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オランダと日本の相違点

※あくまで傾向です.ステレオタイプ的なものもありますが,ある程度実感に基づいて書いています.

人について

  • 正直ではっきりvs 曖昧,忖度(オランダvs日本)

オランダの人ははっきり思ったことを正直言う.嫌なら嫌と言うし,いいならいいという.そして意見が違うなら間をとる.当たり前のようだけど,オランダにいるとそれを強く感じる.そしてそれはとても心地よく感じる.

ヨーロッパの要衝に位置するオランダは,様々な国籍や人種,出生,生い立ちの人がいるため,物事を進めるためにはみんなが正直に思ったことを話すことが必然的に必要になった,というのは想像に易い.

ただ,あまり日本で忖度する場面に出会う機会が少なかったので,正直なところ日本は忖度が多いという点は実体験からは導けなかった.僕自身も相手の気持ちを慮るのが苦手だということもあって日頃からそういうことを意識することが少ないというのもあるかもしれない.一方で,だからこそか,オランダに来てから変にいろいろと相手の気持ちを想像したりしてこねくり回してからものを言うことは少なくなった気がする.人と過ごす上でオランダは気持ち的にはとても過ごしやすい国だと思った.

※参考

井上ジョーさんのyoutube投稿:英語と日本語でオランダの魅力を語る

  • 時間効率性と自己視点での幸福度を重視 vs 努力と忍耐,外からの評価重視

ワーキングカルチャーにも大きく関わってくるが,ここはかなりオランダと日本の違いを感じた.まずオランダの人は時間の使い方が上手い.夜はしっかり遊び,それ以外の時間はしっかりと(単位を取れる程度=やり込むわけではない)勉強をしつつ,いくつかのインターンをしたりボランティアをしするなど,同時並行で長期的な自己投資+人生楽しむための活動を両立している.ちゃんと1ヶ月先まで計画を立てているから(時期関係なく,多くの人が),急な予定が入るのをあまり好まない.あと,大学のグループアサインメントとかでもオランダの人は計画通りにキッチリと進める.見習いたいところ.そして幸福度の観点では,オランダの人は小さい頃から「what do you want?」と親や教師に聞かれているからか,自分の求めるものや自分の価値観に対して自覚的で,他者に対しても大学名や企業名について気にしない.みんながそれぞれの価値観で幸せになろうと生きている、と考えているから.これは逆にお互いに気にしない、ということでもあるので個人主義っぽくて寂しく感じる人もいるかもしれない。就職の際も同様で経験重視で成績もあまり重視されない.大学でも成績ではなくパスするかどうかが大事で,パスすれば万々歳.大学は将来必要になることを学ぶ場所で,仕事で必要になる実地経験を積む時間や人生を楽しむための時間も大切だよね,という考え方が学生だけでなく大学教員,企業側にもある.実際に大学のオリエンテーションで,教授がオランダの文化について説明していた際に,イタリアや中国はコンペティティブだけどオランダはパスをすればハッピーと言う考え方,といっていた.必要以上に勉強することは人生を楽しんだり,実際に働く上で必要な経験を積む時間を減らしてしまう,と言うことから考えてもとても合理的だなと思った.ラットレースになることを回避しつつ,必要な知識と経験を積んでもらい,さらに人生を楽しむ.オランダはとっても合理的だと思う.

  • ケチ(キッチリ)vs 人間関係に応じた金払い

正直ここもよくわからないけど,オランダに来てからはことあるごとにRevolutやbunqといった送金アプリでキッチリと会計をしていることが多い気がする.オランダ人はケチだというが,仲のいいオランダの友人が代わりに支払ってくれることもあるので一概には言えない.ただ「奢ってもらっている」感はあまりなく,何となくみんなでハッピーになっている感じがして,さっぱりしている.あと,オランダのケチさを代表するものとして,オランダは改札がちゃんとある駅が多い,ということがある.これをいうと当然だと思うかも知れないが,ドイツやフランス,オーストリアなど他にもいろんなヨーロッパの大都市では地下鉄やトラムに改札がない駅が多い.無賃乗車し放題やないか,と思ったかも知れないが,その通りで無賃乗車し放題.ただオランダはケチなのかきちんとしているからか,改札がある駅が多い.改札がない駅もあるが,代わりにいくつか乗降記録をつけるためのポストみたいのが代わりにある.タッチしなくても乗れるのにオランダ人は乗る前と降りた時にしっかりと乗降記録をつけてお金を支払っているのが,素晴らしい倫理観だなと毎度感心する.母親がオランダ滞在中にぎっくり腰をした際,宿の人が色々と面倒を見てくれたけど,最終的にはきっちりと請求されたことを、気遣いかと期待したのにそうじゃなかったのかとブーブー言っていたが,当たり前っちゃ当たり前.

