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ファッションと環境問題 | みさき

こんにちは、みさきです!

突然ですが、皆さんは今、どんな服を着ていますか?
服を選ぶ基準はデザインや素材、コストパフォーマンスなど様々ですよね。近年は、流行を取り入れつつも低価格で衣類を手に入れられる「ファストファッション」のブランドを利用する人も多いのではないでしょうか。

 さて、私たちに必要不可欠な服ですが、服が自分の手に届くまでの過程を想像したことはありますか?
その過程で環境への影響があるといったらどのような事を思い浮かべるでしょうか。

今回は、ファッション産業と環境問題の関連について現状と、問題点に対する取り組みや私たちに出来ることを書いていきます!



1.ファッション産業が環境に及ぼす影響 〈水 / 有害化学物質 / CO2〉

 国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、ファッション業界は世界で2番目に環境に有害な影響を与える産業とみなされています。世界にまたがるファッション産業ですが、具体的には環境にどのような負荷を与えうるのでしょうか。ここでは、現状とその影響を3つ紹介します。

〈現状①〉
水の消費量が非常に多い

 衣類の生産では染色・洗浄・加工といった工程で大量の水が使用されます。例えば、たった1枚のTシャツの生産で2700リットルの水が使用されるといいます(ユネスコIHE水教育研究所発表)。また、水はコットンなどの原材料の栽培にも必要です。
〈なぜ問題なのか?〉
 水の過剰消費は水資源の枯渇を引き起こす原因となります。これは、水辺の生物の生活環境を変え、生物多様性の破壊につながるリスクがあります。また、水資源の枯渇は国家間で水資源の確保を巡る争いを引き起こす危険性もあるため、重要な問題と考えられます。

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〈現状②〉
有害化学物質や農薬が使用されている
 繊維産業では、衣類の染色などの段階で化学物質が使用されます。その中には、発がん性があり生物に有害な化学物質も含まれます。また、原料の綿花栽培には殺虫剤が必要です。その使用量は全世界で使用される殺虫剤の4分の1であり、農薬の11%を占めると報告されています。
〈なぜ問題なのか?〉
 化学物質の一部は、河川に放出されると水質汚染の原因となります。このファッション産業による水質汚染は、全世界の廃水汚染の20%を占めるとも指摘されています。水質汚染は、水中の生物の住処や命を奪う他、その水を取り込んだ生き物の健康にも被害を及ぼす危険があります。

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〈現状③〉
生産から処理までに大量のCO2が排出される
 CO2は温室効果ガスの一つですが、ファッション産業は全世界の温室効果ガスの8~10%を排出していると報告されています。例えば、排出されるCO2の量として服1着では25.5Kg、日本国内に供給される衣類全体では95百万トンと推計されています。原材料の調達から廃棄処理まで、全ての段階で石油や電気などのエネルギーが使われるので、CO2の排出は避けられません
〈なぜ問題なのか?〉
 CO2は温室効果ガスの一部であり、地球の温暖化を加速させる一因です。温暖化は、気候変動やそれに伴う海面上昇、干ばつなどといった形で生物に影響を及ぼします。このような環境の変化は、感染症の蔓延や飢餓の原因ともなるので、多くの生き物にとってリスクが大きいと考えられます。

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以上のようなものが、ファッション産業が環境へ与える影響の一例です。
同様な影響は他の産業からも発生しますが、特に近年の「ファストファッション」の業態は、環境への負荷を増加させています。衣類の大量生産・大量消費・大量廃棄によって水をはじめとする資源やエネルギーが必要以上に浪費されていることが問題なのではないでしょうか。

しかし、人々の生活から衣類の需要がなくなることはなく、私たちにとってファッション産業は必要不可欠な存在です。だからこそ、人間その他の生き物、環境にとっても適切なスタイルを確立する必要があると思います。
また、誰もが関わらざるを得ない衣類関連の問題なら、私たち一人ひとりの消費行動で問題解決に貢献出来るのではないでしょうか。


2.有害化学物質の使用削減を目指す取り組み

上記のような環境問題に対して、世界中の衣料品メーカーや政府、NGOなどが問題解決のための対策を講じています。ここでは、環境問題の解決を目指す国際環境NGO「グリーンピース」の取り組みを紹介します。

