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仏塔の建設に手伝った話

※宗教批判的な内容です。
※読者が理解しやすいように記事内の金銭単位は日本円に変換済みです。

親父が死んで、葬式、49日、百日、長時間拘束されて信じてもいないブッダにひたすら拝礼叩首して、俺は肉体と精神がボロボロになった。感傷はとっくに磨耗され、俺をこんな目に遭わせた仏教を呪った。アンタイブッタブラックメタリストになってフランベルジュを振り回して寺院を破壊したい。あの頃の話はこちらを参照な。

やっとすべてが落ち着いて、普段の生活に戻りつつあった。そしてある日の午後、大君がノックもせずに部屋に入ってきた。俺は慌ててボルノサイトのウィンドウを閉じた。

「また酒飲んでいるか?」

机に並んでいる空のビール缶を見て、大君は顔をしかめた。ああそうすよ、飲まずにはいられないすよ。

「ヴぁーん……」俺はグールのような呻き声で抗議を示した。

「アクズメ君、大事なことがあるんだ。聞いてほしい」
「あぉぉぉん……」
「父さんがまた居た頃は、仏塔建設の計画を進めていたことはしっているよね?」
「ぼぁあぁん?」

そいえばそういう話あったな。仏塔を建てるためあちこち土地を探しているとか。

両親は俺が記憶があるころからずっと二人揃って何かを信仰してきた。小さい頃はよくモーゼスやジーザスの話話してくれて、教会に何回連れて行かれた。キリスト教関係の幼稚園にも入った。中学生の時、両親は仏教に転向、毎週の土曜日なんかの集会に行っていた。進学の際は仏教関係の高校を薦められたが、俺が不甲斐ないせいで(成績が悪かった)不意にも両親の望みが叶った形になった。全寮制、休日しか外出できず、出てもド田舎、給食は全部ベジタリアン、アニメで見た物と大違いなハイスクール生活。こんなところなんて出でやる!と思いつつ猛勉強するも、また俺が不甲斐ないで、同じ系列の大学に入ってしまった。両親の望みが叶った形になった。ある夏休みで帰宅していた際、親父に「アクズメ君はさ、出家してみない」と聞かれた時はマジキレしそうになった。でもキレなかった。俺の極めて理性的頭脳がまた両親と破局する時ではないと判断した。卒業して、軍隊を出て就職してからも両親は何度俺をあの団体に引きずり込もうとしたが、その度にクールめいた対応で退けたきた。

さっきみたいにね。ヴぁーって。

「その仏塔建設の基金を立てたいの。父さんの遺産から300万ぐらい引き出すわ。それと、アクズメ君も少しだけでいいから、寄付して欲しいの」
「えぇー」

嫌だよ。なんで信じてもいないブッダのために金を出さなきゃなんねんだ?と言いたいところだが、大君と対立は得策ではない。彼女は法律的経済的に俺より上だから。

「んでいくら欲しい?」
「3万円ぐらいでいいかな」
「じゃ3万円だすよ」
「ありがとう!功徳が積むわ!では基金のためにこう作りたいからそっちもお願い?」

はぁ?口座まで俺が作らなきゃいけないわけ?なんでだよ?

「講座まで俺が作らなきゃいけないわけ?」
「お願いだよ。お父さんのために、な?」

おお、そうかよわかったよ。やればいいでしょうやればったく面倒くせえ。

翌日、会社近くの銀行で口座を作ったついでに父さんの遺産から300万円を振り込んだ。中年男性の銀行員は「なんのためのお金ですか?」と聞かれたので、「仏塔建設です」と答えた。不審がられて振り込みを拒否してくれればいいだが、銀行員は「へぇー、仏塔ね。OK」と印鑑を押した。残金3030000と表示された通帳を撮影して大君に送信した。

”ありがとう。父さんもきっと喜ぶわ”

そりゃ良かった。親父、あんた唯一の息子は月給の1/3がぶっ飛んちゃったけど。

それから一年が経った。

「アクズメ君、仏塔を建てる場所はようやく決めたの」
「ほぁーん……」
「基金を動かす時が来たわ。この日の午後、この講座に270万を振り込んでちょうだい」
「げげげ」

言う通りにやった。大君は経済と法律的俺より上だからだ。振り込む際は銀行員に「何に使うんですか?」と聞かれて、「仏塔建設です」と堂々と答えた。「仏塔?あっそれかぁ」と一発でOkだった。仏塔、もしかしてよく建てられたりする?

通帳を撮影し、大君に送った。

”ありがとう!功徳無量である!父さんが知ったらきっと喜ぶわ”

そうすか。

”あともう一つお願いが”

またあるのか?

”仏塔を建てる予定地では、慣例によって建築を始める前は地下に武器を埋めるわ”

なにそれ?どいうこと?と聞いたら電話が来て延々と説明を聞かされる気がするので追求しなかった。

”なので武器に詳しいアクズメ君に協力して欲しい”

俺は貴女が思うほど武器に詳しくないからな。はっ、まさか俺のナイフコレクションまでドネードさせるつもり?うわぁ辛い、辛いぞ。ナイフを埋められるぐらいなら誰かを刺して俺も自殺する。

”戦車、戦闘機など兵器のおもちゃ買ってきて”

は?

予想外な展開だなおい。おもちゃナンデ?と聞いたら電話が来て延々と説明を聞かされる気がするので追求しなかった。多分地獄から悪鬼羅刹が攻めて来たとき、ブッダガーディアンズがそれに乗って防衛するんじゃないかと思う。

”それはプラモデルばかりだからよくわからない。アクズメ君の方が玩具に詳しいでしょう。よろしく頼む”

ベイブレード以外は全然詳しくないぞ。わあったよ。買えばいいだろ。とモールやおもちゃ屋を何軒寄ったが、意外と見つからないものだ。トランスフォームもできない単純な兵器おもちゃはもう今の子供の目もくれないか。じゃあそこに行ってみるわ。

来たのは郊外にある倉庫みたいなおもちゃ問屋、アジア各地の闇工場で作られた海賊版、粗造の模倣品、あまりにもダサくてトイザらスなどちゃんとした店では絶対見られない商品が大量に眠っている宝庫だ。目論通りブツを見つけた、ラジコンの戦車と

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デフォルトされた飛行機とタンクだ。

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おもちゃの写真を撮って大君に撮影する。どれがいいんだ?

”両方ともGOOD。両方買える?”
”OK”

ちなみにクソ安かった、二点合わせて1000円もいらない。

「ついでに電池も買う?」と店員に聞かれた。ラジコンを遊ぶには当然電磁が必要、聞かれて当然。

「いや、要りません」埋めるからね

「あっそう。じゃあマンガン電池を使うことね」「はい」

おもちゃを持って帰って、大君が大いに喜んだ。徳が高まってゆく。ブッダよ御照覧あれ。

おもちゃは先週大君が持って行って埋めた。仏塔はどんな場所で、どんな形に建てられるのか、興味ないし知らないのでこれ以上は語らない。

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