長幼の序 敬われるにふさわしい生き方をしているか

子供は大人を敬い、大人は子供を慈しむというあり方を「長幼の序」と言います。
儒教の影響が色濃い日本、韓国、中国では年長者は偉い、という意識が強いと思います。
高齢化社会になり、この意識は社会の進歩という点で機能不全を起こす原因になっています。

私は年齢を重ねるほどに、謙虚にならねばならないと思います。
子供が何か問題を起こしていることがあれば、それは間違いなく大人側に原因があります。子供は大人の映し鏡です。

年少者が年長者が年長者を敬うのは自然の道理ではありません。
年長者が年少者を大切にすることで初めて敬う気持ちが湧いてくるのではないでしょうか。

水や食料が不足しているとき、親は自分が飢えてでも子に食べ物を与え、生きさせようとするものだと思います。
幸い私はそのような極限状態に至ったことはありませんが、災害など危機的な状況において、親としてまず子供を優先させます。私の妻も絶対そうするはずです。
祖父母も同じはずです。
そして子供たちも、まず一番年少の弟・妹から食料が行き渡るようにしていくと思います。
幼いもの、自分より年少のものを何よりも大切にする。年長者が自分を犠牲にして守ってくれるから、年少者は年長者を敬う気持ちがわいてきます。
そして子供も年長者となったとき、年少者を慈しみ、守っていくことになると思います。

「年長」というだけで敬われて当たり前と考えていないでしょうか?

高齢者の年金や医療費の大半は現役世代が賄っています。
現代社会において、食料とはすなわちお金のことです。
子や孫に分け与えるどころか、平気な顔で奪っているのです。
こうした流れをご存じない、というのも一因と思いますが、
自分の子や孫から食料を奪っている
という不都合な真実から完全に目を背けているのが今の年金・医療費の制度です。

また国の未来を決める国会議員の平均年齢は
男性が57.0歳
女性が54.5歳
と子育て世代からは外れています。
そして大臣など政府の要職に就く年齢はもっと高齢化します。

https://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/ikenkoukan/82/pdf/1.pdf

これでは国の未来に重要な子供の教育が後回しにされやすくなります。
団塊世代より上の世代は、先輩後輩の上下関係の中で成長してきたため、先輩には本能レベルで逆らえません。
(本当はそんなはずはないのですが、、)
年長者が年少の議員に道を譲る、という高邁な判断ができればよいのですが、そんな人は稀だと思います。
高齢の議員がいることが一概に悪いとは言えませんが、人数制限や役職の制限を付けるぐらいの措置がないと、いつまでも若返りを図ることができません。もしくは選挙権に年齢の上限を設けることもありだと思います。
年齢の上下関係にこだわる儒教思想に縛られるからこそ、少し過激とも言える提案をしています。

上の世代が一気にいなくなった明治維新、太平洋戦争後は、国の方針を決める重職に若い人間が就くことで、活力が生まれました。
しかしその後、世代の新陳代謝が悪くなり、失われた30年と言われるように成長がなく停滞した時期が長く続きました。

この時期に氷河期世代があり、就職も結婚もできない人たちが増えてしまいました。
ひもじいときに食料を得ることを許されなかった世代です。上の世代は自分たちの食い扶持を守るため、年少者を苦しめてしまいました。
働いて、スキルアップし、本来なら蓄えを作れたはずでした。
そんな彼らが自分たちよりも下の世代に糧を与えることは無理なのです。

長幼の序
個人の在り方、世代の在り方として、年長者は、自分よりもまず年少者を大切にし、慈しむ。それが結果として、心から敬われることに繋がっていくと思います。

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