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ファッションショー主軸の新鋭ブランド「THETHE」。デザイナー田中縷々さんにインタビュー。

インタビュー第 1 回目は、今年の春に服飾学校を卒業し、ファッションブランド「THETHE(ザザ)」を立ち上げたデザイナーの田中縷々(Ruru Tanaka)さん。ご自身の多彩なスキルを活かした独創的なファッションショーが魅力で、いま注目したい新進気鋭なブランドだ。今回は、ブランドに込められた想いと、デザイナーの服に対する熱量に着目してインタビューを行った。


Designer Profile

デザイナー:田中縷々 (Ruru Tanaka)

出身は、北海道札幌市。好きなものは、映画と音楽。札幌ファッションデザイン専門学校 DOREME を卒業後、ファッションブランド「THETHE(ザザ)」を立ち上げ、現在はデザイナーとディレクションを行っている。服飾学校在学中には、国外のファッションショーへの出展や校内コンテストの受賞経験を持つ。


Q1. ブランドのコンセプトを教えてください。

コンセプトは、「かたちのないもの」です。


Q2. どのような背景があって、このコンセプトに至ったのでしょうか?

服飾学生あるあるですが、入学したての頃、自分のブランドを持ちたいとか、自分の服を作りたいとか、そんな目標がありました。ただ、その目標に対する動機はなくて、洋裁を学びながら自分が「何故」服を作りたいのか考えている中で、現代社会に対する強い「慣り」を自覚しました。
今、社会はあらゆる「感情」や「考え」に名前をつけ、物事を白黒や善悪と極端に決めるよう変化している。私はこれに「人間の野生化」という危機感を感じるようになりました。
私は、生きる上で「考え続けること」を大切にしています。なので、「かたちのないもの」というコンセプトで服を作ることにしました。


Q3. なぜ「THETHE」というブランド名に決めたのですか?

私が何を持って服を作りたいのか、という回答(コンセプト)が先にあった上で、ブランド名を悩んでいました。あるとき、私が小説家を目指していた頃に書いていたネタ帳のようなものをたまたま見つけ、開いてみると「THETHE」っていうタイトルが目に飛び込んできたんです。内容は空欄でしたが、定冠詞である「THE」の前にもう一つ「THE」を付けることで、これはブランドに相応しい名前だと確言し、「THETHE」というブランド名に決めました。


Q4. (ブランドの)服を作る上で、こだわるポイントを教えてください。

生地に関しては妥協をしていなくて、メゾンブランドさんが使うような生地を採用しているというのが一つ。また、コンセプトから服ひとつひとつに、より愛を持って着られるようなストーリーを込めています。
それと、最終的に販売するときにはパターンを作るのですが、私は服を作るときにパターンから始めないんですね。デザイン画も描かないので、THETHE の服は基本的にパターンもデザイン画もないところから、生地を触ったときに感じる重さや手触りであったり、色味であったり、そういう情報をもとにして私が直感的に服を作っているんです。概念的ですが、そういうパターンとデザイン画を使用しないところからスタートし、ドレープの扱いや重力に対するシルエットの追求もブランドの分かりやすい魅力でしょうか。

Q5. ブランドのアピールポイントは、どんなところですか?

THETHE の主軸であるファッションショーです。今後もファッションショーを主軸にして、色々なことを表現していくので、例えば、このブランドをまだ知らない人がいたら、とりあえずショーを見てほしいって伝えたいですね。
ショーに対して、規模の大きい小さいは関係なく、必ずそのショーごとに違うテーマと衣装で参加するので、ストーリーといえば大袈裟ですが、何かしら思いを込めて表現しています。
また、必ずモデルのキャスティングからライティング、サウンド、モデリングに至るまで、私がディレクションしています。なので、ブラーのない世界観を感じていただけるのがTHETHE のファッションショーであるというのも知ってもらいたいですね。


Q6. 今後のファッションショーのスケジュールを教えてください。

今年でいえば、8月18日に TOKYO FASHION LINK (東京ファッションリンク)、12月にJapan
Fashion Tour(ジャパンファッションツアー)、来年の3月には Rakuten Fashion Week TOKYO(楽天
ファッションウィーク東京)に参加します。展示会も10月ごろに東京で、3月ごろに札幌で行う予定です。
企画段階ですが、ライブソーイングっていう、モデルに布を当てながら服を作っていくっていうストリートミュージシャンのファッション版みたいなことをやりたいですね。

Q7. 服飾学校に入るきっかけは?

私は高校を2年生のときに中退して、約4年間フリーターをしていました。20歳を過ぎた頃、このままフリーターとして死んでいくことに恐怖を感じて、何かやらなきゃと思ったんです。その時、私は着る側としてファッションが好きで、”そういえば着たい服ってあまりないよな”っていう漠然とした考えから、服飾の世界に進むことにしました。結果的に、その服飾が生き甲斐というか、人生になってくれたっていう感じですね。


Q8. 服飾学校の思い出はありますか?

初めて見たファッションショーです。ただ服を着た人が歩くだけ、と思っていましたが初めて見たときに、服に対して感情を抱いたことはすごく衝撃的でした。

Q9. 今後、チャレンジしてみたいことを教えてください。

全て1からやるショーです。ロケーションからランウェイ、ライティング、サウンド、時間、PRまで。
水中でやるショーや、逆光で行うショーなど、ショーを通してやりたいことはたくさんあります。


Q10. 好きなブランドやデザインの着想を得るブランドは、ありますか?

たくさんありますが、ファッションの世界にのめり込むきっかけになったもので言うと、Alexander McQueen です。いい意味で公私混同というか、彼ほどショーで表現していたデザイナー性を、とても尊敬しています。


Q11. 田中さんにとって、洋服とはどんな存在ですか?

表現の一つです。

Q12. 今後の展望について教えてください。

変わらず、ショーを中心に、「かたちのないもの」を発表していきたいです。今年度はスケジュールと予算の都合で見送ってしまいましたが、来年以降はミラノなどの海外も視野に活動したいです。




ブランド公式のオンラインサイトでは、現在3型(パンツ2型、カットソー1型)のアイテムを既に販売しており、今後も過去のファッションショーで登場したアイテムの発売を予定しているという。アイテムは、リアルクローズを展開するラインと独創的なデザインの服を展開するコレクションラインがあり、価格帯はリアルクローズで2~8万円くらい。コレクションラインは10~16万円くらいだそうだ。



ブランド公式 Instagram :@thethe.official
Online Store :shop.thethe.jp
HP : rurutanaka.com/thethe

デザイナー Instagram:@ruru_tanaka



画像提供 : 田中縷々さん

À La MODE(アラモード)

シンプルで上質な洋服を展開するドメスティックブランド(日本発祥のブランド)を中心としながら、次世代を担うであろうネクストブレイクが期待できるブランド、また時に服飾学生の紹介を行います。そして、皆さんに"良いモノ"、"良いブランド"を知ってもらうきっかけ作りを目指します。

公式Instagram : @alamode_media

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