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分散投資戦略について考えてみる

投資においていくつかの資産の種類、例えば日本株式、海外株式、日本債券、海外債券を保有したいとするとどのような比率で投資するべきでしょうか?今回は分散投資戦略について考えてみましょう。

この相場で時価総額均等配分はどうだったか

分散投資戦略として、投資信託でもっともメジャーなものが時価総額均等配分です。例えば日本株式、海外株式、日本債券、海外債券に投資するファンドに資金1万円で投資するとすれば、各資産に25%ずつ配分する戦略です。

大きく相場が動けばリバランスして、比率を調整します。

昨今の市場ではどのようなパフォーマンスだったでしょうか?ざっくりいえばここ2ヶ月程度の市場パフォーマンスは、概ね株式が-30%、債券が+1%程度の動きでした。リバランスを無視すれば、各資産の均等な分散投資戦略は概ね-14%程度のパフォーマンスだったはずです。

時価総額均等配分以外の戦略

世の中には時価総額均等配分以外の戦略もあります。

例えば、リスク均等配分という戦略があります。これは時価総額ではなく、各資産のリスク(変動)が均等になるように資産配分を行います。

株式は相対的に債券よりもリスクが大きいですから、リスク均等配分では株式の比率は低くなり、リスクの低い債券の比率が高くなります。

リスク均等配分することを考えてみると、ある時期には国内株式が10%、海外株式が8%、国内債券が65%、海外債券が17%くらいのウエイトでした。この比率でリバランスしなかったとすれば、ここ2ヶ月間のパフォーマンスは概ね-2%程度になるはずです。

もちろんリスクは時期によって変動しますから、資産の時価総額が変動するのと同様にリバランスを行うのが通常です。

2つの資産配分は何が違うか?

端的にいえば、リバランスを実施することで時価総額均等分散は「逆張り」、リスク均等分散は「順張り」の戦略になるといえます。

前者は例えば株式相場が下落すると、ファンドの株式は評価額が低くなり比率が低下します。するとリバランスの際にはより株式の比率を上げるように他の資産よりも多く買い付けます。逆に上昇相場では株式の評価額が高くなりファンド内での比率は上昇します。そのためリバランス時にはウエイトを落とすために株式の買い付けを減らすあるいは売却を行います。これは上昇相場には売りを入れる「逆張り」の動きと同じですね。

後者は株式相場が下落すると、株式のリスクが上昇しリスク比率は上昇します。リバランスの際にはより株式の比率を下げるように株式の買い付けを減らすあるいは売却を行います。逆に上昇相場では株式のリスクが減少しますから、ファンド内でのリスク比率は低下します。そのためリバランスの際にはより株式の比率を上げるように他の資産よりも多く買い付けます。これは上昇相場に追従する、いわば「順張り」戦略になります。

リスク均等分散にも問題点があります。一昨年から昨年にかけての米中貿易摩擦や今回の新型コロナウイルスによる相場の急激な下落は、一説にはこのリスク均等分散ファンドが増えてきたことだと言われています。皆が揃って株式を売却したことも原因のひとつということをご存知の方もいるかもしれませんね。

投資理論は奥が深く、多くの資産を含んでいるからリスクが分散されているという説明を安易に受け入れがちです。自分のマネーを使うのですから、その意味するところを自分で理解した上で投資したいものですね。実はさらに難しいことを考えれば、より高度な分散投資戦略も考えられるのですが、それはまた次回の記事でご説明しましょう。

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