「果実と孤独な老人」(2023年9月19日の日記)

・フルーツ、してますか?

・僕は、させていただいてます。割と前からずっとやりたかった「大量のフルーツを購入して、カットしたものを全部をタッパーに詰めて、好きな時に好きなだけ食べる」をやったのだ。これめちゃくちゃ気分が良くなるからおすすめです。

・それにしても、フルーツって高いな。別に高級果実店に行ったわけでもなく、普通のスーパーで買ってきただけなんだけど、桃なんか2個合わせて880円とかする。正気か….? いや、払う価値があるくらいには美味しいんだけども。
・僕は子供の頃から果物が大好きだったので、親の買い物について行くときは毎回食べたいフルーツを指差して親にねだっていた気がする。自分の家が特段に裕福だと感じる経験はあまりなかったが、フルーツを好きに買ってもらえるくらいには恵まれた子供時代を過ごしたように思う。子供の指差し一つに1000円も払えるということは、贅沢なことだ。



・買い物を終えて一人暮らしをしているアパートに帰宅すると、同じアパートに住んでいる老人がタクシー運転手と揉めていた。この老人は今までも何度か関わったことがある。ボケている上に耳がほとんど聞こえないらしく、おまけに足も悪い。アパートの目の前でへたり込んでいるところを通行人が気にかけている、そこに僕がやってきて老人の部屋まで肩を貸して連れ帰る、ということを何度かやったのだ。
・今回、老人はお金を全く持っていないのにタクシーに乗って家まで帰ってきてしまったらしい。「お金ないなんて困りますよ!」とタクシー運転手は声を張り上げ、遅れて警察がやってきた。「お父さん、いい年した男がこんな、情けないと思わない?勘弁してよ、みんな迷惑だよ。どうするの?」老人は説教を受けているが、ない袖は振れないのでどうしようもない。最終的には身分証を抑えられて解放されたようだ。(僕は一階に住んでいるので、このやりとりはずっと家の中まで聞こえていた。)

・北海道には冬の厳しい気候に耐えられずに淘汰されるため、ホームレスがいないという。しかし、その代わりに激安アパートにギリギリで暮らしている貧乏老人がいる。もうボケているので声は聞こえていないかもしれないが、ボケきった脳みそのまま無賃乗車をして「迷惑だよ」と言われる、そんな人生の幕引きはあまりにも不憫だと思った。なんせこの老人は貯金もなく、稼ぐ手段もなく、頭も回らず、友人も家族も一人もいない。これは以前「おじいちゃん何歳?」と聞いた際に「独身。誰もいない。」と返ってきたので、なんとなく察したことだ。僕が老人になる頃には、自分の理性が認められなくなり次第、自動的に安楽死が選択されるような制度が存在していると良いと思う。そうすれば、詰んだ状態を延長される最悪の経験をせずに済むから。

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