アリス

都内で働く20代OL。心はいつまでも夢見る少女のままで。

アリス

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マガジン

  • 人間観察

    人生で出会う星の数ほどいる人達のなかで、不思議で印象的だったひとのお話。

  • 幽霊男子

    私の記憶の奥底に住んでいて、たまにふっと姿を出す男たち。まるで幽霊のように。

  • 感想ノート

    映画、本、漫画などの感想

  • 東京デート日記

    主にマッチングアプリで出会った人たちとのデート記録。

最近の記事

夜の大人のご褒美

22時前。くたくたに疲れた仕事終わりの帰り道。 電車を降りて、コンビニで食べたくもない食料を買って、雨上がりの道をてくてく歩く。 さっきまで降っていた雨が洗い流したくれたおかげで、新鮮な匂いが漂う夜の道。もう一日の終わりも近いのに、朝みたいな初々しさを感じる道。 そんな洗い立てのきれいな道に、ごめんなさいねと呟きながら、我慢できずにタバコに火を付ける。緑のアメリカンスピリット。 一口吸い込むと、疲れくたびれた身体にミント香る煙がスゥーーーっと染みわたっていく。極上の味

    • 【幽霊男子】永遠の王子さまを失った日

      真っ白な王子さまの、その後の物語。 真夏のその日、私は久しぶりに王子に会った。 大学卒業後もたまに会っていたけれど、気付けば王子は本当にお医者さんになっていて、想像を絶する激務の医療業界で働く別世界の人間になっていた。 それでもやっぱり王子はカッコよくて輝きがあって、採血の仕草を真似て血管を触られると魔力に掛かったようにドキッとしてしまうけれど、今となっては良い友達だと思っていた。 だけど。 その日、友達を交えて飲んだあと、二人で飲み直して。 気付いたら私

      • 【人間観察】ついに家に帰ることを決めた男

        掴みどころがなくて、いつもどこかをふらついている。 同じ部の一個上の先輩。 ひとことで表すと「自由人」。わりと体育会系の会社で、若手のくせに先輩への忠誠心なんぞは全く持ち合わせず、いつもふらふらとしては好きな仕事だけしている。 一方で頭の回転が早く仕事ができて、いつも世の中を斜めに見ているようなひと。 しかし裏の顔は「合コン大魔王」というのを知ったときは驚きだった。 淡白で女の子になんて興味がないザ・草食系男子だと思っていたのに。 無害な顔して、かわいい女の子を見つ

        • 銭湯でお風呂に浸かりながら思うこと

          銭湯が好きだ。 家ではいつもシャワーだけだから、たまに浸かる湯船は、たまに食べる一汁三菜の定食のように、満足感がある。 今日も二週間ぶりに銭湯に行ったのだけれど、もはや着いたのが0時過ぎだったから人はまばら。女湯には近所のおばちゃん達しかいなかった。 頭と体を洗って、湯船に浸かりながら眺める。頭や体を洗う、おばちゃん達の肌色の裸体を。 おばちゃん達は思い思いに無防備に、自身の身体のすみずみを洗っている。そして椅子に座ったそのお腹は、見事にすべて鏡もち。どこか愛らしい、

        夜の大人のご褒美

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        • 人間観察
          6本
        • 幽霊男子
          7本
        • 感想ノート
          2本
        • 東京デート日記
          6本

        記事

          【幽霊男子】優しい困り顔の彼

          深夜の香港での思い出。 深夜0時に着くLCCに乗って、辿り着いた2度目の香港。 今月から香港転勤になった兄のマンションに向かうべく、バス乗り場に向かう。 けれど専用ICカードが無いとバスには乗れないようで。カードを買うには現金が必要だそうで。両替もせずに来た私はATMを探しに走る。 と、一苦労あってやっと乗り込んだ満員バスは、亀のようにのろのろ走る。早くしないと兄が寝てしまう。部屋に入れなくなる。 乗り換え場所で予定のバスが来なくて、結局タクシーを呼んでマンションに

          【幽霊男子】優しい困り顔の彼

          【人間観察】一生に一度、ノーベル賞博士とのランチ

          仕事でノーベル賞を受賞したとある先生と会う機会があった。 当初は先生が来る予定はなかったのだけれど、ちょうどその日予定が合うからランチでもご一緒しましょうと連絡があったのが前日。 よもや自分の人生で、ノーベル賞博士とお話できる機会が来るなんて思ってもみなかった私。さすがに慌てふためいた。 受験の前日のドキドキ感と、遠足の前日のソワソワ感が混ざったような気持ちで、とりあえず先生の生い立ちと研究内容をネットで漁る前夜。博士が発見した呪文のような名前の物質名を覚えてみた

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          【映画】ステキな金縛り

          サクッと軽く面白い映画を観たいときにおすすめ。何も考えずに笑えて、ちょっぴり感動できる安定の三谷映画。 <あらすじ> 失敗続きでもう後がない弁護士・宝生(深津絵里)は、担当を任された殺人事件の裁判の証人として、事件当日の夜に容疑者・矢部にのしかかって金縛りをしていたという落武者の幽霊・更科六兵衛(西田敏行)を法廷に呼ぶ。 とにかく、一生懸命で天然な主人公の深津絵里が可憐でかわいい。調べたらこのとき36歳とかなんだけど、それであのかわいさって。 落武者幽霊の西

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          平成最後の3月 華金のコリドー街にて②

