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ナポリで、カラヴァッジョを感じる

<イタリア旅行記(2019年夏・南イタリア横断)no.77>

ナポリ中心街から、北に上がったところにある国立カポディモンテ美術館(Museo e Real Bosco di Capodimonte)

ここは、ナポリに所縁のある画家・カラヴァッジョ(Caravaggio)の作品が常設で置かれています。

ミラノで生まれ、絵画修業後に、ローマへ。
時代の流れに乗り、一気に、ローマ画壇の寵児となりました。
彼の画風は、光と影のコントラストが美しい「テネブリズム(Tenebrism)」。

イタリアでは、ヴェネツィア派のティッツィアーノ(Tiziano)、ティントレット(Tintoretto)
オランダの画家・レンブラント(Rembrandt)が有名です。

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国立カポディモンテ美術館(Museo e Real Bosco di Capodimonte)


常設展もありますが、今回は、「カラヴァッジョ特設展」へ向かいます。

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チケット売り場&受付( Biglietteria )

開場直後、朝早い時間に訪れたので、チケット売り場も空いていて、
待つことなく、入場できました。

「カラヴァッジョ特設展」と言っても、実は、カラバッジョ作品ではなく、
カラバッジョに触発され、模写した画家、影響を受けた画家達の作品展
こういう趣向の展示は、なかなか観れないので、とても興味深いです。

場内は、写真撮影OKだったので、心惹かれた作品を撮影しました!

それが、こちら!
ちょうど、ローマ追放された時期(1606年頃)に描かれ、
彼自身が、死ぬ間際まで、手元に置いておいた3作品の中のひとつ。

「法悦のマグダラのマリア(Maddalena in estasi)」

模写、贋作は、いくつもありますが、
2014年に発見された作品は、カラヴァッジョ本人の作品である可能性が高いと言われています。

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「法悦のマグダラのマリア(Maddalena in estasi)」(模写)

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ルイス・フィンソン 作 (Louis Finson)

カラバッジョ作品を多く模写した画家のルイス。
ほぼ同時代を生きたふたりなので、きっと、どこかで、カラヴァッジョ本人の「法悦のマグダラのマリア」を目にして、魅了されたのでしょうね。

この作品は、2回模写していて、今回、並べて展示してありました。

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左の絵は、全体に薄く黄色味がかっていて、奥の絵の方が、ワントーン明るく、より発色している感じ。
こういう比較展示も、面白いですよね。

ここで、簡単に、本当に簡単に、カラヴァッジョについてまとめてみます。

< カラヴァッジョの足跡 >


ローマで、最も評価され、有名な画家として知られていたカラヴァッジョですが、暴力沙汰・喧嘩騒動は、日常茶飯事。
絵で報酬を受けると、夜な夜な街で、暴れていたそうです。
とうとう、殺人事件まで起こし、ローマから追放され、ナポリへ。

ナポリでも、彼の画風は高評価を受けて、成功を収めた後、さらに南へ。
マルタ島で、マルタ騎士団の騎士として迎えられたそうです。

このマルタ島での行動、詳細は分かっていないのですが、やはり、喧嘩沙汰を起こし、投獄。
その後、脱獄して、シチリア東部に身を潜めまてから、再び、ナポリへ戻りました。

ナポリで、再び描き始め、躍動感にあふれた作品を多く残し、再評価されたと言われています。

このナポリ生活は、1年程。
ローマの有力者達の尽力で、近々発布される恩赦を受ける為に、ローマに帰る途中で亡くなったそうです。

ルネッサンス期が終わった後に、彗星のごとく現れた時代の寵児が、最後に目指した場所は、やはりローマ。
追放されたといえ、最後は、ローマで、あの都で、もう一度、生きたいと思ったのでしょう。

激動の人生を送ったカラヴァッジョ。
その光と闇を感じさせる作品に、多くの人が魅了されるのだと思います。

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2014年に発見された作品は、カラヴァッジョ本人の作品である可能性が高いと言われていて、2016年春、東京、上野・国立西洋美術館で開催された「カラヴァッジョ展」で、日本はもちろん、世界でも初披露されました。

私も、早朝の飛行機で上京。
この「法悦のマグダラのマリア」を、観に行ったのを思い出していました。

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カラバッジョ作「法悦のマグダラのマリア」は、本当に素晴らしく…。

この絵を、どんな気持ちで、カラヴァッジョは描いたんだろう。
どんな思いで、死の間際まで、手元に置いていたんだろう。

彼の ‟ 静かなる狂気 ”をも感じさせる情熱、葛藤が伝わってきて、
思わず、絵の前で、ただただ泣いてしまった私。
あの瞬間から、カラヴァッジョに惹かれてやみません。

そして、まさに今、大阪のあべのハルカス美術館で、「カラバッジョ展」が開催(~2020年2月16日迄)されています。

もちろん、あの「光悦のマグダラのマリア」も、再来日。
他に、日本初展示の作品も10点ほど、観れるようです。
開催最終日が近づいてきていますが、是非、行かなければ…と思っています。

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【カラバッジョ展:あべのハルカス美術館】
開催期間:2019年12月26日(木)~2020年2月16日(日)
開館時間: 
火~金 / 10:00~20:00
月土日祝 / 10:00~18:00


【美術館情報】
国立カポディモンテ美術館(ナポリ)
(Museo e Real Bosco di Capodimonte)


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