第四十八回 アリス九號. Gt ヒロト|『月刊 少年HRT』 vol.00

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アフターコロナの世界で開催した結成16周年ライブ『君ノ瞳二映ルハ絶景色』と1st Full Album『絶景色』を巡る。

付録動画
HIROTO Guitar Channel➀
「ワールドエンドアンソロジー」2020ver.PLAY動画ダイジェスト

<付録動画 Sample>

※アリス九號.オフィシャルnote定期購読者様はノーカットにて記事下部よりお楽しみください。


ーー終わったばかりの16周年ライブ、手応えはいかがでしたか?

すごくよかったですよ。
前回のライブ(7月5日、LINE CUBE SHIBUYAで開催した<アリス九號.ONEMAN TOUR 2020「不夜城逃避行」〜 TOUR FINAL&将生誕祭〜>のこと)でお客さんも馴れてきたのか、今回は最初から空気が全然違いました。

先月は新曲ばかりのライブなのにツアーファイナルというカオスな状況だったのが、今回は『絶景色』の曲を全部演りますといった上でのライブだったので、それも影響しているとは思いますけど。

ーー開演前はどんな感じだったんですか?

あの日はステージにスタンバイして、17時16分きっかりにライブを始めるという演出だったので1秒も遅れちゃいけないのに、Naoさんがトイレから戻ってこなくて(笑)。

だから、ライブ前に気合入れする時間もなかったんですよ。
いつも自分が気合入れの後、他のメンバーに握手&ハグする儀式だけはステージに上がりながらなんとか済ませて。
楽器を持った瞬間にSEが流れだしてすぐにライブが始まった感じでした。

ーー慌ただしかったんですね。体調的には準備万端だったんですか?

そこはもう、ばっちりでした。
先月半年ぶりにライブをやって、各々が「ライブってこうだよね」というのを思いだしたのか、今回はスタッフさんを含め、この日に向かって調整してきた感はありました。

自分も半年ぶりにライブをやったら、正直フィジカルが追いつかなくて。
その後ぎっくり腰になったんですよ。
手元さえ動けばギターの音は出るんですけど、全身の軸、体感が整ってないと、音もぶれるし。
そうなると気持ちもぶれるんですよね。

なので、今回に向けてぎっくり腰が治ってからはずっと毎日走ってました。
この間は山に登ったりもして。
超快調な状態でステージに立つことができました。

ーーそうしたら、先月とは違ったんですね?

全然違いましたね。
ライブ自体、今年まだ4本目ですけど、“当たり前の中毒性”っていえばいいんですかね。
ライブって本来はすっごくエネルギーが必要で大変なことなんですけど、僕らも年間100本弱ライブをやってると、それが日常にあるものとして無意識に慣れちゃってたと思うんです。

そういう当たり前の中毒性の“毒素”が抜けきった状態で先月ライブをやった訳です。そうしたらクリアにいろんなことが感じられて。

その気づきがあった上で、今回は体調もばっちり調整して向かうことができたので、すごくよかったです。
この感覚は僕だけじゃなくて、ファンの人もあるんじゃないかな。

ーーそうかもしれないですね。

だって、最初にライブ通いだした頃って、みなさん「ライブってすげー!」みたいな感覚だったと思うんですよ。
それを先月のライブで再び感じた人は、絶対僕らと同じようにこの日に向けて、気持ちを調整してきたと思うんですよね。

ーー気持ちというところでは、先月のライブはファンの方も「立っていいのか」、「体を動かしていいのか」とか探りながらの観覧でしたからね。

そこはこっちも同じで。
どこまで煽っていいのかとか、探りながらでした。
新型コロナで世界が変わったあとのライブでしたからね。

でも、それを最後までちゃんとやりきって。
ライブの2週間後も、感染者を出すことなく終えられた。
じゃあ、もうちょっと踏み込めるかもしれないっていうところで今回は準備をして。
今回もさすがにフロアには降りなかったですけど、気持ちは降りてましたからね。
2階席の後ろまで行ってやろうという気持ちでしたから。

ただこれもね、行けるようになったら行けばいいと思っていて。
ここ数年は必ず客席の後ろまでフィジカルを届けるというパフォーマンスをやってましたけど。
それも、ライブで当たり前になりつつあったんで。

ーーそこも今は当たり前の中毒性の毒素を抜く感じで。

逆に無くてもいいかな、と。
ーーでは、前にはなかった新しい試みとして、あの日は終演後、オーディエンス全員に白いダリアの花を1本ずつプレゼントしました。
あれは、花好きのヒロトさんのアイデアだったんですか?

やりそうなことですけど、違います(微笑)。
あれは、乙女の心を持ち合わせているうちのライブプロデューサーのアイディアです。
この3年かけて、僕らがやりそうなことを先回りして提案してくれるようになったんで、すごく助かってます。

今はまだ銀テープとかを飛ばすと、お客さん同士が取り合うときに接触しちゃうんじゃないかという問題もあるので、その代わりに持ち帰ってもらった花にロゴ入りの白いテープを付けたんですよ。

ーーああ。あのテープにはそんな意味があったんですね。

はい。銀テープだと全員には行き渡らないけど、これだとみんなが持ち帰ることができるんで、素晴らしいアイディアだなと思いました。
花はドライフラワーにもできるし。
花を渡すのっていいですよね、ウチっぽくて。

アー写を見たらメンバーは白いダリアを持っている。
グッズも、ダリアをモチーフにしたロゴが使われている。
それでライブ会場に行ってみたら、入り口のロビー、メンバーのアンプやステージ上にも白いダリアの花が飾ってあって。
それを終演後みんなに持って帰ってもらって、最後は各々の家に見ていたダリアが届く。

その繋がりこそ、生のライブの良さだなと思ったんですよね。
それも会えなかった期間があったからこそ、(中毒性が)解毒されてその良さをクリアに感じられたんだと思います。

ーーなるほど。

あの日のライブ自体、すごく良かったんですけど、熱量でいうと過去にもっとすごいものもあったと思うんですよ。
だけど、こういう状況があった上でたどり着いたというところでいうと、唯一無二のライブで。

個人的には本当にやれてよかったです。
しかも、1stFull Albumは思い入れがすごく強くある作品なので、このタイミングでそれをやるようになったのもすごいなと思います。
実は、今年は周年ライブはやらない予定だったんですよね。

ーーえ、そうなんですか?

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限りなく2次元に近い2.5Dロックバンド、アリス九號.のオフィシャルnoteです。 毎週メンバーがリレー形式でオフィシャルnoteだけの…

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