったのですか!」 「タピオとクルヴァに聞いて。さぁ、台所に持っていくわよ。二人とも。とっても素敵な料理長がいるのよ」 「行くー」 「僕もー」  カルガモの子よろしく、ウルガーとタピオ達をぞろぞろつけて台所へ向かう。 「料理長ー。ナス料理山ほど作ってー。みんなも食べれるわよ」  どさっと収穫したナスのカゴを置く。 「こんなに。一体どうやって・・・」  料理