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回想回のポエム

今回はマッチレポではなく振り返りの企画です。きっかけはFIゼミでの「自分の推しチームをみんなに紹介しよう!」という企画なのですが、清水-ガンバのマッチレポを書いた際に、サッカーアナライザーさんから

「ガンバは他の試合でも基本的にボール保持率高目かどうかご存知ですか?」

という質問をいただいたので、ボール保持について少し振り返っていきたいと思います。そう思っているのですが!残念ながらガンバの結果を見始めたのが2012年ごろ、本格的に見れるようになったのはDAZN参入の2017年以降であるため、2016シーズンまでの内容は話半分くらいで読んでいただけると幸いです。また、一瞬で読み終わりたい人は「おわりに」に短くまとめてあるのでそちらをお読みください。

1.2013~2015(長谷川健太体制前半)

2013年の長谷川監督就任後、ガンバは3年で6個のタイトルを獲得するなど黄金期ともいえる時代でした。このときのサッカーは442のブロックを築いて守り、パトリックと宇佐美の質的優位を活かしたカウンターでチャンスを作っていくもの。もちろん遠藤を筆頭に技術の高い選手が多く揃っていたためポゼッションも苦手にはしていませんでしたが、前述の2トップに加えて走れて上手いSHの倉田、阿部、大森あたりの特長が噛み合うカウンターが大きな得点源となっていました。

支配率は13年から57.0%(J2)、51.5%、51.1%とボールを持つことにあまりこだわりはないような数字となりました。

2.2016~2017(長谷川健太体制後半)

2016年は開幕戦でCB丹羽が負傷するなど、開幕前から言われていたCBの層の薄さが響き、安定感のないシーズンとなりました。この年はアデミウソンを獲得するも夏に宇佐美が移籍、秋にはパトリックが長期離脱するなど15年までの攻撃陣を新たに構築しなければいけなかったことも理由の一つです。2017年はCBに三浦、ファビオというフィード能力のある選手を補強したこともあり、ボール保持時の攻撃を重視するようになっていきます。遠藤をアンカーに置いた4312や3142がオプションとして採用されることもありました。

しかし、14年ごろの戦い方で求められていたSHの特徴と泉澤、堂安、アデミウソンといった新しい選手の特徴が合致せず、442の守備力が低下、宇佐美やパトリックといったロングカウンターで優位性を出せる選手がいなくないためにカウンターも機能しなくなっていました。このため、ボール奪取の位置は低いままにカウンターができずボールを失ってしまう、という悪循環に陥ってしまいました。遅攻においても宇佐美の抜けた穴は大きく、Jでは圧倒的な存在感を見せていた宇佐美に代わる活躍を期待された泉澤も、周囲との連携が上手くいかなかったりと、大きな活躍ができないままでした。そのため、なんとか前線までボールを運んだものの持たされている状態、強引に仕掛けたために変な失い方をしてカウンターを喰らう、というシーンが散見されました。

16年の支配率52.0%、17年は52.5%という数字は13年~15年と大きくは変わらないですが、その中身は大きく異なっているものだと考えられます。

3.2018前半(クルピ体制)

ボールと試合を支配できず、守り切ることもできなくなっていた長谷川体制終盤からの脱却を目指して、元セレッソのクルピが監督に就任しました。開幕前の時点でセレッソサポから

クルピは結果が出るまで最低10試合は我慢しないといけない

といった声が聞かれたとおり、序盤戦は選手間の連携を深め、戦術を浸透させることを重視し、リーグ、ルヴァンの両方を同じメンバーで戦おうとしていました。しかし、今野が離脱したボランチや、2列目の組み合わせが定まらず、主力9人+2人といったメンバーで戦っていました。そのため遠藤をはじめ、主力選手たちのコンディションは上がらず、内容も低調な戦いを続けていました。しかし、クルピ監督のやりたいことはとてもはっきりしていました。

