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石切り場の洞窟「ディオニシオスの耳」

<イタリア旅行記(2013年 シチリア横断)no.78>

シラクーサ(Siracusa)のギリシャ劇場・横に、もうひとつ見るべき場所があります。

「天国の石切り場(Latomia di paradiso)」と、呼ばれている石切り場で、
その中でも、ひときわ目を引くのがこちらです。

ディオニシオスの耳
(Orecchio di Dionisio)

耳の形をしているこの洞窟は、画家のカラヴァッジョ(Caravaggio)が、
名付けたと言われています。 

「ディオニシオス」と聞いて、うん?と、心当たりのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そう、太宰治の「走れメロス」に登場する暴君・ディオニシオス なのです。

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元々は、「ピタゴラス伝」の中にある、友情物語。
古代ギリシャのピタゴラス派教団員間の団結の固さを示す逸話を描いたものですが、舞台設定や、登場人物が変わりながら、ヨーロッパ、中東アラブ世界にも広まっていたそうです。

太宰治・執筆の物語の舞台は、ここ、シラクーサ。
メロスの親友で、人質となった石工・セリヌンティウスが働いていたのが、この石切り場なのではと、言われています。

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とても、とても、興味深い洞窟。
その大きさも圧巻で、カメラに、収まりきらない迫力があります。

さあ、洞窟の中に入ってみましょう!

洞窟の中
(Nella grotta)

かなり奥まで続いています。
この辺りでも、すでに小さな声でも反響していて、不思議な空間。

洞窟の一番奥まで行き、振り返ってみると、こんな感じです。

洞窟の奥から
(Dal infondo della grotta)

暗闇に外からの一光が差し込む感じです。

この洞窟には、悲しい逸話が残っています。

紀元前、アテネ軍との戦いで勝利したシラクーサ軍が、
捕虜になった7000人ものアテネ兵たちを、ここに閉じ込めたそうです。
その兵士たちの嘆きの声が、一日中、この洞窟を覆い尽くした、とか。

史実かどうかは不明ですが、そういう歴史があっても不思議ではなく、
色々と、考えさせられる場所でもありました。


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