【小説】カレイドスコープ 第1話 プロローグ
四方の壁を無機質なグレーで塗られた室内で、岡野ツグミは日が差し込んでいる窓を少し眩しそうに顔をしかめてから視線だけ動かして見遣ると、その窓枠のサッシには数匹の蠅と思しき死骸が転がっているのが目に入ってきた。
死骸がどれも白っぽくなっているのは、そこに放置されてしばらく経っているのかもしれないとおぼろげに思考を巡らせていた瞬間、鼓膜を震わせる音が突如耳に飛び込んできたのでハッとする。
耳に絶え間なく飛び込んでくるその音の繋がりの音源の発信元は、ツグミの目の前にその存在