阪神タイガーズのアレおめでとうございます

2023年9月14日、阪神タイガーズが18年ぶりにアレをしました。大阪府全体は歓喜な雰囲気の包まれるなか、道頓堀あたりは緊張が走りました。

その原因は道頓堀ダイブにあります。2003年、阪神タイガーズがアレした際はおよそ5000人が戎橋から飛び降り、死者まで出る騒動になりました。そして川水水に浸ってドブの臭いが染み付いた人々は大阪各所に散らばり、公共衛生に多大な迷惑をかけたそうです。

悲劇を繰り返してはならない。行政はアレの数日前からメディアに通して道頓堀川の水の危険性を説き、防護網を張り、当日はライオットシールドを持った警官を大量配備して鎮安維持を図りました。これらの努力が功を奏し、道頓堀はアレで人が大勢集まって騒いでいるものの、未だに誰も川にダイブしておらず概ね平和でした。

しかしこの状況が快く思っていない人がいました。

「なぜッ!なぜ誰も飛び込まぬッ!?」

数匹分のアライグマ毛皮を繋ぎ合わせたアライグマ毛皮ベストを着てアライグマ帽を被った野生的風貌の男は 狂坂ばあさかさん、和歌山県の山に住んでいる狂戦士です。

「山を降りてバスに乗って、電車2本乗り換えて来たというのに!これじゃあ道頓堀ではない、道頓BORINGだッ!」

狂坂さんは人が極限状態に集まった場所でどさくさに紛れて暴れるのが大好きです。彼は過去に何度も逮捕されましたが未だに懲りていません。狂戦士だからです。

「なに言うとんねんこのおっさん?」
「道頓堀川の水は大腸菌がやばいほど含まれて粘膜に介して人体に入った場合複雑な感染症が発症して完治できなくはないが少なく数週間苦しみに悶えるとテレビが云うたんやろ」
「そんなこと知ったら喜んで飛び込む奴がおらへんわ」

大阪府民の冷ややかな言葉を、狂坂さんの狂戦士聴覚は聞き逃しませんでした。

「何だとッ!」
「わっ、なんや!?」

狂坂さんはブチ切れて、自分の悪口を言った府民を片手で吊りあげました。狂坂さんは気が短い、狂戦士なので。

「バサーッ!」
「うわっ」
「貴様もだッ!バサーッ!」
「ぎゃあっ」

狂戦士は現代文明によって弱体化された人間とかけ離れた膂力で府民を掴んで次々と川に投げます。そして騒動が起きると府警が気付かない筈がありません。

「そこの狂戦士、今すぐやめなさい!」

ライオットシールドを持った警官たちが矢じりの陣形で狂坂さんに迫る。それを見た狂坂さんは不敵に笑いだしました。

「ハッハーッ!ちょうどいいタイミングで!」
「ぎぇっ」

手当たり次第に横にいる府民を掴んで、パン生地をこねるように人体を丸めていきます。

「ひ、人殺し!」
「いくらなんでも残虐すぎるやで!」

それを見たほかの府民が思わず悲鳴を上げますが、人体ボールから声が上がりました。

「お、俺は死んでないぞ!こんななっちゃってるけど、生きてはいる!」
「まじかいな!もう人の姿にあらへんで!」
「まじだよ!むしろちょっときもちいいぐらいだ!」
「えぇ……」

これが狂坂の一族が伝わる秘技、百骨纏いです。たとえ骨が粉々に砕かれても生命活動が続ける活法です。

「ごれくらいでいいか、そぉれ!」

狂坂さんはヒューマンボールをボーリングのように投げました。ボールは警官たちに向かって転がっていきます!

「ウオーッ!府警魂見せたる!」

警官たちがシールド前に突き出して対衝撃体制を取りますが、狂戦士膂力で投げ出された60kgボールはそう簡単には止められません。

「「「うわあああ!!!」」」

ボールの勢いに弾かれ、府警たちが全倒!ストライク!

「ハハッ!道頓ボーリング!」

狂坂は満足げに笑いました。彼はその後もしばらく暴れましたが、警察の人数の優勢に制圧され、確保されました。狂戦士といえど所詮一個人、集団の力には敵わないものです。

そしてヒューマンボールにされた市民は後に適切な医療を受けて、元の姿に戻りました。めでたしめでたし。

END

当アカウントは軽率送金をお勧めします。