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【4】#かんたんなアンケートと300字で勝手に本をおすすめする 渡辺ペコ 『東京膜』

かんたんなアンケート(年齢や性別、好きな色など)と300字のなんでもいいなにか文章のようなものを書いてもらって、それを読んで独断と偏見で本をオススメする、という連載をやっています。

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【#6】22歳・女性・元文系大学生

好きな映画:はじまりのうた(キングスマンも好きです)
好きな作家:よしもとばなな、原田マハ、有川浩など
好きな色 :青、グレー、寒色
最近興味があること:心理学、東京の街

北国の学生です。あと1週間で22年住んだ実家を離れ東京に出ます。わくわくした気持ちと、少しの寂しさでなんとなく涙が出そうな毎日です。(でも私は基本何考えてるかわからんと言われるのでひっそりひとりそう感じています)

都会は楽しいのでしょうか? 東京への憧れが砕け散ったらと思うと不安です。しかし雪も降らない、日々たくさんの出来事が起き、人に埋もれてゆく街での生活は楽しみです。どうでもいいのですが、何考えてるかわからんと言われるのはなぜなのでしょうか。あと1週間で原因が思いつけば改善したいです。個人的な話をつらつらすみません! 宜しくお願いします。

おすすめしたい本:渡辺ペコ『東京膜

まずは、回答が上京のタイミングに間に合わなくてごめんなさい! 1ヶ月が経ちましたが、東京生活はいかがお過ごしでしょうか。楽しめていますか?

私も3年前にはじめて実家を離れ上京した身です。なので、上京する前の「わくわくした気持ちと少しの寂しさでなんとなく涙が出そうな毎日」のことも、「日々たくさんの出来事が起き、人に埋もれてゆく街での生活が楽しみ」な気持ちも痛いほどに共感でき、そして、ああ懐かしいなあと思いました。

今回おすすめしたい本は、渡辺ペコさんの『東京膜』というマンガ。東京の街に住むさまざまな女性たちが描かれている短編集です。

訪問販売に引っかかってしまう(「真昼の客」)、泥酔グセが止まらない(「適正距離」)、結婚前に弟とふたりで出かける(「かぶと山トレッキング」)、彼氏にフラれた夜に出会った男の人と一夜を過ごす(「9時から5時までのチャコ」)。

登場人物たちは、大なり小なり不安や悩みを抱えています。その悩みの対象は、人間関係だったり、自分自身に対してだったり。東京の日常にある「不安定さ」の中で、それでも前を向いて歩を進めていく登場人物たちに、読んでいて勇気をもらえます。渡辺ペコさんのマンガは基本的にハッピーエンドなので、読んだあとに明るい気持ちになれるところもいいところ。

私は特に「9時から5時までのチャコ」が好きです。かんたんにあらすじを説明すると「彼氏にフラれた夜に出会った男の人と一夜を過ごす」話なのですが、字面からイメージするような、そういう話ではないです。詳細は読んでいただければと思うのですが、私も同じような経験をしたことがあります。そして、私が思う「東京の魅力」は、この1話にぐぐっと詰まっている、と思っているのです。

東京、個人的には、上京する前に思っていたより何倍も何倍もいい場所だなあって思っています。やさしくて、適当で、どうしようもなくて多面的で、なんだか人間みたいな街だなあ、と。お気に入りの街がいくつかあると、楽しみが倍増するような気がします。

アンケート回答者さんの東京生活が、いいものになりますように! ぜひぜひ読んでみて感想を聞かせてください。


P.S 私もよく「何考えているのかわからない」って言われます。でも、別にわかってほしくないことが大半なので、それでいいんだと思っています。

アンケート回答者さんは、「考えていること」を相手にわかってほしいのでしょうか? わかってほしいのであれば、ちゃんと言葉に出して伝えてみることが大切だと思います。でも、もし、別にわかってほしくないのであれば、「何考えているのかわからない」って、すごく都合のいいとっておきの技なんじゃないでしょうか。

問題の本質は、「何を考えているかわからない」と言われることではなく、きっと、「わかってほしい考えがわかってもらえない」ことなのかなあ、と思いました。だから、まずは自分の考えを「わかってほしいこと」と「わかってもらわなくてもいいこと」に分類してみる。そして、わかってほしい考えは拙くてもちゃんと言葉にして伝える。それ以外は「わからない」と言われても気にしない。そういうスタンスをとってみるのはいかがでしょうか?

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※回答は順不同。回答は遅くなってしまうかもしれませんが、アンケート、まだまだ募集中です。


ありがとうございます。ちょっと疲れた日にちょっといいビールを買おうと思います。