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シエナの起源 ☆ パリオのリハーサルを見ながら

<イタリア旅行記(2010年マルケ&ウンブリア&トスカーナ)no.45>

シエナ(Siena)の夏の風物詩・競馬祭のパリオ(Pario)。
翌日の本番へのウォーミングアップの為に、軽く雰囲気を楽しんでと、
前夜のリハーサルを見に行きました。

楽しむ気持ちで、足を運んだ、カンポ広場。
ただ、このリハーサルが、予想以上に凄かったのです。

まずは、参戦する地区(コントラーダ)の行進。
地区の旗を振りながら、続々と、入場し、立ち位置や、流れを確認していきます。

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レオコルノ地区
(Leocorno:一角獅子)
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ニッキオ地区
(Nicchio:貝殻)
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イストゥリチェ地区
(Istrice:ヤマアラシ)
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キオッチョラ
(Chiocciola:かたつむり)
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チヴェッタ地区
(Civetta:ふくろう)

中世の衣装に身をまとっている方々の中に、私服の方々も一緒に歩いていますが、この方々は、当日は、中世時代の重厚な甲冑をつけて、行進されるそうです。

最後に、白黒(Bianco e nero)のシエナ旗(Bandiera di Siena)も、入場。
この旗の上には、あの有名な「カピトリーノの雌狼(Lupa Capitolina)」が、装飾されていました。

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カピトリーノの雌狼(Lupa Capitolina)

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ちょっと、ここで寄り道。
シエナの起源について、綴っておきます。

トスカーナ州に位置するシエナですが、実は、ローマとは縁が深く、
シエナの街角で、この「カピトリーノの雌狼」、「オオカミと乳飲み子像」を、いくつも、目にします。

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マンジャの塔・入口の広場にて
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トロメイ広場(Piazza Tolomei)の、主柱の上にも飾られています

紀元前753年、ローマが建国された時の初代王・ロムルス(Romulus)、軍神マルスの息子です。
彼の名前から、「ローマ(Roma)」と名付けられたと言われていますが、
彼には、双子の弟・レムス(Remus)がいました。

この双子の出生は、望まれておらず、殺害を言い渡されましたが、
乳飲み子2人を哀れんだ兵士が、密かに、生き延びれるよう、川に流したそうです。
その双子を、オオカミが育てたと言われていて、その伝説(神話)を表現したのが、この有名な「オオカミと乳飲み子像」なのです。

成長した双子は、ローマ建国にあたり、兄弟間での争いが起こります。
どちらが、初代王になるかはもちろん、都市の名前はどうするか、等々。
もし、弟レムスが、初代王になっていたら、ローマは、「レモラ(Remora)」と名付けられていたかも、との説もあるのですよ。

ちなみに、「レモラ」は、イタリア語で「コバンザメ」の事。

結局、兄ロムルスに殺された、弟レムス。
享年、18歳の若さでした。
レムスはに、2人の息子がいました。
セニウスと、アスキウス。
彼らは、伯父に殺されることを恐れ、ローマを抜け出し、トスカーナのある土地に、辿り着きました。

その土地が、ここ「シエナ」だったのです。
その名は、セニウスのあだ名「セナ(Sena)」からとられ、シエナの歴史が始まりました。

シエナ大聖堂内の床には、その「セナ」の文字と一緒に、オオカミと双子の姿が描かれています。

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大聖堂内の床
(Pavimento nel Duomo di Siena)
シエナの大聖堂
(Duomo di Siena)

古くからの歴史が残る古都・シエナ。
ローマと縁がある、その起源も、シエナ人の誇りなのだそうです。

こういう街の始まりを知っていると、街歩きも楽しくなりますよね。
シエナ散策中も「オオカミと乳飲み子像」を探しながら歩いてしまいます。

オリジナルの「カピトリーノの雌狼(Lupa Capitolina)」は、
ローマの、カピトリーニ美術館で、鑑賞することができます。

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パリオのリハーサルに、戻りましょう。

地区行進が終わったら、次は、子供たちの出番です。
歌いながら、会場へ。
子供達も、当日は、中世の衣装を着るそうで、可愛いんだろうな。

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応援合戦(の練習)も、始まりました。

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子供達の声は、本当に、元気よく、パワーがありますね。
本当に、このパリオを楽しんでいる様子が、ひしひしと伝わってきます。

そして、当日の雰囲気に、慣れさせるためでしょうか。
馬達も、ぐるりと一周コースを回っていきました。

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凛々しい騎士団も入場してきました。

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ふと気づけば、3時間以上も、リハーサルを見ていて、
そして、最初は、まばらだった観客も、もの凄い人だかりとなっていました。

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カンポ広場が、人で溢れています。
リハーサルで、この人、人、人…。

ひと通り、リハーサルは終わったようですが、まだまだ、皆さま、熱気溢れて、帰る様子もなく、余韻を楽しまれています。

私も、興奮冷めやらぬでしたが、明日の本番に向けて、ホテルに戻る事にしました。
明日の本番は、どんなことになるのやら、ちょっと、ゾワゾワ。
楽しみです!

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