このように遠藤であったり矢島、市丸といったフィード能力のある選手を後ろまで下げ、SBを前に押し出す5レーン理論を取り入れたようなサッカーを志向していました。しかし、最終ラインと前線が分断されたときやボランチがボールロストしたときのリスク回避は非常に曖昧で、後方でボールは回せるもののそれが前線の攻撃にうまくつながらない、という場面が多発していました。また、ビルドアップに関してはこのような仕込みが見られましたが、前線での崩しやディフェンス面に関してはそのようなものは全く見られず、長谷川体制終盤と変わらないまま個人の能力によって試合を成り立たせていました。

4.2018後半~現在(宮本恒靖体制)

クルピ監督は2018年夏に解任され、後任には宮本監督が選ばれました。就任コメントの一部を引用します。

Q「今のガンバは具体的にどこが悪いと思いますか?」
宮本監督「戦術的にあまり詳しくは言いたくはありませんが、さっきも言ったような少し個人の自由度が高いプレーが多いので、少しそういった所を整理出来たらなと思っています。

Q「監督の目指すサッカーを教えてください。」
宮本監督「ボールは大事にしたいですし、そういった中で相手ゴールにたくさん迫る、たくさんゴールを奪うというところは、もちろんそこはガンバで育った人間として自分の中にありますし、守備に関しても他で学んで来た所もあるので、色んな自分が良いと思う所を出して行きたいと思います。」

就任コメントからは、規律を持ち、ボールを握って攻撃的に戦いたいという考えが読み取れますが、実際はよりリアリストで、残留を見据えてなりふり構わない試合をしてきました。まずは基本布陣の442から見てみると、

2トップはタメを作る+ゴールハンター、SHは走って死んで、中央に遠藤、今野のコンビと2014年にそっくりな布陣になりました。就任後数試合は後半ATでの失点が続くなど、数字上の守備の改善はすぐには現れませんでしたが、クルピ監督時代とは明らかに安定感が増した戦いができるようになりました。修正点は主に引いたときの振る舞いで、簡単に釣りだされるシーンは減っていきました。また、攻撃面でも、丁寧なビルドアップにはこだわらず、早めに前線に当てて前でボールを動かす意識が高くなっていました。これにより、被カウンターの機会が減少したように思います。
更に、宮本監督がガンバサポから評価されている点はかなりリアリストな1面も持つところです。

これは25節川崎戦のスタメンですが、宮本監督はいきなり3バックを採用してきました。この試合だけでなく、神戸戦やマリノス戦でも3バックを採用し、ボール保持にこだわらない姿勢を見せています。このように「理想のサッカー」よりも「現状せざるを得ないサッカー」優先した結果が9連勝というクラブ記録につながったと思います。その傾向はデータでも表れていて、支配率50%越えで得た勝ち点13pt(8試合)に対し、支配率50%以下で得た勝ち点は20pt(9試合)にのぼります。そして宮本監督の本当の理想のサッカーと考えられるのは残留が決まったあとの2018シーズン最終節。

渡邉を最前線に置きながら主に藤春と小野瀬で幅をとり、遠藤、今野のコンビでひたすらにボール回収➝二次攻撃へというハマれば相当な破壊力を発揮するであろうサッカーです。この試合でも実際多くのチャンスを作れていましたが決めきれず。逆に前に出ていくディフェンスをいなされてカウンターから失点を重ねてしまいました。2019シーズンは今のところ新加入のキムヨングォンの対人が少し不安なのもあり、この戦い方はしばらくやらないと思いますが、この試合を踏まえてどのような修正をするのかはとても興味があります。
最後に、2018年の支配率(通年)は49.7%でした。

おわりに

2013年以降のガンバはこんな感じでした。

長谷川健太前半-守って走ってカウンター!
長谷川健太後半-守れず走れず攻められず
クルピ-ビルドアップだけ教えるからあとは頑張れ
宮本-勝つために死ぬ気で走れ

久しぶりに長文ポエムを書いたので楽しかったです。今度から真面目にマッチレポ描き上げたいと思います。読んでくださりありがとうございました!(支配率などのデータはFootball LABさんから引用)

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