新しい風

 スペインのバルセロナにサグラダファミリアという大聖堂がある。アントニオ・ガウディという建築家の遺作であり、まだ完成していない建築物であり、彼の集大成といっても過言ではないと思う。
 バルセロナには何度か行ったことがあって、ほとんど毎回この大聖堂を見学に行っていると思うのだけど、行くたびに完成に近づいていっている。それと同時に印象も違っていっているという面もある。でも、いつも感じるのは、すごいなぁの一言。
 わたしのうろ覚えの記憶だと、ガウディはこの大聖堂を建てるにあたって、彼の全財産をつぎ込んだのだそうだ。彼の構想では、鐘楼の一つ一つが笛のような形になっていて、そこに開いた小窓からバルセロナ全体を包み込むような鐘の音を安らかに響かせるというものだったと記憶している。スペイン人は信心深い人が多いので、ガウディもそういった祈りというものの大切さを尊く思って建築をはじめたのだろう。そして、歴史に名を残す建築家でありながら、最後は貧しく亡くなったとも記憶している。なにがそこまで彼を突き動かしたのだろう。

 さてさて、わたしが人生で初めて政治というものに目覚めさせられた昨今、東京都知事選で東京から日本、世界を変えるためにはこの人しかいない!と思った候補者が落選してしまった。悔しいことこの上ない。なのでせめてわたしが個人的にこの候補者のなにがわたしの琴線に触れ、すごいと思わせるのかを語りたい。
 まず、太郎ちゃんは自分の信念だけで動いている。原動力は一人でも多くの人を助けたい。まさに現代のヒーローです。マーヴェル映画で例えればスパイダーマンかな。アイアンマンやバットマン(これはDCだけど)みたいに大金持ちでそのお金を使いまくって悪を倒すというのではない。だから「あなたの親切なご近所さん」なスパイダーマンの印象がわたしにはある。身近な人、困ってる人を助けたい、これだけなのだ。彼は常に悩み考え続け、たった一人で一からやり直すところまで戻り、そこから多くの仲間を作ってきている。どうして一人になったのか、それは彼のやりたいことが今の時代とあっていないからだ。まさに彼のしたいことは新しいこと。今のまま続けていては全てが遅い。だから一人になってでも作り変えると奮起したのだと思う。そんな彼は他の政治家のように、代々政治家の家に生まれついたわけでもない、後ろ盾を作るためにへつらうこともしない(でもすごく謙虚だ)。ただただ純粋にできるだけたくさんの人の日々の生活に笑顔を増やしたい、そうするためにはどうしたらいいのか、それだけで動いている。そして今回、都知事にはなれなかったけれど、組織票もないのに何十万もの人から、本物の票を獲得した。この表の数は、今後減ることはなくても増え続けるであろう。
 人間は変わること、新しいものが苦手だと思う。でも、サグラダファミリアを観よ!建築家の一途な想いは時空を超え、今も形を変え着々と完成に向かっている。個人的にはやはりガウディオリジナルの部分のが好きだけれど、後継者の建築した部分もひっくるめてが、今現存するサグラダファミリアであり、世界中の人を魅了している。
 小さい頃、サグラダファミリアの完成にはあと100年はかかるよと言われ、気が遠くなったけれど、世界中に現存する大聖堂は100年どころではなく、数百年かけて建てられているものばかりで、左右でデザインが全く違うものなどざらにある。
 そういうことをいろいろ考えていると、やはり新しいものを生み出すというのは並大抵の力ではできないというのもよくわかる。だからこそ、みたいんだ。新しい世界を。

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