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すみっコぐらしの映画を見た


すみっコぐらしの映画を見ました。
泣けた。クライマックスはもちろん、エンドロールでも泣かせてくるなぁっていう……

SNSで言われているような実は大人向けの感動映画!と言えるかというと、私はそれよりも「子供に向けて丁寧に作られた映画」だと思いました。

私は絵本の読み聞かせのボランティアをしていたことがあるのですが、小さな子供っていうのはどんなに読むのが上手な人が読んでも10分くらいたつと飽きてきちゃうことがあるんです。
それがどういう時かというと、
文字が多い絵本を読んでいるときなんです。

文字が多い絵本というのは次のページに行くまでが文字が少ない絵本より長くなるわけです。そしてものによっては、絵のスペースも小さくなってしまうわけです。
展開が遅いと、だんだん飽きてくる。
絵が小さいと、見るところがあまりない。

極端なことを言えば、どーこだ!とかどれが好き?
とかの方が幼児に対しては盛り上がったりするわけです。

話は映画に戻ります。
メインビジュアルを見て分かる通り、キャラクターが色んな童話の登場人物の格好をしています。
ここがまず、子供を飽きさせないポイントなんです。


※ここからネタバレっぽいかも
(完全なネタバレではありません)


すみっコたちはひょんなことから絵本の中に入ってしまいます。
その絵本は色んな童話が入っている本だったのです。
映画の中ではこの童話の世界が1話ずつでなく、コロコロ場面を変えながら進んでいきます。
ここがすごい。怖いシーンのあとにほのぼのだったり笑えたり、そう思ったらまたピンチ!?のような展開に緩急があって目が離せない。
それぞれのシーンが有名な童話を元にしているので話がわからなくなるということもない。
そしてコロコロ変わっているようで話は確実に進んでいくわけです。

ここで、すみっコぐらしの各キャラクターの紹介をしましょう。

しろくま
寒いのが苦手で北から逃げてきたしろくま。
仲良しのふろしきは安心毛布のような存在です。

ぺんぎん?
昔は頭にお皿があったような気がするけど、自分がなんなのかわからない。自分探し中です。

とかげ
実は海に住むきょうりゅう。それがバレると捕まってしまうのでとかげとしてひっそり暮らしています。

ねこ
食いしん坊で恥ずかしがり屋。気が弱くすぐひとにゆずってしまいます。

とんかつ
食べ残されたとんかつのはしっこ。誰かに食べてもらうことが夢です。

それぞれ主役を張るというタイプではなく、すみっコぐらしの名をかたるにふさわしい日陰者です。

でもこの各キャラクターの性格が物語を進ませる……というより、私たちの知っている童話から話をズラしていくわけです。

ただ童話のキャラを演じて終わりではなくちゃんとキャラクターの個性も生かされていて、それが話を進ませるきっかけになってゆくという。

すみっコぐらしにはメインの5匹のほかに色んなサブキャラが出てくるのですが、そのサブキャラが画面のはしっこで自由にしていて、絵的にも飽きることなく見続けることができます。

この映画を「マイノリティとマジョリティを表現した映画」と評する人もいます。感想は個人の自由ですが私はそうでもないと思います。
というか“すみっコ”というキャラクターを出している時点でマイノリティの香りというのはどうしても出るもので、映画がもし単行本の内容をそのままアニメ化しただけのものでも、OLの家に居候することになったみたいなオリジナルストーリーであってもなんでもそう言われたでしょう。

ちゃんとキャラクターを生かしつつ”すみっコ“という動きの少ないキャラクターを飽きさせない画面作りに持っていくための世界観の設定と演出、ラストは大人から見ればベタとも言えるけど展開としては鉄板なものを持ってくるというところに”子供向けコンテンツのあるべき姿“と捉えました。

幼児〜小学校低学年向けに丁寧に作られた、子供が見るべき映画だと思っています。
すみっコファンや知らなくてもこのキャラクターがかわいいと思った人も見て損はしません。

まだ心に子供の時の純粋な気持ちが眠っている人は見てみてはどうでしょうか。

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