見出し画像

「ZOOMのチャットを禁止して」と言われても、オンラインおうち学校がチャットをオンにしつづける理由

私が運営するアルバ・エデュが、全国一斉休校になった3月2日から、オンラインで専門家の授業を届けるという「オンラインおうち学校」を開始してはや3カ月がたちました。

ご登壇いただく先生方は、その道のプロの方々で、大変お忙しい中、私たちの熱いラブコールにこたえて登壇してくださいました。
この場を借りて御礼申し上げます。



●トラブル各種


さて、それはそれは開始当初からいろいろなトラブルが起きました。
受講申し込みしてくれた子どもが入れない、音声が聞こえない、IDとPWが届かないなど。また、ホワイトボードと注釈機能はOFFにしているのを開始前に確認したはずなのに、なぜかZOOMを立ち上げたらそれが有効になっていて、落書きをされた、という怖いことも3回ほど起きました。

その都度、声かけを見直したり、ポータルを提供してくださっているキッズウィークエンドさんシステム設計からご協力いただいたりして対処してきました。いろいろとお声をいただき改善をすることができましたので、これまたお礼申し上げます。


●特にチャットのトラブルが多かったのがチャット


そして、トラブルの中でも、特にチャットに関しては賛否両論、たくさんのご意見をいただきました。


「講演者に対して失礼な言葉があるのでルールを決めてほしい」
「同じ文字を連打したりするのはやめてほしい」

子どもたちどうしで「●●(個人の名前)うるさい、だまれ」や
「その英語はスペルが違うよ」と非難し合うことも起きました。


このような状況にイライラした方々から、
「ホストがチャットを禁止する機能があるのになぜ運用を続けるのか」
というお声も少なからずいただきました。


これについては、社団のスタッフ間で、何度も協議を重ねました。
でも、チャットは今後も続けることにしました。


●アルバ・エデュがチャット機能をオンにし続ける理由



それは主に三つの理由からです。
一つ目はアルバ・エデュが大切にしている理念が
「すべての子どもに話すちからを」だからです。
一方的に配信するオンライン授業であれば、たくさんの事業者さんが提供しています。オンラインで双方向にすることはよほど人数を絞らないと難しいからです。私たちの授業は平均して100名以上の受講生、多い場合は500名という受講生に参加していただきますが、その中でもチャットというつながりを通じ、双方向性を実現し、子どもたちが授業に参加しているという当事者意識をなんとか担保したいのです。

二つ目は、一つ目とも関連しますが、たまに素晴らしい質問をしてくれて、講師の授業をグイっと前に進めてくれたり、深めてくれる質問があるからです。
例えば、ロジカルシンキングの授業の時には、人を説得するために、という文脈で先生は話していましたが、そこに「これは自分が落ち込んだ時に自分を勇気付けるためにも使えますか?」という質問が来る。
震災復興でいちご×AIで生産をしているという先生が、チームの話をしていると、「先生は一緒に仕事をする人をどんな風に決めたんですか?」という質問が来るのです。
いずれも講師の先生も私たちもニンマリです。
すべての質問を先生に投げられるわけではありませんが、きらりと光るものは、司会進行を請け負いながら拾って先生方に回答いただきます。授業の進行を見ながら、どのタイミングでどの質問を投げるか、というのが私たちの腕の見せ所だと思っています。

さて、三つ目、もっとも私が大切に思う理由は「子どもたちの心の声を拾ってあげたいから」です。
例えば英語の勉強、という話に講師が言及すると、
「私、この間、英検4級受かったんです」
「10歳の時から英会話に通っています」
という書き込みがある。
授業中、手作業という話になると、
「お母さんが家でパッチワークの仕事してるんです!」
海外の、というと、
「お父さんが●●に仕事で行ったことがあります!」
という書き込みがあります。

うんうんうん。そうなんだ。書いてくれてありがとう。

●心のつぶやきはチャットで拾ってあげたい

これらは子どもたちの心のつぶやきでしょう。
その子の家族にとっては当たり前。だから家庭内でつぶやく話ではない。
学校で口にしたら、ふーんで終わるかもしれない。
いや、むしろ「●●ちゃん、何自慢してるの?」と言われてしまうかもしれない。他には、他には話す人はいない。

でも頑張ってるんだし、聞いてほしいし、だれかに「へー!すごいじゃない!」と認めてもらいたいことって、子どもの時代はたくさんあったはず。成長する過程で、それらは人に言っても嫌がられるだけ、というのを学んでだんだん口にしなくなるんだけどね。
でも子どもたちがそんな話をしてきたら「そうなんだ!すごい!」って言ってあげたい。

昔は、こういうお話を、誰かが聞いてくれていたのではないかな。
もしかしたら、近所のおじさんおばさんが果たしていた役割かもしれない。
もしかしたら、同居のおじいさんおばあさんが果たしていた役割かもしれない。
でも地域の結びつきが薄れ、核家族化が進行した今、頑張った子の頑張りが第三者から褒められることが減ってしまったのかもしれない。
もしそれで自己肯定感が下がってしまう子が出てきてはもったいないと思うんです。



●どんどん書いてくれて良いよ


一人ひとりすべてにはお返事してあげられなくて申し訳ないんだけど、私は全部に目を通していますよ。もし全国から入ってくる子たちが、チャットに書くことで、ちょっとでも報われるのであれば、ずっと書き続けてほしいなと思います。

以前もこちらで書きましたが、今後休校が解除になって、リアルの授業が再開する中、そんな風にみんなが一斉に感想を呟いても良いよって言う機能があったら、鬱屈して座っている子が救われるのではないかなと思います。そんなアクティブラーニングの新たな可能性を日々考えています。

そんなわけで、アルバ・エデュのオンラインおうち学校が続く限り、チャット機能はずっとオンにしておこうと思っています。

学校への出前授業やオンラインの授業を提供するために使わせていただきます!