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気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました。

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昔に書いていた1話千字程度のファンタジー恋愛小説の再編集版から最新話を載せるマガジンです。当分、再編集版が載ります。159話まで行っても終わらないので困ってます。姫と王太子の婚礼… もっと読む
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#連載小説

【連載小説とあとがきとエッセイの勉強】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(46)+あとがきと野球中継してるエッセイの勉強「先制されたー!!!!」

前話 「黒い水晶?」  お母様はしばらく私の杖を見ながら頭の中で反芻なさって考えられていたけれど、ふいにおっしゃった。 「拾われたときに子供用ペンダントしていたと母から聞いたわ。それかしら?」 「おそらく・・・」  大神官様が言う。 「今から取ってきます」  王宮に戻ろうとされたお母様を大神官様は止める。 「単独で行動なさらぬ方がいい。皆で行こう。ゼルマ姫。今からわしが言うから杖は水晶に戻されよ」  大神官様が何か言うと杖は最初の水晶の塊に戻った。だけど、キラキラ光っている

【再掲連載小説】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました (28)再編集版

これまでのお話 前話 「あら。桃を食べる人数が増えたわね。エーヴィーとゼルマ。イーロからもらってきなさい」 「はぁい」  気楽に返事をするとエーヴィーの腕に手をかける。 「行きましょ」 「でも・・・」 「兄上なら、俺が見ているよ。ついでに固形物が食べられるかも観察したいからね」  すっかり医者になっているウルガーに笑顔で頷くと私達はイーロの元へ向かった。 「イーロ。桃をあと二つほどくれないかしら? マティアスお兄様とエーヴィーお姉様も一緒に食べるの。とびきり美味しい桃を頂

【過去掲載小説】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました (17)再編集版

これまでのお話 前話  お姉様の婚礼の日が終わってから、お姉様は以前の出仕時間から一刻遅れてくる。お兄様も一緒の時が多いけれど、最近、仕事量が多いのか、お姉様を置いて先にカシワの宮に来ることが増えてきたらしい。その時のお兄様はとても機嫌が悪くて同じ宮で仕事をしているウルガーは困っているらしい。キンモクセイの宮で散々愚痴られる。そのたびにお姉様は顔を赤くしたり青くしたり。私よりも面白い百面相を披露してくれる。  私は、婚礼が遅れて準備の余裕も出来てよくウルガーとヘレーネを連

【再掲連載小説】ファンタジー恋愛小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました (11)再編集版

前話 「はぁー。美味しかった」  最初にウルガーはアーダとフローラに追い出され、お風呂に入った。よく考えれば、この宮には風呂部屋があったと思い出した。ウルガーを追い出す必要はなかったけれど、やっぱりすぐ側で待ってられるのは落ち着かない。ということで着替えついでに長風呂を味わった。薔薇の花弁をちらして豪勢なお風呂だった。服に着替えても、まだその香が残っていた。 「ゼルマー。ちゅー」  ウルガーが声をかける。私はお姉様と顔を見合わせてローズウッドのお盆を用意する。 「入ってもい

【再掲連載小説】ファンタジー恋愛小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました (10)再編集版

前話  夕食が終わって、皆、ばたばたと元の持ち場に戻る。残ったのはウルガーと私。改めて二人きりになるとどうしていいかわからない。ちらちら二人とも見ているんだけど、微妙な距離がある。手を伸ばせば届くけど、ぎゅっと抱きしめるには距離がありすぎる。言ったもののどんな顔でぎゅーすればいいかわからない。急に自分の恋心に気づいてから特にわからない。あの故郷の国で王子に熱を上げていたのは違う感情があった。 「えと・・・」 「ぎゅーっ」 「え?」  ウルガーが先に私を抱きしめた。私がするん

【再掲連載小説】ファンタジー恋愛小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫になっていました。(9)再編集版

