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アントマン&ワスプ観てきたYO(ネタバレなし)

「HEY YO!ユージャパニーズルーザーズ!おまえらが8/31まで待たないと観れないANT-MAN&THE WASPを、この僕が一足先に観てきたぜ!」男がモニターの前で両手の親指、人差し指、中指を伸ばして挑発的なジェスチャーを作り、カメラに向かって交互に突き出す。彼はLAのナード、ヒーロー映画が好きで、懲りずにネタバレ行為を繰り返している。このまえはデットプールに頭を撃ち抜かれたと思われるが、どうやら無事だったのようだ。死んだはずの人間はなぜ生きている?サウスパークのケニーが昔毎回死んでも次の回は何もなかったようにスタンたちとバスを待っている、つまり都合のいい存在だということだ。

「そんじゃまた記憶が鮮明のうちにいつものネタバレしていくぜ!恨むなら僕ではなく映画配給制度を恨むことだジャパニーズども!そもそも他国より二ヶ月ほど遅く公開するなんてマジでありえないがな」彼はカメラに向かって流暢な日本語で言い放ったが、その内容はアントマンの続編が待ち遠しい日本のファンに対する悪意が満ちあふれている。一体何が彼をそこまで突き動かしているのか?デッドプールはタイムトラベルで不在、アベンジャーズはフルボッコされてそれところではない。ジーザス・クライスト!もはやその暴行を止める者がいないのか!?

「スコットはシビルウォーの最後、S.H.I.E.L.Dの洋上監獄に収監されたが、なんやかんやで自宅監禁を服することになり、ヒーローと無縁の平和かつ退屈な生活を送っていた。そしてピム博士とホープは裏側に先代のワスプごとジェネットをクアンタの世界から救い出すべく計画を進んでいた。これまではどの映画情報サイトにも載ってあるな。これからは本番だ、クマムシが……」

ブガー!ブガー!ブガー!

 アラートが音響き渡り、彼を遮った。

「なに……侵入者だと?くそ、またか!?」ナードがノートパソコンから生放送用のカメラを外し、サバゲー用のヘッドギアに付けた。「僕だってやられっぱなしでは居られない。こういう時のためにこんなものを用意した」

 彼は引き出しを勢いよく開いて、その中身をカメラに納めた。おお……なんと!現れたのは黒いプラスチック複合材質で作られたAKであった!

「このベイベーで蜂の巣にしてやるぜ!言っとくけどこれは正当防衛だからな!」

 ナードはマガジンを銃身に嵌めながら言った。その目は殺戮に対する興奮にギラギラ光っている、コワイ!

「さあ……来るなら来いよ……!」コッキングを終わり、この部屋唯一の出口であるドアに狙い定めた。汗がもみあげから流れ落ちる。そしてあれが予兆もなく現れた。

 彼女は壁をすり抜け、部屋の隅から進み出た。灰色のステルススーツを身に纏ったその体の輪郭は虹を帯びた半透明のビジョンが揺れて超常の気配を漂わせる。顔を覆った五つのカメラアイを備えた無機質なマスクが恐怖を煽る。ナードがその存在を気付くのは3秒後のことだった。

「ア、アイエエエエエ!?で、出たー!バーバヤガァーー!!」

 さっきの自信どこに行ったのか、ナードは青ざめてトリガーを引いた。BRATATATATATA!だが弾丸が侵入者の命中するも、その体をすり抜け、壁に貼られたスターウォーズのポスターに当たる。幽霊めいた侵入者は歩み寄ってくる。

「く、来るなーッ!」BRATATATATATA!だが弾丸が侵入者に命中するも、その体をすり抜いてフィギュアの展示台に当たり、スーパーヒーロー着地を決めたアイアンマンフィギュアが5.56mm弾に直撃されて粉砕!幽霊めいた侵入者は歩み寄ってくる。

「来るなーッ!」BRATATATATATA!だが弾丸が侵入者に命中するも、その体をすり抜いて本棚に当り、コミック本が紙くずに化していく!幽霊めいた侵入者は歩み寄ってくる。すでにナードの目の前!

「アッ」侵入者を止める力を彼は持っていないと悟った。だから今、相手が攻撃態勢に入っても、自分はその結果を想像しながら待つことしかできない。

「グワーッ!コポーッ!」ナードはくの字になって放物線を描きなが後ろへ飛んだ。ゴーストの前蹴りが彼の鳩尾を捉えて蹴り飛ばしたのだ!壁にもたれても、辛うじて意識を保ったLAのナードが侵入者はに尋ねた。

「こぽ、なんで、あんたなんだ……ネタバレ阻止は……ヒーローの仕事じゃないのかよ?」

「スコット・ラングはしばらく戻ってこない。原因は貴様もよく知っている」

「やはり……そうか……」

「もうこれ以上喋らせない」ゴーストは身体を透過させ、ナードの胸に刺した。「報いを受けよ」

「ウッ」ここで彼の意識が途絶えた。

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