  • 社会の(ゲーム)ルールが割と明確で自己理解もしているため,仕事も人生もゲームとして楽しめるような印象(やること考えてきちんとやってれば,ちゃんと求めるものが得られるという通念) vs 暗黙の了解の範囲が大きくルールが不明確で自己理解不足で他人の物差しに左右されがちな傾向という印象

印象と偏見.自分の理想を無理やりオランダに当てはめている可能性もあるので,ごめんなさい.ただ実感として感じることではある.

政治について

正直よくわからないけど,僕がオランダで過ごしている中で日本と違うな,と感じた点からちょっとだけ帰納的に無理やりアイデアを何個かあげてみる.

  • 自由度が高い方が良い(責任も伴う)(倫理観は前提),合理的ならそうする vs なにかと規制やルールが厳しくがんじがらめ.合理的で現実に沿ったルールにならない

自転車に乗っている中でイヤホンをするのを確実に取り締まるのは不可能だから,合法.大麻や売春は違法にするよりも合法にして政府が管理した方が,行き過ぎや倫理違反の管理をしながら税収を確実にとることができる(臓器売買の有名な話と同様).幼稚園or保育園の園児をお散歩のために載せたカゴを,教師がセグウェイで押していたり,当然(日本がおかしいだけ)ライドシェアは当たり前だったり,など.他にもあまり良い例が思いつかないが,国の仕組みとして(みんながきちんと幸せに自由と責任のもとでルールを守って暮らせるような仕組みorインセンティブ作りor教育?)よくできてるな,と感じることがよくある.

  • やることやってる vs やることやってない(主観)

オランダの年金制度はしっかりしている.日本は自分含めて若い人が年金制度に対して十分に信頼しきれない.年金は払っているが,受給年齢が上がったり受給額が下がったり,年金を払った額だけしっかりと返ってくるのか?という点で不安.オランダは2階建ての年金でもかなりの良い額が支給されるらしい.日本は企業の年金?が良い会社はそれなりに十分だけど,そうではない会社に務めていると国自体の年金受給額だとかなり心許無くなってしまうそう.

経済について

「円安かつのヨーロッパのインフレのせいで,全てものが日本よりも1.5倍くらい高いから資産と収入の大半が円の日本人にとってヨーロッパ暮らしはとにかくきつい」,というのは必ずしもそうであるわけでもない.なぜなら,ヨーロッパではヨーロッパ全体が市場みたいな感じでとても大きいためか,生活に必要なものの物価は日本円に換算して日本の物価と比較して同等なものや,さらに安いものも多い.そして当然ながらヨーロッパはヨーロッパ風のデザインが当たり前だったり,冬の寒さ対策が当たりなので,日本では高そうなおしゃれな家具や雑貨が安く既製品として売っていたり,有用でおしゃれな防寒具が安く売っていたりする.さらにドンキ,無印,みたいに価格帯のグラデーションごとのお店の数がヨーロッパの方が多い印象.Amazonなどネットショッピングもあるので当然生活に困ることはない.

