見出し画像

フットワーク、それが真のボクサーである証

「今日もお疲れ!随分上達したな」
「あざす!自分もそう思うんすよ!シュッシューッシュッ!」
 ビルダーばりの美しい筋肉に覆われた黒人インストラクターに褒められて上機嫌になったアクズメはジャプ、フック、アッパーのコンビネーションをやって見せた。
「もう拳を極めた気分ですぜ!」
「ハハハ!様になってるな。その様子じゃあ、次の段階に入る準備ができたようだ」
「次の……段階?」
「そうだ。ボクシングは上半身だけの運動ではない。フットワークも同じく、いやパンチ以上に重要だ。明日からやってもらうぞ。楽しみにしておけ」
「はい、よろしくおねげえます」

HI、ボクサイザーのアクズメです。フィットボクシング初めてから20日が立ちました。今のパンチ数は16000あたりです。

各種のパンチとディフェンス一通りできるようになり、毎日脇腹の筋肉痛に苛まれるが、とても充実しています。自分の身体が確実に追いまれていくという事実が、さらに私のモチベーションをあげた。

そんな私の前に、行く手を阻む高い壁があった。それがフットワークです。フィットボクシングで使われるフットワークは基本の左右ステップ、前後ステップ、そしてステップジャブだけです。しかし、移動を加えた途端に脳の処理が追い付かなくなり、MISS判断頻発になったり、次のコンビネーションに繋げなくなったりします。ボクシングは脳、腕、体感、足全体の調和を求めるスポーツだなと改めて思いました。よくよく考えればロッキーもめちゃくちゃフットワークをやらされたな。

もちろんフィットボクシングはガチの健闘ではなくゲームなんで、両手を同時に振ればJUST判断を出せるでしょう。しかし私は自分の拳闘ロードに嘘をつきたくない。そもそもなんも目的でフィットボクシングをやり始めたんだ?減量して体重を66㎏以下にきって、同僚にドヤ顔するためでしょうが。今年の身体検査はコロナウイルスのせいで行われるかどうか不明だが。

それじゃ、明日も頑張るわ。はぁ、左右ステップで足の裏を擦って痛いぞ。

「ぜぇ……ぜぇ……忙しい!キツイ!」
「まあ最初は皆そうなんだ。足を移動しただけで急に負荷が増えるなんて想像しなかったろ?」
「ええ……足の指、足の裏が痛いっす」
「それが素人の証拠だよ!ハハハ!これでプロの凄さを少し知ったか?」
「はい……すごいっす、プロ……」
「拳を振るだけなら、子供だってできる。ディフェンス、フットワーク、それらを加えて、初めて武術が成る。あんたは殴ってくる相手がいないから武道とは言えんがな」
「厳しいすね……ではわかったよ」
 アクズメはストレッチを終え、リラックスした姿勢で立ち直った。
「真似事でもいい、フットワークを上達していくぜ!」
「その意気だ!」


当アカウントは軽率送金をお勧めします。