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勧められて観た「ルックバック」の話

SNSで知り合いが絶賛していたのを見て、映画館に足を運んだ。

数年前にジャンププラスで配信されていた漫画を読んだときは、正直あまり刺さらなかった。いい話だなとは思ったものの、それ以上の感想もなかった。同じ作者のチェンソーマンも刺さらなかったし。
ただ、映像化されたルックバックはすごかった。映像になったことでのメリットを存分に活かした表現がとにかく良かった。

「無を活かした表現」がすごい

原作の時点からセリフは多くなく、構図で見せるタイプの作品であったと記憶している。それが映像になって更に強化された印象だった。
人物の動き、表情、構図、音楽による感情表現の割合が多く、セリフは最小限のやり取りのみになっている。
昨今のアニメ作品は人物の感情もセリフで表現するものが見られるが、それとは逆のアプローチでアニメーション作品として挑戦的だと思った。

また、作中では音楽すらなく、完全に無音のシーンが結構ある。
「無音」という表現が活きるのも、映画館という音響の良い環境でこそできる体験だと思った。静かな空間で、観客の衣擦れの音とか鼻をすする音だけが聞こえるのは映画館でしかできないのだ。

…だからこそ、無音シーンで携帯を鳴らした客には殺意が湧いてしまった。映画館ではマナーモードにすべきだよ。

客のマナーはともかく、時たまこういう「劇場でしか体験できない」ものが観れるのが映画館の良いところだと思う。
今は映画はサブスクで観ることが多いし、わざわざ時間をかけて映画館に行ってまで観るメリットって…と思うことはたまにある。あるが、それでも稀にこうして劇場で観るのにふさわしい作品に出会うと、映画館に行ってよかったなぁという気持ちになるのだ。

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