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国際社会におけるプラスチックの問題 |みさき

こんにちは、みさきです。

皆さんは、買い物の際にマイバッグを利用していますか?
近年ではレジ袋が有料化され、マイバッグは身近な存在になっていると思います。レジ袋の有料化は、プラスチックごみの削減を目的に導入された制度です。

では、なぜプラスチックごみを削減する必要があるのでしょうか?

それは、プラスチックが生産から廃棄までの過程で、環境や動物の命、人々の暮らしや健康、国家間の関係性まで様々な方面に大きな負の影響を与えているからです。

今回は、中でも国家間に起こるプラスチックごみの問題に焦点を当てたいと思います。

この記事では、
・国際社会の中でプラスチックごみがどのような問題になっているのか
・問題に対して私たちが出来ること

について書いていきます。


1. プラスチックごみ処理の現状

プラスチックは、リサイクル、焼却処理、埋め立てなどといった方法で処理されます。これまで、世界で生産されたプラスチックの総量は83億トンを超えますが、そのうちリサイクルされたのは6億トン。生産量全体のわずか9%です。残りの12%は焼却、78%はごみとして廃棄されています。

プラスチックは自然に分解される素材ではないため、ゴミになってしまうと完全に処理することは難しいです。


では、そのごみ処理は世界のどこで行われているのでしょうか?

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2.プラスチックごみを処理する国は?

世界で廃棄されたプラスチックごみの多くは、東南アジアやアフリカの国々に輸出され、処理を任されています。

なぜ自国でプラスチックごみを処理せず、輸出しているのでしょうか?


その理由の一つに、人件費の問題があります。プラスチックの処理には手間がかかり人件費もかさむため、比較的人件費の安い国にプラスチックごみが輸出される傾向があるのです。

かつては中国が多くのプラスチックごみを受け入れていたのですが、中国は2018年に環境汚染などを理由に輸入を禁止しました。世界の中でもプラスチックごみの排出量が特に多いアメリカや日本も、東南アジアやアフリカ諸国にプラスチックごみを輸出しています。

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では、輸出されたプラスチックごみは適切に処理されているのでしょうか?

残念ながら、そうではありません。
東南アジアの国の中には、ゴミ処理の制度や施設が十分に整備されていない国もあります。そのため、送られてきたごみの大半は埋め立てや焼却という方法で処分されます。しかし、この方法では環境汚染や焼却の際に発生する有害物質による地域住民への健康被害といった問題を引き起こしてしまうのです。これに対して、マレーシア政府のようにプラスチックごみの輸入禁止やごみの送還といった処置をとる国も現れています。

ただ、一部のプラスチックごみはごみ発電所の燃料として用いられたり、溶かして粉砕したうえで再生プラスチックとして再利用されたりしています。しかし、このように処理されるプラスチックはごくわずかです。大半のプラスチックは汚れや匂いが付着しているため、再利用は不可能なのです。

このように現在の国際社会では、自国のプラスチックごみを他国に輸出し、ごみが送られてきた国の地域や住民がその被害を受ける、という問題が発生しているのです。これは、リサイクル名目で先進国がプラスチックごみを途上国に押し付けている構図とも捉えることが出来るのではないでしょうか。

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また、ごみの輸出先に東南アジアが選ばれてしまう理由のひとつに、アジアから排出されるプラスチックごみの多さがあります。アジアはプラスチックごみを多く排出しているのだから、それをアジアで処分するように求められることがあるのです。

実際、世界経済フォーラムは海洋プラスチックごみの8割がアジア諸国から流出していると発表しました。これは、アジア諸国で膨大な量のプラスチックが消費されているからです。しかしそれだけでなく、先ほども述べたようにごみ処理の制度や施設が整っていないためプラスチックごみが適切に処理されず、投棄されて海へ流出してしまうことも原因です。特にカンボジアやフィリピンは、ごみ収集や清掃の行き届かず、ごみ処理の施設も不十分だといわれています。

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自国で排出したプラスチックごみを自国で処理することが難しい状況下で、他国の分のごみまで処理することなど、ほとんど不可能です。

それぞれの国が、まずは自国でごみを処理できるようにならなければなりません。国境を越えた関係性の構築が容易な現代の国際社会を逆手にとって、自国に不可能なことを他国に押し付けるのではなく、むしろ、国家が互いに協力して負荷を軽減し合う関係の構築が重要である、ということがこのプラスチックごみの問題から再確認できるのではないでしょうか。
プラスチックごみの問題は、国家を超えた協力が必要不可欠な話題です。


3. プラスチックの使用を削減する5つの方法

ここまでプラスチックごみの現状と、国家間に生まれる問題点について書いてきました。

この問題に関して私たちが出来ること。
それは、将来、ごみとなり得るプラスチックの利用を減らすことです。その具体的な取り組み方には、以下のようなものがあります。

過剰包装を避ける
野菜や果物を購入する際にビニール包装をしていないものを選ぶ
③食品や洗剤を量り売りのお店で購入する
④食品の保存はタッパーやラップの代わりに瓶や陶器の容器を使う
ワンウェイプラスチックの削減

ワンウェイプラスチックとは、1度だけ使用されてごみになってしまうプラスチックのことを指します。コンビニでもらうスプーンや、お菓子の個包装などがこれにあたります。このようなごみを減らすには、マイボトルに飲み物を入れる自分のカトラリーを持ち歩いてプラスチック製のスプーンやフォークを消費しないマイバッグを使用する、などが有効です。

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近年のコロナ禍で、商品の個包装やテイクアウトの容器、仕切りのためのアクリル板などプラスチック製品の使用は増加傾向にあります。
こんな現状だからこそ、一人ひとりがより意識してプラスチックの使用を避ける必要があると思います。特に、ワンウェイプラスチックの削減は、意識するだけで日常的に取り組みやすいはずです。

個人レベルでのプラスチックの利用削減から、国際社会の中の大きな課題であるプラスチックごみの問題に取り組んでみるのはいかがでしょうか。



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最後までお読みいただきありがとうございました。


作者 みさき
チェック みや
アドバイザー 松田淳也


【参考】

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/b/112000248/?P=2

https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/371720.html

https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html#section2

https://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/78/column4.html?msclkid=6b89aeafce6011ecb973182a220e27cc

https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r02/html/hj20010103.html

https://www.greenpeace.org/japan/sustainable/story/2021/07/20/52357/

https://www.greenpeace.org/static/planet4-japan-stateless/2020/08/242c8c71-20200826_recycling-myth-2.0-.pdf

https://www.huffingtonpost.jp/entry/plastic-trash_jp_5cedf983e4b0ae671058d843

https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/jiji/jiji17/


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