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プリムラの息付く頃に

 ぬりたくられたペンキが
 組み敷いた腕の中へと入ってきた
 身をよじってふりかえると
 をごめく、冬
 きたいみたいなぼくの快感は
 突如みみたぶに口付をして
 にこり、
 と、微笑む
 見えた白い歯は一本多くて
 とおりすがるスイッチの点滅音がよく似合った

 甘さは
 向こう数年の凝結をゆっくりとく
 ¥198の安っぽいイヤホンで蓋をしていた
 ぼくの瞳孔をまみれさせ
 八十八の静寂
        ──と、ばかり

 今日もグラスを手にしたぼくの足元には
 石英のきみが
 またひとつ、尾を引いて消えた

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