食文化について

  • 食事=栄養摂取 vs 食事を豊かに楽しむ

日本の大勝利.オランダの人は,食事はお腹を満たせて栄養を摂るためのもの,と言う考えのもとでサンドイッチを口に突っ込むだけ,みたいな感じの人も多い.オランダ料理って言われて何にも思い浮かばないのもそのはず,オランダの名物はフライドポテトにマヨネーズをかけたやつ(Friet)である.マクドナルドでも売ってるものが国の名物という時点でたかが知れてしまう.とは言え,オランダには中華料理店,フレンチ料理店,イタリア料理店.韓国料理店,日本料理店,ギリシャ料理店,などはたくさんあるので,行こうと思えば全然食事に困ることはない(ただ基本的に高いのであまり行かない).ちなみにヨーロッパにはたくさんSushi Restaurant がある.ただメニュはご存知の通り(カリフォルニア)ロールだったり,サーモンしかなかったりとバラエティーは豊富ではない.ちなみにその多くは中国人やベトナム人経営という..(ベトナム人の寿司経営者がとても羽振りが良さそうなのを見て歯痒くなった).オランダで手軽に東アジアの味を思い出したかったら基本的に中華か韓国料理がベター.みんなでいけば小皿をみんなでつまめて気持ちもお腹の満足感も高い.ラーメンもクオリティが高い日本人経営の店はロッテルダムやアムステルダムに数店舗しかないのでビミョー.そもそも自分で作った方が美味しい.ただ日本人経営のお店は本当に美味しいらしいので、ラーメン恋しくなったらいくしかないね

働くカルチャーについて

  • 時間効率性と自己視点での幸福度を重視 vs 何を重視しているのかよくわからない,努力と忍耐

先ほども触れたが,オランダは時間を大切にする意識が高い.そして仕事に対する前向きな意識も高い.さらにアメリカのように(偏見)融通が効かないということもない.要するに相手のためを思いながら仕事を楽しく効率的にやるということが実践できているとてもよい国.オランダの役所に住むための手続きをしに行ったときに,相手をしてくれた役所の方は僕や彼の周りの同僚,僕以外に受け取りに来た人と雑談をしながら楽しそうに仕事をこなしていた.融通が聞くなと感じた例としては,僕がアムステルダムでコンサートを予約した際にチケットの日付を間違えて予約していたが,コンサートの直前に(本当はダメ)何とかしてくれないか聞いたら,融通を利かせてくれて,当日にコンサートを見ることができたという話。諦めていたけど、人なので優しさを持って融通きかせてくれたりする(ただの僕の失敗談).

あとは,9-17時勤務や,週に数日のリモート勤務,年20日くらいのバケーションが当たり前という点がいいな,というのは思った.週4日勤務もできたり,働き方がとてもバリエーションが豊か.もちろん全ての企業でこうというわけではないが,デフォルトがこのような働き方であるという点は働き方について非常に大きな違いだと思う.日本でこれが実現しずらい理由としては「努力と忍耐」「上司と部下の非合理的な上下関係」「無言の圧力」「暗黙の了解」といった,価値観の違いがこれを生み出しているのだと思う.僕として日本に対して思うことは,「与えられた仕事と責任はしっかりと負います.だから働く場所や働く時間などの働き方は自由でいいよね.そして私はワークライフバランスが大事だと思っていて仕事以外の時間も充実させたいし,きっとあなたもみんなもそう思っているはず.だからこそあなたはバケーションをとっていいし,あなたがバケーションの期間は私たちがなんとかするから,私がバケーションをとる時はあなた達よろしくね」という考え方が普及してほしい.「今の幸せ」を後回しにしても,その幸せは年取ってからでは取り返しのつかないことかも知れない,という当たり前の事実がわかっていたら,自然とそのような考え方になると思う.僕はきっとどのみちハードワークを選ぶかも知れないけど,ベースの考え方として先に挙げたものが共有されているかどうかという点では働きやすさは大きく異なると思うし,仕事に対する意識も大きく違うと思う.

オランダの友人は日本の企業で働かない方がいいよ,オランダのグローバル企業で勤めて日本に転勤してくるのが一番いいね、と言っていた。ほんとにそうしたい。

※随時追加

コメント

オランダにいるとオランダの良い点がよりよく見えてしまうのでオランダよりのコメントが多いかも知れませんが,ご了承ください.恋は盲目ってことで、、?オランダはオランダとしての筋が通った良さがあり,日本には日本なりの筋が通った良さがあります.これらがオランダの良さ悪さと日本の良さ悪さを作り,それぞれのユニークさを形作っています.それぞれ違うからこそ,その個性を場面に応じていかすことができる,というのは大事な視点だ,ということは忘れません。

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