グリーンピースは、2011年から「デトックス・キャンペーン」を展開しました。これは、大手衣料品ブランドに対して、2020年までに有害化学物質の使用や排出ゼロを目指す取り組みです。中国やインドネシアなどの国々で、有害化学物質が水路に流されていた問題への対応を目的としていました。

このキャンペーンには、ファッションブランドやアウトドア業界など合わせて80にのぼるブランドが参加しました。各企業は排除する有害化学物質とその排除方法や目標数値をリストアップし、処理排水や汚泥検査を受けることで排除方法の有効性を実証しながら、有害化学物質の排除に取り組みました

その結果、ほとんどの企業がこのキャンペーンで特に焦点を当てた有機フッ素化合物の排除に成功しました。企業の72%は、製品からの全廃を達成したことも報告されています。
また、この取り組みに後押しされ、より厳しい排水基準の制定や有害物質を含む繊維製品の輸入を禁止するなどという形で、政策を改定する国もありました。

【参照】https://www.greenpeace.org/static/planet4-japan-stateless/2020/10/f74e6ec8-20201028_dz_jp.pdf


3. 服を大切にして環境問題の改善に貢献しよう

衣料品メーカーが環境保護に重点をおき、価値観やシステムを転換することは環境問題解決への大きな力となります。しかし、消費者の存在をなくして市場は回らないため、企業側の努力だけでは問題の完全な解決へとは至りません。

それでは、衣類を消費する個人として私たちにできることは何があるのでしょうか? 日常的に取り組めることの例として、次のようなものがあります。

① 購入した服を長く着る
② 新しい服の代わりに古着を購入する
③ 服のレンタルサービスを利用する
④服を廃棄する代わりに古着回収を行う事業者に持ち込む


特に、1着の服を長く着ることは
・素材が丈夫な服を選んで購入する
・適切な洗濯方法で手入れをする
・服のほつれを自分で修繕する
など、日々の小さな行動で実践できます。

これらの行動は、衣類の消費において将来まで持続可能であることを目指し、人や環境に配慮した取り組みである「サステナブルファッション」の一部です。服を購入する際に、このサステナブルファッションに力を入れたブランドを選ぶことも有効な取り組みと言えるでしょう。

私たちは、環境負荷を減らす努力を衣料品メーカーに頼るだけではなく、消費者の立場から無駄な需要を増やさない、という形で問題の改善に取り組むことが大切ですね。

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4.まとめ

今回は、ファッション産業がの背景にある環境問題を取り上げました。
さいごに、ファッション産業が引き起こす環境への負荷の現状と、その負荷を減らすために私たちが出来ることを整理します。

ファッション産業が環境に与える負荷として、水の大量消費有害化学物質の使用CO2の大量排出などがある
世界の様々な衣料品メーカーは、生産工程から有害化学物質を排除する取り組みなどを通して環境問題への対策を講じている
私たちは、1着の服を長く着ること古着の購入などといった形で環境負荷の軽減に貢献できる


ファッション産業による環境負荷は世界規模であり、大手企業の取り組みはもちろん、私たち一人ひとりの取り組み無くして問題を解決することはできません。まずは、「服を大切にする」という意識を持って生活することから始めてみませんか?




国際協力メディアの大元である国際協力企業AlbaProjectでは、月に1回の「国際協力交流会」を行っています。
この交流会では、国際協力に関心を持つ人同士で議論や個人の活動の報告などを行います。様々な人の話を聞く中に、国際協力に向けて行動し始めるヒントが潜んでいるはずです。
この記事で取り扱った話題についても、人と話すことでより理解を深めることが出来るのではないでしょうか。

イベントの詳細は下記のリンクをご覧ください!


最後までお読みいただき、ありがとうございました!



【参考】

https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/index.html

https://www.greenpeace.org/japan/explore/fashion#problem

https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/4586.html

https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/32952/

https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/33203/

https://www.env.go.jp/policy/pdf/st_fashion_and_environment_r2gaiyo.pdf

https://www.wwdjapan.com/articles/579645


作者 みさき
チェック みや
アドバイザー 松田淳也

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