デッドロック・プロトコル
ジップロックを震える手で開ける。コバルトブルーに淡く光る5つの豆粒。これを探す旅で6人死んだ。
『AMMO』と刻まれた球状のフタを開け、豆粒を流し込む。
矢が頬を掠め、隣のボブの首に突き刺さった。急いで地面に伏せて物陰に隠れる。
ケータイの画面を見る。次の手順だ。
『7.ハンドルを展開して矢印の方向に回してください』
レーザー・ガンの表面の突起を探し当てて引っ張ると、オモチャのようにハンドルが飛び出した。
ハンドルのために14人死んだ。
矢印の方向にハンドルを回すと、黄色の光が筒状の部分から漏れ出した。やった!思わず声が漏れる。
俺たちは間違っていなかった!視界が涙で滲み、黄色が乱反射していた。
増した矢の勢いと足音。近づかれている。
『8.緑色に発光したらレーザー・ガンは準備完了です』
ちくしょう、まだ黄色だ!早く、早く、早く!
俺は伏せるのをやめた。足でレーザー・ガンを押さえて両手でハンドルを全力で回す。 心なしか、光が緑がかってきた。
「レーザー・ガンの遺物を奪うとはやってくれたな!ポチンキ!」
しまった!タイガーだ!
真っ先にレーザー・ガンとケータイが蹴り飛ばされ、続いて手足を射抜かれた。
「3秒以内に裏切り者の名を吐かないと殺す!」
点滅する視界で俺は緑色の光を見た。
ボブが、射抜かれた筈のボブが!レーザー・ガンとケータイを手元に引き寄せ、血溜まりの中ハンドルを回しきった!
「3」
タイガーは牛刀を俺の首に押し当てる。
視界の端で、ボブが血塗れの両腕を掲げ、ゆっくりと中指を立てるのが見えた。
「2」
アレは俺たちの決意の証。
「1」
いかなる時でも、諦めず、文句を垂れてやるという証。
「0」
牛刀が首にのめり込むのも構わず、俺は叫ぶ!
「デッドロック・プロトコル!」
レーザー・ガンから緑の稲妻がほとばしる!
「ボトルネック・プロトコル!」
タイガーも叫んだ!牛刀が赤く光る!
【続く】
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