炒飯神太郎の日常　山編

「ども！天然プロテインハンターのおじいさんです！今日もいつものように山にやってまいりました！今日はどんなピュアプロテインを見つけられるかな？」
「おじいさん、また想像の中でしか存在しない人と話しているんです？」
「おっと！いきなりゲストが勝手に入ってきました！では改めて紹介しましょう。Youtube初公開、つい最近息子になった炒飯神太郎くんです！イェーイ！」
「なんですかYoutubeって？出かけて早々ついていけませんけど」
「何言ってるんだ神太郎。目の前にカメラマンいるじゃないか！私たちの様子を撮影してライブでお届けしているんですよ！」
「お届けするって誰にですか？」
「ザ・ホールドワールドですよ！ほら、コメントで『こんにちは神太郎！』『神太郎くんイケメン！』『初々しくてかわいい』って言われていますよ！ちゃんと返礼しなさい！」
「チッ、うるさいな。合わせりゃでしょう（小声）。どうも、炒飯神太郎です。いろいろあっておじいさんの息子やっています」
「やればできるじゃないか神太郎！スパチャをたくさんゲットできるよう頑張ろう！」
「はぁ」
「ではプロテイン探しに戻りましょう……おっと、さっそくターゲットを発見しました！神太郎、この切り株を見てどう思う？」
「虫食いがひどいです」
「そう！虫食い、それは良質なプロテインが潜んでいる証拠です！早速割ってみましょう！まず内力を練って……呼ォーッ！嘯ゥーッ！手を赤熱させます！あじいさんは特殊の訓練を受けたので平気だけど視聴者の方々は絶対に真似しないでくださいね！こうやって、ズパパーッ！と私の高熱チョップで熱したナイフでバターを切るように木が割れていきます！」
「わっ。おじいさん！大量のシロアリがぞろぞろと出てきます！気持ち悪い！」
「こいつは当たりですよ皆さん！シロアリは卵から成虫まで食用に適した優秀なタンパク源です！タンパク質以外に、亜鉛、鉄分、ビタミンA、ビタミンB2も含まれて栄養豊富！たった大さじ一杯半だけで必要な栄養をほぼ摂取できる！まさに世界を飢饉から救うスーパーフードです！私の火雲掌は採取する同時にシロアリをグリルできたので、さっそく食べてみましょう！はい、これは神太郎の分」
「えぇ！？自分も食べるんですか？」
「もちろん！Youtubeは体を張れるのが肝心。モニター前で見ている視聴者さんも『神太郎がんばれ！』『食べず嫌いは良くないよ神太郎！』『wktk』とコメントしているのです！」
「はぁ……」
「うんでもまあ、本当に食べたくないのならしなくていいよ。でも神太郎くんは私の絶技ーー火雲掌を学びたいでしょう？私としてはいくら息子でも、自分の食生活を否定する奴に教える気にはならないねー」
「……わかりましたよ。食えりゃいいでしょう？」
「それでこそ私の息子です！ではせーのーで、一気に行きますよ！せーのー！あむ」
「あむ。う”っっ！」
「「すっっペェェェーッ！！」」

完

食用シロアリに関する情報はこちらを参考にしました。