前話  翌朝、ウルガーはやってきた。私が着替え終わったちょうどその頃に。そして部屋へ入るとアーダとエルノー夫婦、アルバンも、さらにはフローラも呼び集めると、座ってみんなで朝食を取ると言い出した。  アーダ達はそんな身分違いなことを、とかなんとか言っていたけれど、全員が大きめのテーブルに囲むように座って朝食になった。 「はい。ゼルマ、かけ声かけて」 「かけ声って・・・」  不意に「いただきます」、という言葉が浮かんだ。私は手を合わせて言う。 「いただきます」 「はい。みんなも

【再掲連載小説】ファンタジー恋愛小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました (7)再編集版

前話  私は徹底抗戦を始めた。文字通り食事を取らないストライキを始めたのだ。  だれが、あんなヤツと結婚なんか。  喪が明けると待っている婚礼にもかかわらず、私はまだ意固地に思っていた。もう。闇の目は見たくない。苦しくなる。治してあげたいのにそれすらできない。ただ。相手の苦しむ様子を見てるだけなんて・・・。  気づいたら泣いていた。そんな私にウルガーが扉の向こうから声をかける。 「ゼルマ。それじゃ。父君の望んだことは叶わないよ」 「お父様が何を望んだというのっ!」 「父君は

【再掲連載小説】ファンタジー恋愛小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました (6)再編集版

前話  「別々だったらさー。あの王子、君を襲いに来るよ。確実に。もう側室何人かいるみたいだから、君の嫌いな側室になっちゃうよ? でもって、王太子妃婚約者の姫君が寝取られたら戦争もんだし。ここは清く正しく美しく帰国するために婚礼をひかえている男女なのでベッドは別々にってお願いしてこのような状況なわけ。少しは苦労を認めてよ」  む~、と言わんばかりにすねる。それが妙に可愛くてもっとすねさせたくなる。って、私、異常? 自分もツンデレなのに相手のツンデレぶりが可愛いなんて。きゃー。

【再掲連載小説】ファンタジー恋愛小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました (3)再編集版

前話  私は甲板で海風に髪の毛を遊ばせていた。  ここはもう、生まれ育った国の上ではない。海の上だ。ウルガーは借金をどうやってだれに返したのかも教えなかったけれど、完済の書類を持って戻ってきた。しばらく、領地や屋敷や使用人のことでばたばたしてたけれど、私とお父様は荷物一つ持つぐらいでこの船に乗った。執事のアルバンがどうしても、というので身寄りもないアルバンだからいいだろう、と父の世話をする人間としてきてもらった。それもウルガーが賃金を払うこととなって。アルバンは断ってお金の

【再掲連載小説】ファンタジー恋愛小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました (2)再編集版

前話  私は父の眠っている寝台の横に椅子を持ってきて見守る。お願い、また私の前に戻ってきて、と祈りながら。それにしても、と思考が移動する。誰が、父に毒を盛ったのだろうか。父は良心的な公爵で、王の信頼も厚かった。領民も慕っていた。なんら恨みを買う覚えはない。何か、父は隠しているのだろうか?  確かに今年は不作だった。それで苦心していたのは知っている。それが、何か? 「・・・め。・・・姫っ」 「え・・・。ああ。ウルガー王子」  いつの間にかウルガーが部屋にいた。 「一晩付き添う

【再掲連載小説】ファンタジー恋愛小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(1)再編集版

 ふいに私は気づいた。ここ、私が書いた小説と同じ世界だ。どーいうこと? 書いた世界に入っちゃったの?? あ。あの方は! 遠くの方で王子を見かけた。この人が私の考えた姫君の恋人。このまま行けば、踊りを申し込まれるはず。そしてお互い一目惚れして結婚するのよっ。  私は、興奮気味になって王子様を見つめていた。  ところが、ところがよっ。なんと王子様は敵国の姫君に踊りを申し込んでいた。  おーい。私はー?  背伸びして一生懸命アピールしていると誰かが肩をつつく。 「俺と踊らない?」