【イベント報告】Urban Farming in Israel
先日、3月10日にイスラエル交流会を終えました。テーマは「Urban Farming in Israel」。都市型農業についてイスラエルからレクチャーを受け、参加者みんなでディスカションをしました。
レクチャーでは、The Association For Urban Farming Israel 創業者 兼 CEOである、ラファエル ラビさんから、「都市型農業とは」「SDGs に対するメリット」等を教えていただきました。今回はその内容を少し紹介します。
2050年問題
このままいくと、2050年には世界人口が100億人ほどまで膨れ上がり、その約70%の世界人口が都市に集中して、食糧需要も今の2倍になると言われています。作物を育てる資源についてもさまざまな問題に直面しています。
• 水
地球上に存在する淡水の約70%が農業や酪農に使われています。
• 土地
現在、作物を育てるために必要な土地は38%しかなく、将来2倍にもなる食糧需要に間に合いません。
• 物流エネルギー
畑から私たちのお皿まで、作物が運ばれる過程でもたくさんのエネルギーが必要です。
• 食糧廃棄
育てられた作物はほぼ半分が市場に運ばれるまでに傷ついたりして廃棄されてしまう現実は一番の問題です。
• 農薬
私たちが口に入れる作物ですが、農薬は欠かせなく、土地そのものも汚染されています。
• 温室効果ガス
温室効果ガス排出量の約30%が、農家や酪農に関わるプロセスで排出されています。
それらの問題に対する一つのソリューションとして、「都市型農業」があげられています。
テクノロジー
効率的に作物を育てるには様々なテクノロジーが不可欠です。
• 室内農業(Indoor Farming)
気候変動に左右されない守られた環境。
• 垂直農業(Vertical Farming)
狭い場所でも効率よく栽培が可能。
• 水耕農業(Hydroponic Technology)
水と液体肥料のみで土を必要としない。植物の成長が早い。
• 自動化生産(Automated Production)
ムダがなく、人為的ミスが少ない。24時間の生産が可能。
等々、これらの技術を使うことで、100%ローカルフードで、高品質の作物が採れます。また、たくさん生産することで価格も下がり、365日供給が可能になります。農薬もなく管理された室内で育てられているため、汚れがなく洗う必要がないので節水にもつながります。
https://www.priva.com/discover-priva/stay-informed/customer-stories/can-agri-about-vertical-farming
日本を含め、世界でも規模の大きいプロジェクトも行われています。
• AeroFarmas(USA)
• Plenty(USA)
• Growing Underground(UK)
• Signify and RIAT(Russia)
• Bowry(USA)
将来は室内で作物が育てられる農業ビルが都市で見られるかもしれません。
イスラエルの農業事情
イスラエルは国土の半分が砂漠であるにもかかわらず、農業大国と言われるくらい、作物が豊富に取れます。その背景には少ない資源で効率よく作物を育てる必要があったため、灌漑技術や自動農業、品種改良などのテクノロジーが発達したからです。
今や海外(主にヨーロッパ)に農作物を輸出するまでになりましたが、逆に輸入もたくさんしているという矛盾点もあるそうです。イスラエル人は日本人のように「国産の高品質な野菜がいい」という意識がまだ低いため、特に国産にはこだわりはありません。消費者の作物に対するこだわりや、問題意識が高くないと都市型農業の発展は進まないため、まずはSDGsとつなげて消費者の意識を変えていく活動が必要なのだそうです。
また、国内外から新しいアイデアやプロジェクトに投資をしてもらうために、国のポリシーも変えるように動いているとのことです。
The Association For Urban Farming Israelではその他にも、家内栽培ができるようなアイデア、学校の構内でファームを設置して若い世代に作物の育て方を教えたり、屋上やバルコニー、商業施設にファームを設置する活動などを行っているそうです。
まとめ
都市型農業と聞くと家庭菜園のイメージが強かったのですが、2050年問題を念頭に、世界中のさまざまな企業があたらしいアイデアと技術を駆使して、本格的な都市での農業を目指していることに驚きました。
日本は少子高齢化していますが、都市に住む人口は減るどころか増える一方だと私は考えます。また、災害が起こった際に地方とのインフラが遮断された時に、食糧を自給しなければいけないケースも起こる可能性があります。
そういった問題点も見据えた上で、都市型農業を促進していく必要があると今回のイベントで気づくことができました。
これからもイスラルのテクノロジーを通じて、日本・世界の社会問題を考えられるイベントを開催していきたいと思います。
アレックスソリューションズ
海外研修事業部
池田遼子
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