          次に一緒に飲んだのは、身なりの整った商社風の二人組。 これまた大学時代の友達らしく、二人して馬喰町に住んでいるらしい。 深夜のテンションで、よくある「名前当ててみよう」のノリでお互いの呼び名を決める。外人顔のダニエルと、日本人顔のタカシ。(ライン交換したら本名は全く違った。) 【ダニエル】 ・馬喰町在住(一人暮らし)、27歳、渋谷IT系 ・目力強め、体育会系、首にBluetoothイヤホン 【タカシ】 ・馬喰町在住(寮)、27歳、大手町金融勤務 ・お酒弱い、疲れてる、

          平成最後の3月 華金のコリドー街にて②

          平成最後の3月 華金のコリドー街にて①

          お医者さんとのお食事会が急遽キャンセルになった金曜の夜。 一緒にお食事会に行く予定だった友達と、久しぶりにコリドー街に繰り出してみた。 21時頃に着くと、送別会シーズンだからか、いつもより人が少ない様子。 けれどやはり華金、夜が更けるとともに活気付いてきた。 最初に捕まったのは、すらっとした長身スーツ、インパルスの板倉似の彼。 「ねぇねぇ、ちょっと君たち」と声をかけてくる、くしゃっとした笑顔が憎めないかわいさで。友達と二人して、思わず立ち止まってしまった。(笑顔が素敵って

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          いつか尽きるからこそ

          あなたの大切にしている言葉はなんですか? いろんな人に聞いてみたい。 というのも。 最新号&Premium「心に響く言葉、との出会い」 これがとても良くて。さすがマガハの素敵な特集。 時間をかけてゆっくりじっくり読みたい。 (現実はdマガジンの無料読みホ3DAYSで隙間時間にスマホの小さな画面で読んでいるのだけども。) で、自分に問いかけてみた。 私が大切にしている言葉ってなんだろう、と。 少し考えて、あ、と思い浮かんだのがこの言葉。 いつか尽き

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          お経を聞きながら考えること

          祖父の三回忌だった。 実家に親族が集まり、お坊さんを呼んで、法要を行った。 一回忌のときに拝んでもらったお坊さんがなんと亡くなったそうで、その息子さんであるお坊さんがいらっしゃった。 まだ30代と思しき若いお坊さんがお経を唱える。 久しぶりに聞く、抑揚のない重低音。意味をなさない謎の文字列。 まだ新米だからか、その響きはどこかぎこちなくて。がんばって、とつい応援したくなる。 そんなお経を20分ほど聞きながら、ふつふつと疑問が沸く。 この時間には、いったい何の意味

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          【幽霊男子】彼に彼女の首を締めさせたのは

          私には大学時代、いわゆるセフレがいた。 同じサークルの同期、Fくん。 当時、彼にはお嬢様女子大に通う年下彼女がいて、私にも別に好きな人がいたから、それはお互いに割り切った関係で。尚且つそれは、二人だけの秘密だった。 その他のあれこれはまた詳しく、ということでここでは割愛するのだけど、Fくんとの関係は約1年間続いて、ぱたんと終わった。 その後、彼は年下彼女と別れて、これまた同じサークル同期、ショートカットがよく似合う人気者のAちゃんと付き合い出した。 私との関係を終

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          明治時代にタイムスリップ@代官山

          「例の英語おじさんとお食事会、来る?」 そう誘ってきた友達と、代官山のフレンチに向かう。 なんでも、その友達がアプリで出会ったおじさんは、メッセージのやりとりが全て英語らしい。思いっきり純ジャパニーズだけれど。 それに合わせて友達も英語で返信しているのだけど、端から見ると日本人同士なのに何だこれ?状態。 外人かぶれのイケイケなおじさんなのかな。 ひょっとしたら、外人の友達とか連れて来るのかな。 なんていう興味心が湧いて、誘いに乗った。 指定されたお店は、一軒家を改修し

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          【人間観察】働くパパの一面

          自分が担当する案件で、ちょっとした問題が発生した。 クライアントから溜まる着信履歴。おそらく沸騰5秒前だ。 急いで事態を把握せねばと、発注先の担当者さんに電話する。 その担当者さんは発注先の営業で、30代の既婚男性。 昔はモテただろうなというダンディな風貌で、人当たりもなめらか。関西出身で飲むと陽気、キャバクラではしゃぐ一面も知っている。 そんなダンディさんと電話越しに緊迫した会話をしていると、後ろからかわいい声が聞こえた。 「ねぇ、パパぁ」 「ごめん、パパ今忙しいか

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          【映画】エターナル・サンシャイン

          恋愛ファンタジー。独特の世界観に引き込まれる。予定のない休日にゆっくり観て、コーヒー飲みながらもっかい見返したい、そんな映画。 原題:Eternal Sunshine of the Spotless Mind <あらすじ> 内気な性格のジョエル(ジム・キャリー)は、いつも髪色が奇抜な彼女クレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)とちょっとした口論で喧嘩してしまう。仲直りしようとバレンタインのプレゼントを持って彼女に会いに行くと、彼女はラクーナという会社で記憶除去手術を受

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          紳士おじさまの謎の会合

          まだ暑さが残る、9月のある日。 その日dineでデートを約束した相手は、50代後半の男性だった。 (※dineとは、日程とお店を決めるだけで即デートできるマッチングアプリ) 父親とほぼ同い年。おじさんより、もはやおじいさんに近い。 けれどその人には、「おじさま」という表現がしっくりきた。 プロフィール写真は、しゅっとしたスーツ姿の宣材写真が一枚目。 そして二枚目は、ばっきばきの腹筋が露わになった上裸のモノクロ写真。 自己紹介文を読むと、経営者でテレビ出演経験もある

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