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旅のほん_vol.002:小田実『何でも見てやろう』

旅のほんといえばこの本を思い出します。

1961年初版です。もう60年も前か。しかし、全く古さを感じません。ひたすら若々しさを感じる一冊です。半分残念ながら、半分ほっとしながら、私たちは2020年では同じような旅はできません。1日1ドルでは旅はできないでしょう。それ以前に、すっかりあるのが当然となってしまったiPhoneを手放すことはもうできません。そういう世の中になってしまったのです。手元のiPadを使えば、世界中の写真を見ることができます。家にあるiMacを使えば、誰かが行った世界各地の旅動画を見ることができます。しかも、縦横無尽に。鎌倉の月は、エルミタージュ美術館、そのままイエローストーンをチラ見して、兵馬俑を見ることもできます。

にもかかわらず、私たちはその場所に行きたいという欲望を抑えることはできません。アリストテレスのいうように「人間は生まれながらにして知ることを欲する」のです。そういう意味では何でも知りたいという欲望は当然のことなのです(ちなみに、著者の小田は西洋古典を学んだ人です)。

この本は読むべき本であると思います。こんな世の中だからこそ、私たちのうちにある冒険心を刺激するために、実際の歳と無関係に、若き心を持つ人に読んでいただきたい本です。

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