【SSSS.DYNAZENON】ダイナゼノンをもっと映せ【劇場総集編】

スーパーヒューマンサムライサムライスクワッド、それは円谷の特撮テレビドラマ電光超人グリッドマンを北米向けにローカライズしたテレビ番組。タイトルが長すぎるためSSSSにと略されることが多い。改めて見ると原作の時間軸を完全に無視してアシストウェポンを恣意に出したり、39話しかない原作に対して無理やり茶番や総集編をねじ込んで53話まで引き伸ばしたり、改悪と言われても言いすようがない。それでもアクズメさん少年は土曜日の午後にテレビの前で釘付けになり視聴していた。

そして年月が立ち、グリッドマンがアニメになって人気を博し、今度はあの出てきてはすぐグリッドマンと合体するだけのロボットが主役のアニメが作られた。喩えるならバットマンをそっちのけてにしてバットモービルが主役の作品を作るようなもの。すごい時代になったものだ。ちなみにバットモービルが主役のアニメは実際ある。

6月下旬、SSSS.GRIDMANとSSSS.DYNAZENONの劇場総集編が立て続けて公開することになった。これはもししたら、もしかすると……全マルチバースに巻き起こす大事件に備えて、未履修のダイナゼノンのほうを観てきた、では感想をどうぞ。

劇場総集編というあくどい商売

まず劇場総集編に対する俺のスタンスをはっきりしよう。アニメの総集編以上に俺のテンションを下がらせるものはない。ましてや1クールのテレビアニメを2時間に収めるビデオされたビデオを劇場版と称してもう一度儲かるとか顔の面が厚い。おまえ本当にあの関俊彦を酷使して90秒で総集編の概念をぶち壊して伝説を作ったTRIGGERか?

と文句を言いつつも俺はシネマに赴き、チケットを購入した。日本のコンテンツを摂取するにあたって俺に選択肢は少ない。日本のオタクが神だと崇めているdアニメやBANDAIチャンネルはどれも海外からのアクセスをブロックしている。SSSS.GRIDMANは数年前一度っきりNetflixで配信されたていたけど、ダイナゼノンはいつまでも来る気配はない、なかなかのBANDAIっぷりだ。現時点ではダイナゼノンを合法的に視聴する手段はこれが一番総集編なので唐突感が免れないが、まあまあ上手く編集してくれた。特に蓬と南が青春するパートに熱意を感じる。というより蓬と南が画面に映る時間が80%占めている。戦闘シーンを除くと脇役どもが映るシーンが10%も満たない。無職と無職の従妹は全然と言えるほど活躍してない。少年少女が青春すればするほど他人の出番が奪われていく、劇場総集編の真実。俺は恋愛に疎く充実な青春時代も経験したことないので無理に語ろうとしても童貞感丸だしのずっこけた文章にしかならないためこれ以上書かないことにする。あでも南さんが怪獣の力で過去に飛ばされて姉の死に向かい合ったところがよかったよ。冷え切った石の心俺の中にもグッドくるものがあった。

スーパーロボット合体竜人ダイナゼノン

さすがはタイトルを担うロボットだけはある。カッコよすぎるぜ、ダイナゼノン。四つのマシンが合体する巨大ロボット、モードチェンジでもできるし炎を吐ける、臨機応変で分解して別々に戦ったり別の形態に合体する、グリッドマンに纏わせてドラゴンナイトじみた威容になる。俺の中の男児は興奮しっぱなしだ。4人+αで『ダイナゼノン、バトルゴー!』と叫ぶたびに血行きが良くなってより健康になった気がする。いずれガンにも効くだろう。

ちなみに北米SSSSにおけるダイナドラゴンもといドラゴは2話で超初期から登場。ダブルメイスを巧みに駆使するメタウイルスモンスター相手に苦戦するグリッドマンのもとにバンド仲間のタンカーがドラゴで駆けつけて、そのままフォーモ(キンググリッドマンのことだ)に合体してメタウイルスモンスターを撃破した。原作におけるミイラや竜使いのくだりは一切なし。まるで最初からあったかように平然と呼びだされた。うん、改めて見るとすごい改悪。どうしてガキの俺が楽しく観ていたんだろうね?

それにしも原作の18話をベースにこれほど話を膨らませるとはすごい熱量だ。制作陣はとんでもないグリッドマンオタクだぜ。

怪獣優生思想

今回のヴィランを務めるブロマンスこじらせメガネ、人間絶対殺すマン、女、ミステリアス美少年で構成された属性豊かな四人組。軍風の白い服装が前作に登場する黒いスーツ姿の新世紀中学生と対象的になっている。「怪獣は理から外れた存在」「怪獣はこの世で最も自由」とかぬかして怪獣が必要とする世の中を作るために活動しているが、その実態は怪獣を見つけてはインスタンス・ドミネーションで支配し、街に放って暴れさせる厄介な怪獣マニア。トランスフォーマーを見せたら多分ユニクロンを応援するタイプ。

Pivix百科を見る限り彼らも新世紀中学生ように面白いことやっていたそうだが総集編では蓬らと繋がりのあるミステリアス美少年以外のメンバー出番が大幅に減らされて、特に女は一番キャラが薄い。ラストバトルでは女と無職が叫び合うシーンがあったので二人の間になんかあったと伺えるけど、そのくだりは丸ごとカットされたので知る由もない。

人間にとって不共戴天敵である怪獣優生思想は滅んだが、怪獣使い血脈は断っていなかった。支配の力が少年の手に渡された。それは吉が出るか凶が出るか。今はただ、備えよう。

ユニバースへ

記事を書いてる途中にユニバースの上映が決まったよ。

よかった。劇場総集編とはいえSSSS.DYNAZENONを観といて正解だった。これでユニバースを観に行ったら登場人物の半分が名前も知らないという事態を回避できた。フォロワーが絶賛する映画だし、これから楽しみだ。てか六花の足がえらいことになってる。裕太の腰と同じぐらいあるんじゃない?

この場を借りて作品を輸入してくれた有能な映画配給会社ガレージプレイに感謝を申し上げたい。これで俺はモニターの中に棲む魔王的存在に怪獣のモデルを捧げて、インターネットをめちゃくちゃにしてもらわなくて済む。

時期がきたらまたシネマにバトルゴー!するつもりだ。その時までまた会おう。


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