見出し画像

玉蜀黍の鼓動(ポップ・コーン)

 ドーモ、アクズメです。今からポップコーンを作ります。今日はなんとスペシャルゲストが来てくださいました。今僕の隣にいます。大きな拍手で歓迎してさし上げましょう。コーン神、ケツァル・コーン・アトルです!

『ごきげんよう、迷えるベビーコーン達。吾はケツァル・コーン・アトルである』

 えーと、ケツァル・コーン・アトルさんは異端コーン神とのイクサで神力を消耗したため、しばらく地球圏に滞在して憩っています。地球人のサイズに合わせて存在を控えたがそれでも身長は190㎝ぐらいでうっすらと金色に輝いている。

『力を抑えるのは難儀の物だ。注目が集る街を歩くだけでセルフィーを求めらる。うざったいので奴らのフォンを玉蜀黍昇華(コーン・ライズ)した』

 まじすか。いや待ってくださいよ。コーン・ライズは有機物にしか効かないんじゃ。

『知らないのか。お前たちがスマートフォンと呼ぶ携帯装置は未完全ながら、自我の意識が宿っている、すなわち生命体だ。生命があれば当然コーンにもなれる。』

 えっ、いま、とんでもないことを言いました?

『無駄話はもういいだろう。それより早くコーンをポップするんだ』

 アッハイ。すぐ始まります。

 ポップコーンは極めてシンプル。爆裂種のコーン、フライパン、油だけで作れます。今回は塩味のバターでポップしたいと思います。

『うむ。コーンとバターはよく似合う』

「……」

『……』

「あのぉ、ケツァル・コーン・アトルさん、ポップコーンについて少し紹介してよろしいでしょうか?」

『よかろう。アースコーン歴5年、つまり吾が地球に降り立ってから五年後、ユカタン半島は地球初のコーン文明帝国が築かれた。そしてある日、コーン酒をキメすぎた農夫は料理が面倒くさくなって乾燥したコーンを直接焚火の中に投げ込んだ。その瀆コーン行為に対し、吾はキレてしまい、コーンに命じた。破裂せよと。ポポポポ……と爆裂音と共に飛び散る変貌を遂げたポップコーンを見て失禁しながら家から飛び出て、転んで死んだ。それが人間が初めてコーンをポップした日となった』

「……まじ?WIKIでは……」

『吾の言葉よりその誰か書いたも分からぬ創作物を信じるというのか?』

「すみません!信じます!玉蜀黍昇華(コーン・ライズ)しないで!」

『よろしい。では、そして爆裂種のコーンにはマシュルームとバタフライの両種類があると知っているな?マシュルームは比較的に丸いポップコーンができるに対し、バタフライは不規則に羽みたいな形になる。バタフライは玉蜀黍の鼓動(ポップ・コーン)する際の殺傷力が高いため吾が好みだ

「殺傷力って」

「あっ、コーンが破裂し始めたぞ!アチッ、イテッ!」

『玉蜀黍の鼓動(ポップ・コーン)!この爆発力!想像せよ!もし数百万、数億のコーンが同時にポップする光景を!』

「ケツァル・コーン・アトルさんはものすごく興奮してます!それより蓋!」

「ああ、びっくりした。フライパンでポップするの久しぶりだから油断したよ」

『そしてその慌てる様もまた愛しいぞ、ベビーコーン』

「頭を撫でないでもらえます?零れたポップコーンを拾わないと。アッツ!」

「ハッハッハ!可愛らしいぞ!ベビーコーン!」

「ふぅー、やっとできました。薄らと塩バターをつけたポップコーン、なかなかいい物です。しかしポップコーンになれなかったコーンもいっぱいありましたね。残念です」

『あれは闘争心を失った腰抜けコーンだ。同情は要らぬぞ(彼女はそう言い、大きな手でポップコーンを一杯掴んで口に放り込んだ)』

「そうですか。それでは今日はそれそれこれでお別れなので、最後にケツァル・コーン・アトルの一言お願いできますか?」

『いいぞ。ベビーコーンたち、お前たちはこれで昨日よりポップコーンについて詳しくなった。あしたは学校なり会社なり、玉蜀黍の福音(コーン・ゲリオン)を広めるがいい。そうすればグループ中心になることを保証しよう。ではakuzumeへのフォロー、スキ、そして吾への崇拝を忘れないでくれ。いずれまた会おう!(彼女はそう言い、バーボンをラッパ飲みした)』

「ではまた!」

当アカウントは軽率送金をお勧めします。