- 運営しているクリエイター
#夢と現
【連載小説+エッセイの勉強中】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(59)+気ままに書くエッセイ「阪神ファンの心配と試験」
前話 数日してスティーナは健康を取り戻した。ウルガー一人に任せるのは大変だと、おチビさんを連れて度々会いに行った。そうすると必ずトビアス様がスティーナを泣かせてしまう。クルヴァがあかちゃんには優しくね、と言い聞かせているのを見て兄弟もいいものね、と呑気にも思っていた。やがて、スティーナはマチルダ様に引き取られて行った。 診療所はまた空っぽになった。むなしい気持ちがぽっかり空いている。そんな沈んだ気持ちの私をウルガーはヘレーネとアルミの散歩に誘ってくれた。 いつまでもう
【連載小説+エッセイの勉強中】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(50)+エッセイの勉強中「野球生活がはじまった!!」
前話 早速翌日から神殿に呼び出された。物語師の水晶は大神官様が責任を持って預かると言われたのでさっさと渡した。何が起こるかもわからない代物を持っている気はなかった。ただ、あのふわもこした聖獣には会いたかった。その内、寂しくなればまた出てくる、と大神官様は言われたけれど、一向に姿を見せなかった。そんな私にヘレーネが甘えてくる。 「ああ。ここのところまた散歩をお母様に預けていたわね。ウルガーも誘ってアミルと一緒に散歩に行きましょう」 リードを持つと嬉しさでぐるぐる回って愛情
【連載小説とあとがきというエッセイの勉強中】連載小説 気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(48)+あとがきという名のつれづれに書き連ねた話
前話 私達が杖を手にしてから、何日かは音沙汰無かった。だけど、ある日、キンモクセイの宮の窓に大きな白いフクロウが止まった。何かついている。足に着いているものを外すと手紙だった。私宛、だった。長となった私と謁見したいという申し込みだった。こういうのは私じゃなくてお母様に聞いてもらわないと、とブツブツ言ってるとひょいっと頭越しにウルガーが手紙を盗み見ていた。 「ウルガー! 盗み見はダメでしょ。お母様に伝えないと」 ウルガーはどうして、という表情をしている。 「ゼルマに会いた
【連載小説とあとがきとエッセイの勉強中】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(47)+あとがき+エッセイの勉強中
前話 私達は巨大な庭園を通り越して宮殿に入る。お母様の部屋の前で待つ。懐かしい、お母様の部屋。一時、ここで一緒に寝泊まりしていた。思慕が不意に沸き起こる。出てきたお母様が私ににっこり笑いかける。 「母心でもつきましたか?」 お母様は図星の私の頭を軽く引き寄せ抱きしめる。 「あなたもいずれ母となるのですよ。今のうちに母に甘えなさい」 「お母様……」 私とお母様のラブシーンに嫉妬したのかウルガーがせっついてくる。 「それで、水晶の……」 「これですよ。ウルガーにとってはお
【連載小説とあとがきとエッセイの勉強】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(46)+あとがきと野球中継してるエッセイの勉強「先制されたー!!!!」
前話 「黒い水晶?」 お母様はしばらく私の杖を見ながら頭の中で反芻なさって考えられていたけれど、ふいにおっしゃった。 「拾われたときに子供用ペンダントしていたと母から聞いたわ。それかしら?」 「おそらく・・・」 大神官様が言う。 「今から取ってきます」 王宮に戻ろうとされたお母様を大神官様は止める。 「単独で行動なさらぬ方がいい。皆で行こう。ゼルマ姫。今からわしが言うから杖は水晶に戻されよ」 大神官様が何か言うと杖は最初の水晶の塊に戻った。だけど、キラキラ光っている
【連載小説+あとがきとエッセイの勉強】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(45)+開幕戦だー!!
前話 菜園の隣の犬の運動場でアルミとヘレーネも混ぜながらボール遊びをする。アルミはウルガーのあげるお菓子が欲しいみたいだけど、ボールを取ってこないとご褒美がもらえないと知るとヘレーネとボールの奪い合いを始めた。そこにタピオとクルヴァも混ざり込む。私とウルガーはタピオ達が怪我をしないように見守っている。大事な弟だ。怪我でもされたら大騒ぎだ。 「もう一人の弟ねぇ・・・どうしたものだか」 「また難しい事を考えているね」 そう言ってまたウルガーは私を抱き寄せる。 「ちょっと!
【再掲連載小説+エッセイの勉強】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(43)再編集版+エッセイの勉強「アレクサに占いを入れ込む。はじめてマスカラつけた」
前話 そしてそれから一週間と少し立った頃、キンモクセイの宮の入り口にウルガーが立っていた。冬で咲いているはずのない鮮やかな花束を持って。 「ウルガー・・・。治ったの?」 出た声は小さかった。 「ちゅー、してくれないの? ゼルマ」 いつものウルガーを見て私はへなへなと床に座り込む。そしてわんわん、泣き出した。緊張の糸が切れた、とでも言おうか。まるでウルガーが死ぬかのように思っていたのが、外れて嬉しいのかなんなのかわからない感情が渦巻いていた。 「そんなに泣かなくても・・・